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指輪物語TRPG 第1章『南方人の策略』第5回

前回に引き続きオリジナルシナリオです。

前回の冒険はこちら


プレイヤー・ヒーロー

5人のヒーローから成るカンパニー

ウーナ(バルドの民の闘争者)
バルドの民の裕福な商人の娘。幼少の頃より、王の竜退治の物語を聞いて育った。大人になったウーナは必然的に戦士となり、商人たちの護衛として故郷から遠く離れた西の地までやってきた。商人たちは取引を終えて故郷へ帰っていったが、ウーナはふさわしき強敵と戦ってその実力を示したいという強い思いに駆られ、見知らぬ土地での冒険に挑戦する。

モリエル(北方の野伏の守護者)
若くしてエリアドールの民を守ることにすべてを費やしてきた。族長のアラゴルンは遍歴の旅として南方に下り、各地でサウロンの手先と戦っている。族長不在の今、より一層エリアドールの守備を固めなければいけない。モリエルは任務の合間にブリー村の踊る小馬亭に立ち寄り、各地から集まってくる情報を仕入れることにした。

アウストリ・ステイルアンブロット(ドゥリンの民のドワーフの探宝者)
アウストリは復活したエレボールで鍛冶や工芸の技を高めてきた。だが年月が経つにつれ、トーリン・オーケンシールドがそうしたように、失われたドワーフの宝をその手に取り戻したいという思いが強くなってきた。今こうしている間にも、父祖の宝が悪しき者どもに穢されているのは我慢ならない。アウストリは鎚を置き、斧を手に放浪の旅に身を投じた。

イムナチャール(荒地の国の森人の研究者)
トゥイディマールの子。リョバニオンの最北端に古くからいるアイルガルザ族の流れをくむ氏族に生まれた。
霧ふり山脈の反対側からエリアドールまで旅をしてきて、この地の文明の要となるブリー村に滞在している。そこでカンパニーと合流して共に冒険をすることになる。
厳しい土地で生きてきたためか狡猾で素早く、頭の回転が速い。

カレン(北方の野伏の伝令者)
旧アルノール王家の血を引くもの。カレン内親王。
直系王族はドゥーネダインの中でも西方の血がより強く発現し、高い能力を持つ。また野伏集団の中でも先陣に立つことを求められるため、元服前の少女であっても一人前の野伏である。その任務は主にエリアドール各地に散る野伏たちの伝令係であるが、家格の高さから各国宮廷への正式な使者としてたつこともある。
カレン(Calen)は幼名。成人後はアラノール(Aranor)と名乗る予定。

物語

君たちはトロルの古巣に踏み入り、
ゴブリンの本隊を襲撃する。
傷を負いながら順調に倒していくが、
1人のゴブリンの撤退を許してしまった。
洞窟内はすぐに慌ただしくなり、
戦いの準備をする物音が聞こえてくる。
君たちは挟み討ちを恐れ、一旦洞窟の外まで撤退する。
離れたところから洞窟の様子をうかがっていると、
数十体のゴブリンが洞窟の入り口にひしめき合っていた。
彼らは日光を恐れ洞窟の外には出てこなかった。
やがてゴブリンが奥へ戻っていくと、
君たちは再び洞窟へ足を踏み入れる。
しかし、分岐点で奴らは待ち構えていた――

分岐点では左右の道にいたゴブリンの見張りが警戒の叫び声を上げます。
カレンとモリエル、二人の野伏は即座に同じゴブリンに向かって矢を放ち、仕留めました。
ウーナは大弓を残ったもう1人のゴブリンに向け、見事射抜きます。
ゴブリンは矢を受けながらも、もがき苦しみながら態勢を立て直そうとします。そこにイムナチャールとアウストリが攻撃を続けますが、矢と槍はゴブリンに当たることなく洞窟の壁にぶつかりました。
ウーナの矢を受けたゴブリンは、毒のついた矢をつがえウーナに反撃します。ゴブリン製の粗雑な造りの矢がウーナに突き刺さりました。
ウーナは傷を負い、見に纏っている武具が重くのしかかってくるような感覚に陥ります。モリエルはウーナを攻撃した弓兵に肉薄し長剣を振るいますが、ぎりぎりでかわされてしまいました。
アウストリがモリエルに続き、凄まじい斧の一撃をお見舞いしてゴブリンの頭蓋をかち割りました。

待ち構えていた見張り

一行は素早く見張りを倒しましたが、洞窟の奥ではゴブリン達の甲高い叫び声が響き渡り、数十体のゴブリンが向かってくる物音が洞窟内で反響します。
カレンは仲間を鼓舞し、イムナチャールは洞窟内での戦い方をモリエルに助言します。
分岐点でゴブリンを迎え撃つことにした一行は、弓や石を手に持ち構えます。

ついに左右の通路からゴブリンの集団がひしめきあいながら現れました。ランタンの光で照らされる範囲には十数体ものゴブリンが手に手に弓や槍を持って押し寄せ、光が届かない後ろにもたくさんのゴブリンが続いている気配があります。
一行は一斉に弓を引きました。二人の野伏は同じゴブリンを狙います。カレンの矢はゴブリンを掠めて飛んでいきましたが、モリエルの矢はゴブリンの急所を貫き、ゴブリンは声を上げる間もなく倒れました。
ウーナは別のゴブリンを狙い、矢はゴブリンに突き刺さりました。イムナチャールはウーナの矢を受けて悲鳴を上げているゴブリンに射かけますが、狙いは外れます。
アウストリはすでに槍を投げてしまっていたため、拾った石を投げます。悲鳴を上げているゴブリンの頭に石が当たり、鈍い音を立てました。

ゴブリンの集団に囲まれた一行

ゴブリンたちの反撃が始まります。
最前線に立つモリエルには次々と矢と槍が飛んできます。4本の矢がモリエルの急所を貫きました。モリエルは重傷を負ってふらふらになり、ゴブリンの毒が体を回り始めました。
大弓の威力を恐れたゴブリンたちは、後ろで大弓を構えているウーナを狙います。1本の槍がウーナに傷を負わせ、1本の矢がウーナの急所を捕らえました。
カレンにも槍と矢が飛んできて、そのうちの1本が凄まじい威力でカレンの鎧を突き破りました。

撤退を余儀なくされた一行

戦況が圧倒的に不利となったヒーローたちは、ブリー郷まで撤退することにしました。
重傷を負ったモリエルとウーナを先に逃がすべく、アウストリとカレンが最前線で敵の攻撃を引き受けます。イムナチャールは二人の後ろから弓で援護します。
アウストリはドワーフの鬨の声を上げ、ゴブリンたちの士気を挫きました。
士気の下がったゴブリンたちの動きは精彩を欠き、アウストリとカレンを狙った攻撃はなかなか当たりません。
その中で、後方から放たれたゴブリンの矢がアウストリとカレンのそれぞれの急所に突き刺さりました。
幸い二人とも鎧によって重傷は免れました。モリエルとウーナが無事に撤退したことを見て、イムナチャール、カレン、アウストリは次々と撤退していきました。
一行はぼろぼろのままわき目も振らずにブリー郷へ帰ります。

小谷村に着くころにはすでに陽は傾き、間もなく夜が訪れようとしていました。
一行はオズワルドを訪ね、彼の邸宅で体を休めました。
モリエルはゴブリンの毒が完全に回ってしまい、苦しそうに悶えています。森人のイムナチャールは、薬草と治療用具を用いて手際よくモリエルの解毒を試みます。イムナチャールの薬が効いたのか、モリエルの呼吸は穏やかになり、しっかりと休息を取ることができました。

一行が傷を癒して休憩している間に、邸宅の主オズワルドは小谷村とアーチェト村へ使いを出しました。
オズワルドは一行に伝えます。「今日、どんなに遅くとも明日、奴らはブリー郷を襲撃してくるだろう。作戦を立ててゴブリンたちに備えなければいけない。」

オズワルドの知らせを受け、小谷村からは十数人の村人が村を守るため立ち上がりました。
暗くなりつつある夕空に、宵の明星が明るく輝きます。エアレンディルの星の光の下、村を守るために集った勇者たちは作戦会議をしました。

一行が立てた作戦はこうでした。
チェトの森と牧草地との境に篝火をいくつも焚き、5人が牧草地で迎え撃ちます。危なくなったらオズワルド邸まで下がり、柵などを活用しながら戦います。
村人たちは最終防衛ラインである小谷村の塹壕に隠れ、ゴブリンを迎え撃ちます。

いよいよ夜になり、月が上りました。
一行がチェトの森を見張っていると、森からは一人の人間が走ってきました。彼はアーチェト村の使者で、息を整えながら一行にこのようなことを話します。
「アーチェト村はゴブリンの集団と戦闘中。奴らは二手に分かれて、小谷村にも向かっている。小谷村にはアーチェト村を襲っている数倍ほどのゴブリンが向かっていた。数は十数体ほどだと思う。暗い森の中だったし、戦闘の混乱で正確な数は数えられなかった。あと30分ほどで来るだろう。俺は小谷村まで行って警告してくる。」
そう言って彼は息を整えた後、小谷村まで走っていってしまいました。

チェトの森から現れたゴブリンたち

それから一行はチェトの森から何かが出てこないかと監視していますと、やがて闇の中何かが動くものが見えたような気がしました。
じっと目を凝らすと、どうやら人型の生き物が手に武器を持ちながら移動しているようです。彼らはゆっくりと森の外縁部から牧草地へ出てきました。月明かりと篝火に照らされたのは、ゴブリンの集団でした。手に持つ武器がきらきらっと月の光を反射します。

いよいよ、ブリー郷の命運をかけた熾烈な攻防が幕を開けるのです。

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