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サクラさん (映画『めがね』)

「ああ。サクラさんは、桜か。」
昨日の昼下がり、洗濯物を干しながら気がついた。『めがね』のサクラさんは、春の桜だ。

サクラさんは、毎年春に島へやってきては、そっといなくなる。もたいまさこさん演じる、不思議な佇まいの中年女性なのだが、「なんだかこの感覚には心当たりがあるな」と、そんなふうに思わせる人物だ。


彼女が島にやってきた日は豪華なお弁当でもって歓迎され、毎日のように宴がひらかれる。サクラさんのいる日々は皆がどこか浮き足だち、自然と彼女のもとへ集まってくる。皆の様子を見ていると、憧れか愛おしさか、彼女に対する何かそんな感情を、それぞれに読み取れる。

春になると気まぐれに咲きはじめる桜。人々を虜にしたかと思うと、あっというまに去っていく。皆桜を愛でたがっている。春がくるのを楽しみにしている。そういうところが、そっくりだ。

何度観たか分からないほど観ていたのに、気がつかなかった。あるいは、私の過大解釈か。

どういうわけか春の季節と対極のいま、気がついた。久しぶりにまた観てみよう。


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