飛び越えて、夏

唐突だが基本的に家で過ごす時間は出来る限り服を着たくない。裸族の生き残りとは私の事だ。

春のうららかさが憂鬱で感じ取れないほどの僅かなものだったと思ったら鼻先に夏がいる。暑い。もう服を着て寝る季節は過ぎたのだ!とすっぽんぽんになってはみたが、若干の肌寒さが残る。

そこで導入されたのが紳士用肌着であるトランクスである。これが本当もう快適で、昨年から愛用しはしたが手離せなくなっている。

ただいつも購入する時に問題が多少生じてしまう。知り合いの働く百貨店の肌着売場で購入する機会が多いのだが、毎回プレゼントだと思われてしまう。しかし自宅用にしたら今度は同棲する彼のものとも思われる。違うそうじゃない、と心の中の鈴木雅之が熱いシャウトをかます。私が履くんです、パジャマなんです、と言っても理解が及ばないらしく訝しげな表情をされる。

こんなことならずっと裸族でいたかった、裸族の頃がとても懐かしく良い思い出に変わっていく… なんて書いたけど真夏は完全なる裸族なんだった、と甘い思い出になりかけた暑苦しい現実が引き戻される。

このご時世のせいで新しいトランクスを探しに行く事もかなわない。早く事態が収束して快適にトランクス生活を謳歌できる夏前の爽やかな日々がやってきてほしい。

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