【虚偽日記】変わったね、って言われた私は

 沈む。
 沈む。
 沈む。

 水の中。

 ボコボコと音を立てて。
 私は沈んで行く。
 水の中を。

 水の中?

 いや、水じゃないかもしれない。

 ここはどこ?

 まぁ、どうでもいいけど。

 沈む。
 落ちる。
 青い空間を。

 ここが水ならば水面。
 ここが空間なら天蓋。

 そこに揺れる。
 眩い光。

 揺れる。
 ゆらめく。
 くちゃくちゃと。

 手を伸ばしても届かない。

 きっと、そこは私の場所ではないから。
 私が居ても、居られる場所ではないから。

 流れに揉まれ、今いる場所で揺られながら
 私は下へ落ちている。

 段々と自分の輪郭がなくっていく。
 変わって行く、私が。
 揉まれ、流され、圧力で。
 私は変わりたいと思っていないし、変わろうとも思って無いのに。
 どうしようもなく、私から輪郭が溶ける。

 居たい場所へ手を伸ばす。

 けど、うん。

 私から下へ落ちたのだから。
 私が選んだ事なのだから。

 そっか。

 私の居る場所では無くて、居たい場所でも無くて。

 変わってしまった私は。

 落ちた底の逆から。

 ここが私の新しい場所なのだ。

END

あとがき
 これは自分が、上京して半年ぐらいが経った後。
 大切な人に言われた事で触発し書きました。
 自分自身は全く変わった自覚は無いのですが、環境が変わり新しい生活を送ると、他人の目からは変わった様に見えてしまうのです。
 悲しいです。

 地元にたまに帰ると、自分が居た場所は変わっていました。
 友達と話していても、自分の知らない話題で盛り上がり、自分の知らない所で知り合いがあーだこーだとなったと事後報告で知ります。
 モヤモヤします。

 自分自身で地元を出て、上京すると決めたのに、知らない間に知っている場所が変わったたり、知らない事を知ると、自分の居場所じゃない様に思えて仕方がないです。
 だから、帰るのが少し億劫になるのです。

 きっと、単純に寂しいんだと思います。
 そして、その寂しいのが、悔しいんだと思います。

 そんな気持ちの経緯がある本文でした。

以上

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