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IT人材の需要と人手不足の現状

【IT人材不足が拡大する】


経済産業省が2016年に発表した『IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果穂報告書概要版』(https://www.meti.go.jp/statistics/index.html)によると、今後予想されるIT人材の供給動向の予測と平均年齢の推移は以下のようになるとされています。

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上記から読み取れる通り、平均年齢が上昇していく一方で人材2020年をピークとして人材の供給が減少していく予測となっています。経済産業省が打ち出した方策としては『多彩な人材の活躍促進』『高付加価値領域への戦略的人材配置』『個々のIT人材のスキルアップ支援強化』『IT人材への処遇やキャリアなど、“産業の魅力”の向上』『先端IT人材、情報セキュリティ人材、IT起業家などの重点的な育成強化』を挙げています。

中でも『多彩な人材の活躍促進』には様々な意見が集まっており、外国人材やシニア、女性などを積極的に活用していく方針に期待が集まっているようです。

【IT人材採用のミスマッチ問題について】


東京都新宿区に本社を置くAtCoder株式会社が2020年3月に実施した調査(https://atcoder.jp/)によると、現在のIT人材の採用環境は以下のようになっているようです。

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全体として82.4%が人材不足を感じており、IT業界のみに着目すると82.2%もの企業が人材不足を感じている結果となっています。IT人材の採用が難しいと回答したアンケートを更に細かく分析すると、その原因は以下のようになります。

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最も多かった返答は『応募者数が少ない』、次いで『スキルを判断する定量的・客観的指標がない』『採用側にITの知識がなく判断しにくい』となります。2位と3位の原因解決策としては採用担当側にITの知識があれば多少は解決するはずですが、実際のIT人材採用担当者へのアンケート結果は以下のようになっています。

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全体として58.6%ものIT人材採用担当者がプログラミングの業務に従事したことがなく、44.3%はプログラミングの知識・経験が全くない状態です。

これではいくら有能なIT人材が育ったところで、正しく判断し採用することができません。

IT業界に着目すると、プログラミング業務に従事したことがある割合はトップで多いものの、同じ割合だけプログラミングの知識・経験がないIT人材採用担当が存在することが明らかになりました。

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上記のグラフはプログラミング業務経験・知識の有無別にIT人材採用担当に対するアンケート結果をまとめたものです。経験・知識のある担当と比較して、経験・知識のない担当の方が17.6%も多く採用できていないと感じています。

これらのデータから見るに、理想とするIT人材が採用できない『採用のミスマッチ』が起こる原因として『採用担当にプログラミング業務の経験・知識がない』ことから発生する『求職者のプログラミングスキルを客観的に判断する基準がない』ことが挙げられます。

結果として面接の印象やコミュニケーション力といった一般的な評価に依存してしまい、採用のミスマッチが起きてしまい人材不足が解消できない原因のひとつであると考えられます。

【今後のIT人材の需要と人手不足について】


以上の調査結果から読み取れるように、採用のミスマッチの解消が人材不足解消に大きく役立つことは明らかです。しかしながら、経済産業省が発表した調査は2016年当時のものでありコロナ禍で更に需要を増したIT業界の人手不足は急加速が予想されます。

一方で、IT人材採用担当に対する研修などの制度は未だ整っておらず、経済産業省が推奨する『多様な人材の活躍』に向けて採用のミスマッチが起こらない仕組みを確立するには至っていません。

子どもたちにプログラミング教育を行うのは、当の子どもたちにとっても非常に有益なことではありますが、社会や大人が受け皿を用意できていない現状をまず打破しなくては今後のIT人材不足は解消できないままとなる可能性が高いです。

子どもたちだけでなく、社会人・大人たちもまたプログラミングを学ぶべき時が訪れているのではないでしょうか。

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