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『Flowers EP』セルフライナーノーツ

(文責:ヒトミ)

2024年5月に『Flowers EP』を発売しました。
春らしい爽やかな楽曲ということもあり、絶対に春のうちに出したいと調整を重ね、なんとかギリギリで春と言える頃合いにお届けできました。

ひとつ前のリリースは『haruka』。
初のカセットテープでのリリースで、2023年4月発売でした。
その後にyk (Hello1103)のアルバム『海と記憶』のリリースもあったのでそれほど日が空いている感じがしないのですが、Hello1103名義としてはちょうど1年ぶりの新作公開となります。

Flowers

EP表題曲。
もともと「Hello1103 Live:VR Experience」で演奏するために作られたトラックなので、物語のような展開のしかたをします。
風が吹き抜けるようなダイナミックさ、視界の広さと高さを心がけました。
初音ミクがメインボーカルなのも久しぶり。

発想の源泉にthatgamecompanyの「Flowery」があります。
thatgamecompanyの作品はどれも大好きですが、最初に触れたのもあり「Flowery」はとても心にしみました。
あの世界を自由に飛び回ってみたい!と願った結果としてのVRワールド、そしてこの楽曲です。

YouTubeでMVもリリースしました。
もともとVRを想定した作品ということもあって、映像との相性がとても良い。
作中で登場する風船付きの椅子は「VR Experience」で使っていたアセットをそのまま持ってきたのですが、VRでは皆さんにこの椅子に座ってもらい、視界いっぱいの花畑のなかでこの曲を聴きながら悠々と飛んでいく、という世界でした。
実は椅子にプロペラが付いていて、謎の推進力でギュンギュン前に進んでいきます。

Fragrance

Flowersの中間部分が非常に良くできたので、それを発展させて形にしたアンビエントトラック。無数の花びらが微風のなかで空に漂うイメージ。
楽器はVOCALOID 初音ミクのみ、それにリバーブをかけただけのシンプルな構成です。
初音ミクNTは極端に低いベースラインを鳴らそうとすると自然にローが切れてしまいベースにならないのですが、V4Xは人間とは思えない音が無理矢理出せます。シンセとしてはV4Xの方が遊び甲斐があると思う。

ニコニコ動画では初音ミクを使ったアンビエント作品をミクビエントと呼びます。
非常に数は少ないけど、非常にニコ動らしさのある、愛すべき特殊性です。

こちらもMVをリリースしました。
VRのときもこのセクションは夜のワールドでしたが、MVではマシンの制約もないのでさらにリッチな世界に。
5月末に太陽風が吹き荒れたことで東京でもオーロラが身近に感じられたのがこの表現につながっています。

Flowers (yk cover)

yk (Hello1103) によるリアレンジ版。
ヒトミが作曲したオリジナルのFlowersをユニット内でカバーした形です。

『海と記憶』からスタートしたykのギター弾き語りもだいぶ曲数が増え、馴染んできました。
今ではすっかり彼女の個性のひとつに加えられたように思います。
『Haven』のアンビエント路線もライブで続けているし、コラージュやもちろんVJも等しく彼女の筆のひとつで、それらはすべてひとつの源泉から生み出されています。そのどれかひとつでもあなたの琴線に響けば嬉しい。

この曲はykの楽曲としてもSpotifyなどでリリースされました。
ミックスが若干異なるので聴き比べてみてください。


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