【学び】DXとは何か?
DX(デジタルトランスフォーメーション)に数多くの企業が注目している。しかし、DXということが独り歩きし、その本質は見えずらい。
結論、DXは従来のICT利活用とは異なる。従来のICT利活用は既存のビジネスを効率化していくことであった。しかし、DXは、ICTが産業と一体化することにより、ビジネスモデルそのものを変革させていくことである。
本記事では、DXの概要や背景について、見ていく。
概要-激しい環境変化への対応手段-
DXは、環境の激しい変化の中で、事業成長をするための手段である。DXは、データやデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズに対応していくことである。
"デジタルを活用して、圧倒的にかつ優れた顧客体験を提供し、事業を成長させること"
引用:『90日で成果を出すDX入門』須藤憲司(2020)
DXで重要なのは、顧客体験に着目することである。
現代のビジネスにおいて、顧客を囲い込み続けることは難しくなっている。なぜなら、現代人は日々の多くの商品に触れる。その中で、現状のビジネスモデルを維持するだけでは、顧客を囲い込み続けることは難しい。顧客にとって良いサービスに磨き続けることが重要である。
"企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。"
引用:『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン) Ver. 1.0』経済産業省(2018)
当然、データとデジタル技術の活用も重要になる。
ビジネス環境は激しく変化する。しかし、突然変異的に変わっているわけではない。発展していくデジタル技術に適応する形で、1社1社が変化しているに過ぎない。つまり、企業が生き残るためには、最新技術を自社の産業に上手く落とし込んでいけるかが勝負になる。
背景
ここまでは、DXの概要を見てきた。
次からは、DXの背景について見ていく。
背景①-デバイスの普及-
まず、DXはなぜ可能になったのだろうか。
スマートフォンやタブレット端末が普及したからである。
情報通信白書 令和元年版によれば、2018年時点で、世帯におけるスマートフォンの保有割合が約8割になり、個人におけるスマートフォン保有率も6割をを超えた。つまり、企業はスマートフォン向けのサービスを作成すれば、多くの人々にアプローチすることができるようになった。
また、法人内でもスマートフォンや個人PCが普及したことも大きい。これにより、toC向けのソフトウェアだけではなく、toB向けの業務ソフトウェアが発展した。
以上のように、スマートフォンや個人PCの普及により、DXを進めるための下地が整った。
背景②-企業の危機感-
次に、なぜ多くの企業がDXに飛びつくのだろうか。
多くの企業が既得権益が守られないことに、危機感を持っているからである。
特に、GAFAによる他業界への参入が危機になっている。元々のインターネットサービスに加え、交通分野・家電分野・健康分野などに参入している。つまり、従来からその分野で強かった企業にとっては、GAFAという大きな競合が突如現れたことになる。その脅威に抗うために、GAFA同様のIT力を企業が求め始めている。
業界内での重鎮的企業にとって、既得権益が守られなくなってきており、急速な変化の必要性を感じている。
詳細
ここまでは、DXが求められる背景を見てきた。
次からは、DXの詳細について見ていく。
詳細①-データの収集と活用-
まず、AIや機械学習といったワードがトレンドになっているように、DXとデータの利活用は密接に結びつく。
細かいデータの収集を行うための個人デバイスの普及、そのデータを分析するための機器のスペック向上。その2つにより、データの利活用が進行している。
データはビジネスの進め方を大きく変える。顧客やサービスの状況をデータで把握することで、確度の高い施策を進められるようになった。特に、顧客とサービスの状況をデータで分析し、素早くサービスを変化させていくことが重要になった。
詳細②-移動コストの低下-
次に、モノや情報の移動コストの低下が起きている。
例えば、情報はスマートフォンで簡単に手に入る。従来、情報を入手するためには、本屋で書籍を購入したり(場合によっては海外から取り寄せたり)、直接見聞きするしかなかった。しかし、スマートフォンで世界中の書籍を購入でき、Wikipediaだけでも大概の基礎知識は手に入る。
移動コストの低下は、ビジネスそのものを大きく変える。元々、移動コストの大小は、サービスに受け手に取って何の価値にもならない。(もちろん希少価値を高めるが、本質的に効用を高める効果はない。)つまり、移動コストを削ることは、確実に効用を高めることに繋がる。
おまけ-DXの基礎知識-
DX(Digital Transformation)の概念は、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した。
今後の記事予定
DXの背景や概要を本記事でまとめた。
今後の記事では、
①DXの課題……目標の不明確、人材の不足、他部署との調整
②DXのキーワード……2025年の崖、クラウド、ビックデータ、5G
などをテーマにリサーチできればと考えている。
参考書籍・サイト
1)下田幸祐・飯田哲也『企画立案からシステム開発まで 本当に使えるDXプロジェクトの教科書』, 日経BP, 2020
※DXを実際に進める人にオススメ。各工程のプロセスの中身が具体的に記述されている。
2)須藤憲司 『90日で成果を出すDX入門』, 日本経済新聞社, 2020
※DXの概要を知りたい人にオススメ。背景や事例が具体的に記述されている。特に、DXを行った企業へのインタビューも掲載されている。
3)Wikipedia 『デジタルトランスフォーメーション』
4)総務省 『情報通信白書 令和元年版』, 2019
5)経済産業省 『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン) Ver. 1.0』, 2018
6)エリック・ストルターマン 『INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE』, 2004
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