見出し画像

拝啓、立憲民主党様。「国民舐めんな」の言葉と真心を今君たちに。

いつのことだか思い出してごらん。あんなこと、こんなこと、あったでしょう?

「『三連休を挟めば忘れる』だなんて、国民を馬鹿にしないでください。」

この言葉が誰の言葉か覚えている人はいるだろうか。

2015年9月15日
Students Emergency Action for Liberal Democracy - s
自由と民主主義のための学生緊急行動
「SEALDs」という名で覚えている人も多かろう。
その創設メンバーの一人である奥田愛基が中央公聴会で民主党(当時)推薦の公証人として述べた言葉だ。

連日彼をも含む市民はシットインをしたり国会前で雨に打たれながらずっと声を上げ続けた。国会の中にまで響くその声を当時も議員バッジをつけていた人であるならば耳にしたに違いない。

今、ワタシはあの時のことを思い出している。
五輪によって祝日が移動し、四連休を経た昨日、26日に倫理委員会の結論が出され、27日の常任幹事会で処分の中身が決定したのだろうか。その処分を受けるより前に不適切発言をしたとされる本多平直(北海道4区比例)は立憲民主党を離党及び議員辞職をすることになった。

本多本人による記者会見は17:00から約1時間半にわたって行われた。「活発な党内議論を封殺する一部の動き」についてなど、本多平直自身の記者会見についてはこの動画リンクをご覧いただきたい。

【字幕あり】東京記者会見2021/07/27

【字幕あり】北海道記者会見2021/07/28

※当初別な方のYouTubeを埋め込みしておりましたが、本多平直元議員より公式の動画が発表されたため差し替えました。

そもそも、ハラスメント防止対策委員会とやらのずさんな報告書のほかは、倫理委員会で話し合われている最中または事前に産経新聞にリークされたとしか時系列としては考えにくい「寺田学の意見書」なるものでさえ、まともに開示されていない。その中での結論ありき、処分先行の糾弾だった。

立憲民主党その成り立ち1

国会前に連日市民が詰めかけた6年前のあの時、福山哲郎や枝野幸男は何と言ったか。

福山さん、ワタシは今でもはっきりと覚えている。
あなたはこう叫んだんだ。

「武士の情けで(最後まで)聴け!!黙って!」

ネット上では「福山哲郎が感情的にルールを守らなかった人物」として印象操作するために、アンチによってこの部分だけが切り取られて今も拡散している。

しかし、あの時なぜ福山哲郎が怒り叫んだのか。
その前後を改めて思い出したい。

※動画をダウンロードすることが苦手な方のために下記に書き起こしを添付する。内容は2015年9月安保法にかかるフィリバスターでの福山哲郎氏の発言である。また、圧縮版となっているのは、noteの規定に沿って100MB以下にする必要があり、圧縮前の動画と区別して圧縮版という名称になっている。

ところが委員会の報告がないということは地方公聴会をしたのにも関わらず、実は採決としては重要な重大な瑕疵があるということが明らかになりました。そしてこのことは野党の採決権が剥奪されたことに加えですね、公述人、公述人、は外、外部の方です。外部の方が委員長のお願いで要請で公述にこられました。そしてその公述に来られた方の公述が委員会に報告されませんでした。委員会がその報告を受けなければ議事録には載せられません。
つまりこのままでいうとあの地方公聴会は開催され、公述人の方がしっかり公述されたのに議事録に載らない、ということはあの公述人の地方公聴会はなかったものにされます。
これは外部との関係です。
さきほどからルールを守れと言われていますが、いいですか?時間を制限した10分や20分よりも採決の要件である地方公聴会の委員会報告がないほうがルールとしては大変な瑕疵になります!
(中略)外部の方の議事録がこのままなくなったことにされてしまうということは、参議院としての最大の汚点を残すことになります。そしてそれはこの採決が無効であることになります。
(中略)自民党の筆頭理事に今日、昨日の夕方からこの問題を申し上げて「議事懇を開いていただいて、委員会をとにかく短期間でもいいからやらないと議事録に残らないから、やってくれ」とお願いをしたのに全く持って音沙汰ナシ、黙認をされました。これこそが言論封鎖じゃないですか!みなさん!
私はこういったことが政治の信頼をなくすという風に思います。

そしてここからあの発言に続きます。

8分がなんだ!あなたたちは!あなたたちは!我々の審議を昨日打ち切ったんだ。そのくらいのことは寛容で武士の情けで聴け!!黙って!

これが「武士の情けもないのか!」とだけ切り取られて拡散され続けている、福山哲郎のフィリバスターの内容。この時福山哲郎はまさに「手続き論を軽視するな。守れ!」と強く訴えていたのである。

「もう6年も前のことだから」「その時とは党が違うから」もう関係ない、こじつけだ、そう反論されるだろうか。

あなた方が裏切ったのは本多平直1人ではない

でもね、福山さん。
我々は「政治に無関心でいられても、政治に無関係でいることはできない」ように、たとえ手続き論に無関心でいられても、手続き論を馬鹿にしていても、手続き論とは無関係でいられない。

この国が民主主義、立憲主義に立つならば、デュー・プロセスと罪刑法定主義が最低限備えられるべき土台であることは京都大学大学院法学研究科修士課程を修了したあなたの方がワタシよりよくご存じだろう。

まして事の発端となった本多の不適切発言は、性交同意年齢の引き上げを議論する性犯罪刑法改正のワーキングチーム(以下、「WT」)での出来事だった。これは刑事罰のあり方を考えるWTだ。それも基本的には本多平直の言う通り「特に人に重い刑罰を課す法律」の議論である。

にもかかわらず、刑事法の大原則を党内議論の段階から守ることすらしなかった。

そう、明確に、あなたがたの意思で一つの声は封殺されてしまった。

本多平直という一所属議員の声を潰しただけだと思うなかれ。
彼の背後には彼に票を投じた90,619票(2017年10月22日(日) 第48回衆議院議員選挙 北海道4区)、およそ9万人の有権者がいることを忘れるな。

そんな御党の政策案が我々の信任を得られると思っているのだとすれば、それこそ思い上がりではないのか。

今まで歴史が積み上げてきた法倫理や自由と民主主義を、
そして何より権力を監視し続ける我々を舐めるなと言いたい。

しかし、いまいちプロセスを無視した処罰優先の断罪がなぜ立憲主義や民主主義を著しく破壊せんとする行為なのかを理解できない現役の弁護士や学者や報道記者もいるようだ。そのような「フェイク知識人」のために無学なワタシは可能な限り、平易な言葉で、その問題点を引き続き論じてみようと思う。

ワタシは今回、あの非常に読みにくく、ずさんな報告書をワタシの夫(馬の眼)やツイキャスのリスナーさんたちとともに読んだ。そのうえで今、ワタシはあなたに問いたい。

福山哲郎、あなたに武士の情けはないのだろうか。

本多平直は立憲民主党の名誉を保つために今、詰め腹を切らされようとしている。

しかも、およそ第三者的と言い難い、立憲民主党ハラスメント防止対策委員会の「調査報告書」や、倫理委員会で話し合われている最中または事前に産経新聞にリークされたとしか時系列としては考えにくい「寺田学の意見書」なる謎の文書、またはその報道を根拠にして。

特にハラスメント防止対策委員会調査報告書の致命的欠陥については馬の眼が詳しく書いている。ワタシがここで論じるよりずっと精緻な論考なので、何がどう悪辣な報告書であるのかはこちらをご参照いただきたい。

なお、寺田学はこの意見書を産経に部分的にリークされたままにしておくべきではない。WT座長として今回の騒動の責任を取る必要がある。これだけ問題が大きくなり、一所属議員が離党するまでに至ったのだから、すべての人が事の顛末について公平に知る機会を得るべきだ。さしあたり早急に寺田学意見書を全文公開することをワタシは要求する。

※記事執筆中に何故か「寺田学意見書」をフェミニストライターである小川たまかが所持していることが判明した。産経同様一部分のみを切り取った記事だ。小川たまかはどのようにこの意見書を入手したのか。少なくとも「録音出してもいい」という寺田発言を末文に書くくらいだ。小川や産経が寺田意見書を入手した経緯も含めて、寺田学はますますすべての人の前でその意見書の全文を含めて説明責任を果たすすべきである。

さすがにもう政党のガバナンスどころの話ではないだろう。
寺田学が好き勝手リークしまくっているのをこのまま立憲民主党執行部は看過するのだとしたら、それは即ち党執行部の確固たる意思によって寺田学の暴挙を容認しているとみなしてよいだろう。

さていったん話を戻すが、詰め腹とは切腹の動機が「職務上の責任や義理を通すため」であるときに使われる言葉であり、コトバンクによれば、

① 他から強いられて切腹すること。
② 強制的に辞職させられること。
③ 他から自分の意にそわないことを無理にさせられること。

とある。今まさに本多平直は強いられて切腹させられようとしているのである。

正式な弁明の機会を事前に与えられていなかったことは本多本人のツイート証言(リンクはtogetterまとめ)でも明らかだ。闇討ちの如き断罪は、まさに罪刑専断主義というに等しい不当な処遇であり、封建制の時代への逆行に他ならない。

最も先に挙げたフィリバスターの動画を見れば、福山哲郎は「外部」という言葉を多用しているのだが。

よもや福山さん、あなた、本多の処分は内々のことだから「手続き論はもはやどうでもいい。衆院選に影響がある」などと周囲に語ってないだろうな?まして処分すら決まってない段階で本多の地元のメディア北海道新聞に言ってないだろうな??

そんなバカげたことを言った幹部が誰かをワタシは知らないが(バイネームで書かれてないので)、少なくともあなたでないとワタシは信じたい。

※文中「手続き論はもはやどうでもいい。衆院選に影響がある」と報じられた記事
立憲、衆院見据え「引導」 本多氏不適切発言で公認取り消しへ

立憲民主党の成り立ち2

ところで立憲民主代表の枝野幸男さん。
あなたは結党の時、こう言ったのを覚えているだろうか。

「立憲民主党はあなたです」

そもそも立憲民主党はどのようにして成立したのだろうか。

この方のツイートにもあるように、立憲民主党はまさに「小池百合子の排除リストのやり方がおかしい、手続きがおかしいということが発端で」立ち上がった政党だ。

「民進左派は排除する」小池百合子氏明言 維新は東京で擁立見送りへ

小池氏は会見で「(リベラル派が)排除されないということはない。排除する」と断言し、「安全保障、憲法観といった根幹部分で一致していることが政党構成員としての必要最低限だ」と重ねて強調した。

まさに立憲民主党は立憲主義に依って立つ、民主主義を実現するための政党として、手続き論の重大な瑕疵にプロテストして生まれた政党だったはずだ。この時点では安保法の際に福山哲郎の行ったフィリバスターの姿勢と結党理念は一貫していた。

今起きているのは当時の小池百合子同様の「排除の論理」ではないのか。
これでは一体何のために立憲民主党が立ち上がったのか、その存在意義そのものを根底から、自ら滅ぼしてしまったとしか言いようがない有様なのである。

「立憲民主党はあなたです」

立憲民主党はあなたです

この字は枝野幸男代表、あなたの直筆の文字ではないのか?

今こそボトムアップを受けて党はアップデートすべし

ところが結党以来、ハッシュタグ 「立憲ボイス」がまともに機能した形跡がない。令和デモクラシーだ、ボトムアップだと謳っていたはずの立憲民主党。その一つの目玉だったはずの ハッシュタグ 「立憲ボイス」

立憲民主党関係者は本多の不適切発言が報じられて以降、この #立憲ボイス を確認しただろうか。

この声に耳を塞ぐのなら、「小さな声を聴く力」さえ持たないハリボテ政党ということになってしまうだろう。今こそ立憲民主党はボトムアップによってその人権感覚をアップデートさせるべきだ。これはまたとないチャンスである。逆に言えばここがポイントオブノーリターンとなるだろう。

あなたがたは『四連休を挟めば忘れる』『五輪が終わるころには忘れる』『衆院選が始まればなんだかんだ立憲民主党に追い風が吹く』だなんて思ってタカをくくっていないか。思っていたよりも幸先の良い各世論調査に胡坐をかいていないか。

だとしたら国民を馬鹿にしないでいただきたい。
選挙権を持つ者も、持たない者も、あなたがたの動向を監視し続けている。
少なくともワタシは今日のこの日を忘れない。

民主主義は「諦めたらそこで試合終了」だ。
今後もしつこくしつこく「文書を開示せよ」「プロセスを明らかにせよ」と要求し続ける。あれほどないと言われてきた赤木ファイルは実在した。そして最高裁という法の番人の前に確たる証拠の一つとして提出されたのである。

同じことだ。
相手が誰であっても、何年かかってもintegrityを持たない議員は落選させられることになるだろう。歴史書に名を残すことがないであろう、無名の、サイレントな、アノニマスな我々市民の手によって。



※政治に無関心でいられても、政治に無関係でいることはできない
この発言は一般にはSEALDsによる発言だと捉えている人も多いが、

初出は2014年12月06日、亀井静香の選対本部長を務めた佐藤公治前参院議員(当時)の発言である。

当時亀井静香は嘉田代表と小沢一郎の党内対立によって所属していた日本未来の党から離党し、その後参加したみどりの風も解散したため無所属として広島6区から出馬。これが亀井の引退前最後の選挙となった。この選挙で佐藤は尾道の街宣に現れ亀井の支持者の前でこの発言を行った。佐藤公治は紆余曲折を経て現在は立憲民主党に所属(広島6区)している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?