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お守りの話-福田花

車にかけられた交通安全のお守り。
親友の母が作ったターコイズ入りのビーズの指輪。
高円寺で買った羽にオパールが入ったちょうちょのネックレス。
姉が誕生日にくれたシルバーのネックレス。
チェコで買った紫色のちょうちょのブローチ。
オレンジ色のピースマークがついたブレスレット。
下北沢で買ったインドの刺繍ワンピース。
緑色のサンバ。
キャンバスのメリージェーン。
楮で編まれたカゴバッグ。
それにぶら下げたテト。
坊主の私。
ハロッズで買ったうさぎのぼて。
ハルさんが作った緑色の服。
初めて買ったティファニーの指輪。
友達が作ったプレイリスト。
はるかな地へのLP。
スウェードの8ホール。
アンダーグラウンドの厚底。
モロッコのバッグ。
私の詩集。


私が大丈夫になるお守り。
全部は持っていけないから選んで持っていく。
おうちにも居てもらう。

お守りはあればあるほど嬉しい。
あればあるほど何かを持っていられる。


長くなった髪が鬱陶しくなって私を守ってくれない気がしてきた。
あの時した坊主は私をアジアンでも女性でもない個人にしてくれていた。
私は髪の毛をコロコロ変えていた。それで強い部分が変わっているように思う。強いというか自信みたいなもの。

髪を伸ばすようになって2、3年経つ。
それまではずっとショートカットで金髪やピンクなどの色にカラーしたりと今とはまるで違う。当時の髪も良かったなあと思う。
最近はロング派になりつつあった。服装的にもロングが似合うような気がしていたから。

でも、髪の長い私はなんだかよわっちい。ちっとも欲しいと思っていなかった私の女性的な部分を公にしているようで恥ずかしい。

とはいえ少し気に入ってもいる。
それを受け入れようともしている。

好きな人が私の髪を触って、それでいいような気もしたりする。

それでもたぶん私はそのうち髪を切る。
お守りどころか弱くなっているような気がするから。


持っていけないお守り、忘れたくないことを思い出せるようにしておけるように体に刻むのは自然なことかなと思う。
髪を切ることもそのひとつ。タトゥーなんかもそのひとつ。

わたしの大事なものはわたしの肌が触れられるようにしておいて、大丈夫を増やしていく。

小さな世界でどしっと生きていくためによわっちい私が強くいられるまじないをあらゆる方法で手に入れていく。

写真はうさぎのぼて。

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