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業界外からCG映像制作会社に入るには…

こんにちはHelgaです。久しぶりに山以外のトピックを書きます🤯 

今回はタイトルの通り、独学でCGを学んでいる方が、この業界を目指すにあたって、まず知って欲しいことと、知った上で次にどうするか、のヒントをいくつか書きたいと思います。もちろん、今専門学校に通っている学生さんにも少しは役に立つかなと思います。

なお、本記事は所属する会社の見解ではなく、あくまでも私個人の見解ですのであしからず…
また、業界外の方向けに書いているので、細かいご指摘はご遠慮ください。泣いちゃう


やりたいことを、職種に変換しよう

学習の開始や就活のタイミングで、悩んだり苦労している方に割と多くみられるのが、きっかけがそのままやりたいこと化している、と言う状態です。

例えば、ポ*モンが好きだから、ポケ*ンの映像を作りたい!という人がいるとしましょう。趣味でフルCGアニメーションを作成する動機としては十分ですが、CGを「仕事にする」なら、それをいったん職種に変換する必要がありそうです。

まず、「仕事で作りたい映像はどんな種類の映像か」考えてみましょう(このとき、好きなキャラクターなどIPのことは一度脇に置いておきます)。

映像の形式は?
・映画、シリーズなどの長尺の映像
・CMやPVなど短尺の映像
・ライブやインタラクション用の映像
・ゲーム内のシネマティック
など…

映像のジャンルは?
・実写VFX
・フルCGアニメーション
・作画(風)のアニメーション
など…

なぜ、このように映像を分類するかと言うと、映像の形式やジャンルの違いは、全般的なワークフローや、プロダクションの性質の違いに直結するからです。

つまり、何人くらいで、どんなソフトウェアで、どんな工程に分けて、どれくらいの期間で、どんなジャンルの映像を作るか?の違いです。

次に考えたいのが「これらを作るときに、自分は何を(どの工程を)やりたいか」です。

フルCGの場合、代表的なのは次のような工程です。

・モデリング(キャラクターや背景などの造形物を作る)
・リギング(キャラクターを動かす仕組みをつける)
・アニメーション(レイアウトをしたり、キャラクターに動きをつける)
・エフェクト(エフェクトを作る、破壊などのシミュレーションをする)
・ライティング(ライティングする)
・コンポジット(レンダリング結果を合成して絵作りをする)

上記は、直接CGのデータを触る作業をする人たちですが、中にはコンセプトアーティストやストーリーボードアーティストなど、CGの工程の前に行われるものもあります。

長尺の映像を作ることが多い会社では何人ものアーティストが工程ごとにチーム分けされていることが多いですが、各工程を兼務するタイプのアーティスト(≒ジェネラリスト)が数名集まって制作を行う会社もあります。

一般的なCG映像制作の工程に明るくない方は、まずはCGの映像がどのように作られているのか、調べてみてください。

求められるスキルを知ろう

さて、ここまで読んで頂けたら、これまで漠然と「こんな映像が作りたい!」という思いだったものの解像度が少し上がって、具体的なやりたいこと=職種のイメージがぼんやりと見えてきたのではないでしょうか?

次に行うのは、その職種に求められるスキルの確認です。CG映像業界の求人場合、必ずなんらかのソフトウェアを扱うスキルが必要になります。車を運転できない人が、タクシードライバーになれないのと同じです。

例があるとわかりやすいので、弊社の求人を見てみましょう(手前味噌ですみません)。

例えば、アニメーターは、Maya、Motion builderを使用と書いてありますね。また後者に関しては、使用歴がなくても問題ないと書いてあります。

(おや、ソフトウェアの欄にBlenderがありませんね。そうです、弊社はMayaベースのパイプラインのためBlenderのみでの募集は現状ありません。)

また、アニメーターが、プレビズやレイアウトといった作業を行うとも書いてあります。アニメーションをつけるだけでなく、そのシーンのレイアウトやカメラをつける技量(センス)も必要ということです。

これは、あくまでも弊社のアニメーター(未経験)の場合の応募条件です。他の会社では、Blenderや3dsMaxがメインツールかもしれないし、そもそもアニメーターが独立した職種ではないかもしれません。

自分が作りたいと思う映像を作っている会社の、希望職種の応募条件をきちんと確認することで、金銭的にも時間的にも就業までのコストを最小限に抑えることができます。

その会社の応募職種に自分のスキルがマッチしないときはどうでしょう? 残念ながら、どんなにポートフォリオが良くても、採用側で実際のワークフロー上でどこにアサインできるか検討がつかなかったりして、採用は見送りとなることがあります。これは映像業界に限ったことでもないのですが…

作品が悪かったのかと落ち込まずに、足りないスキルセットを補っていきましょう。

補足: 基本的に日本のCGプロダクションは海外のそれと比べると規模は大きくありません。そのため、海外ほど職種も分かれておらず、場合によっては日本でまとまった求人が存在しない可能性もあります。海外就労を目指すのでない限り、まず日本での求人の内容を見たほうが良さそうです。

適切な訓練を受けよう

最後に、独学で業界入りを目指す方にとっては身も蓋もない話をします……。

可能なら独学ではなく、就業を前提としてなんらかの専門教育、職業訓練を受けてください。それがもっとも早く業界入りする手段だと、私は思います。

いわゆる専門学校の短期コースに通うもよし、就職斡旋のある選抜式のスクールに通うもよし、個人的なチューターを探して月謝を払うもよし…

もし、CG映像業界に入りたいと思うなら、ある程度思い切って行動することをおすすめします。なぜかと言うと、CGは覚える知識やツールがたくさんあり、あっちこっち迷うほど頭のメモリもお金も無くなっていくからです。

「こういう映像制作に携わるために、この職種で働く」と決めて、然るべき職業訓練を受ける、これが最もかける期間が短くお財布にも優しいやり方だと私は思います。

専門学校の中には、国の補助金(リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業)の対象になるコースもありますし、選抜方式のスクーリングの中には、受講料無料というパターンもあります(最終的に採用する企業が採用フィーをスクールに払うため)。

CGの勉強にはなんとなく、数百万円かかるイメージがありませんか? 実際には学ぶ範囲を絞れば、もっと現実的な金額で習得することが可能なのです。

好きなことを仕事にしなくてもいい

おわりに、今BlenderやUEなどの無料で利用できるツールでCGに触れ、楽しく映像制作をしている人に伝えたいことがあります。

それは、好きなことで生きていこう!なんて言って、無理にCGを仕事にしなくてもよい、ということです(ええ〜!?)

ピアノを弾くのが好きな人は皆、ピアニストやピアノの先生でしょうか? そんなことはないですよね。

同じようにCGで映像を作ることも、今の時代、仕事でしかできないことではなく、自分の心のためのアート活動として続けることが可能です。

実際、仕事となると作りたいものばかり作れる訳ではありません。ときには納期に追われ辛い思いをしながら制作することもあります。社内でチェック動画をあげても、SNSのようにいいねはつきません…

自分にとって映像制作とはなんなのか、一度よく考えてみてください。その上で仕事にしたいという気持ちがあれば、ぜひ仕事にできるよう頑張ってください。

う〜ん、ながい!

おしまい


補足 Blenderでの求人について

Blenderがメインツールでない会社の場合、ポートフォリオがBlender製だから見もしないということはありませんが、おそらく面談で「今後、Maya(などのメインツール)を習得する予定があるかどうか」は聞かれると思います。そのときどう回答して、どう行動するかはあなた次第…

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