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児童文学における表現の規制/チョコレート工場の崩壊

2023年2月22日(水)

映画化もされて世界的に有名になった『チョコレート工場の秘密』や私が愛している『おばけ桃の冒険』などを執筆した
イギリスの児童文学作家ロアルド・ダールの作品の表現が、とある団体によって変更されたという記事を目にした。

変更内容としては、「fat(太った)」「ugly(醜い)」「black(黒い)」「white(白い)」という形容詞や、
精神疾患を「mad(気が狂った)」「crazy(クレイジー)」と表現した箇所が削除されたそうだ。

他にも、『チョコレート工場の秘密』のオーガスタスは、
「enormously fat(巨大なおデブ)」ではなく「enormous(巨大)」に変更。

英語では「Men(男性)」が「人々」の意味で使用されることが多く、
問題となってきたため、『おばけ桃が行く』においても「The Cloud Men」は「Cloud People」に変更されたという。

それらの変更が著者の直接的な意思であるならば納得できるのだが、
変更したのはInclusive Mindsという団体だそうだ。

Inclusive Mindsとは2013年に設立された団体で、
児童文学の表現を適切なものとすることを活動としているらしい。

私は作家が書いた文章を本人の意思を確認することなく、
その時代に即した形で変更していくことには断固反対である。

それは作家に対するリスペクトが欠けている行為であるし、
これからを生きる人々に過去に起きたできごとを学ぶ機会を奪ってしまうことになりかねないからだ。

確かに現代の感覚から読むとロアルド・ダールの作品には差別的な表現があることは認めざるを得ない。

ただ、上記のことを包括して考えると表現を変更するのではなく、
問題のある箇所に注釈を入れて「何が問題なのか」を説明する方が圧倒的に有意義ではないだろうか。

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