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「いつか行こう」「そのうちやろう」という劇毒/二階堂奥歯の足跡を追う

2023年1月24日(火)

タイトルから自己啓発系の記事であることを想像した人も多いと思う。
けど、これは「朝活をしよう」「ミニマムに生きよう」「自己投資を惜しむな」といった類の話ではないことを先述しておく。

私の座右の銘である「物語をまもる者」という言葉の起源は、故・二階堂奥歯という女性の編集者が言い出した言葉に由来している。

彼女は約20年前、26歳の誕生日を迎える寸前に自らの命を絶ってしまった。
しかし、彼女の言葉は『八本脚の蝶』というブログで生き続けている。

このブログには、彼女が愛した書籍の引用や考察、ファッションや香水、日常の話などが書かれている。
ちなみに私の記事のスタイルも完全に奥歯さんを意識したものである。

一介の本の虫として彼女を尊敬している私は、彼女がブログ内で言及したお店に足を運ぶようにしている。所謂「聖地巡礼」という行為だ。

その過程で井の頭公園にある「宵待草」という喫茶店を訪れたのだが、なんと閉店してしまっていた。

2002年3月17日(日)

日曜午後の井の頭公園でシージャック断念。

公園でボートを漕ごうとしたら、池は芋洗い状態でボート待ちの人は長蛇の列。仕方がないのでシージャックしてやろうと思いつく。水辺で待っていて、下手なボートが岸辺にドンとぶつかったら漕ぎ手の背中に傘の先を突きつけて「振り向くな。そのまま降りろ。」と言うのです。
というわけで池のそばでボートを物色。
さすがに家族連れはよそうと思いました。折角お父さんがいいとこ見せてるのにシージャックにあったりしたら、子供の成長に悪影響を及ぼすかもしれません。
カップルがいいと探したけど、カップルは全然いないのです。井の頭公園でボートを漕ぐと別れるというジンクスがここまで浸透しているとは驚きでした。
家族連れでないボートで目に付いたのは一隻きり。
なぜかスーツを着ている二十代後半の男性三人組でした。
あまりお近づきになりたくないのでそれはやめました。

シージャックをやめた後は公園を抜けた先にあるレトロな喫茶店の宵待草でお茶を飲みました。

八本脚の蝶

建物はしっかりと残っており、看板も確かに残っている。
確かなことはわからないが、あと数か月、あと数年早く訪れていれば営業している宵待草で珈琲を飲めたのではないだろうか。

ただただ、残念である。
「いつか行こう」「そのうちやろう」は毒でしかない。

大学生の頃に「将来はロシア旅行をしよう」なんて思っていたがこの有様である。
「行こう」「やろう」は思い立った時に動き出すべし。

カメラ買うぞ!


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