「生きてるっていいね!」
先日、友達と明石まで電車の旅をした。
実は、その友達が2月に持病の手術をすることになったので、私から、ちょっと遠出しておいしいもの食べて気分転換でもしようよと誘ったのだった。
手術が決まった時の友達はすごく落ち込んでいたけど、考えていたほど重症ではなかったことがわかって、魂がどこかへ行ってしまっていた友達はすぐに自分を取り戻していた。
この病気になって、治療をしてつくづく思うことがある。
食べることは生きることだ。
私は、さいわい味覚異常はほとんどなかった。
EC療法の終盤で一度だけ、チョコレートが甘くなかったことがあって、ついに来たかと思ったけど翌日には甘くておいしかったので、本当にそれだけ。
抗がん剤投与当日に口の中が苦くて気持ち悪いこともよくあったけど、それもその日だけ。
調子が悪くて、ゼリーや果物、ざるそばばかり食べていた時期があった。
もうゼリーもざるそばも見たくない・・・
見るとあの頃を思い出す・・・
と言いながら、いただいた高級ゼリーを食べたらものすごく美味しかった。
きっと今年一年は常に、『ああ、去年の今頃は・・・』と思ってしまうのだろうけど、こうやって友達と笑ってしゃべりながら電車にゆられていると、休日は治療に通院しそれ以外は必死で働いていた頃を思い出す。
こんな日がくるとは思いもしなかった。
ベラベラしゃべってゲラゲラ笑っていると、あっという間に明石に着いた。
『さぁ〜食べるで〜!』
準備はいいか!
去年は骨髄抑制が来ていたので、お刺身は食べられなかった。
実は、今でもあまり回復していなくて、調べてみると好中球が1000くらいの時がある。
「これで、熱が出たりしていなければ、まぁ大丈夫でしょう。でも感染には気をつけてくださいね。」と主治医に言われて少し気にはなるけど、
もう、食べるんじゃ〜〜〜〜!
いつ死ぬかわからんのに、がまんできるか〜!
と、お刺身と天ぷら定食を頼む。
ああ、日本酒が合いそう・・・
ちょっとだけ呑もう。
小さいのを頼んだつもりが、とっくりで来た。
友達はお酒は呑まないので、多かったら残そう。
気がついたら全部なくなってた。
誰が呑んだん?
ひひひひ。
目の前の最高においしいお刺身と天ぷら定食と昼間から呑む日本酒を見ると、うれしさが溢れ出してきた。
私、生きてるなぁ〜!
最高やなぁ〜!
今、リンツのチョコレートのような色とりどりの世界にいる。
生きて、友達と笑いながらおいしいものを食べて、これ以上の幸せがあるだろうか。
ついつい弟にLINEする。
『生きてるっていいね!』
そうメッセージを送った。
一番心配をかけた弟に、元気に楽しく過ごしていることを伝えたかった。
ありがとうの気持ちを込めて。
生きるって本当に難しくて、なんて素晴らしいのだろう。
よし、次は明石焼きや!
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