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ツンデレ(第8回ヘイヨーさんのオタク講座)

ツンデレって知ってます?

ツ~ンと厳しい態度取ってたかと思ったら、いきなりデレッとしてきて「好きよ!好きよ!」みたいにやってきて、そのギャップがたまんない女の子のことですね。


この前、「笑傲江湖(しょうごうこうこ)」のドラマ見てたんですけど。

令狐冲(れいこちゅう)任盈盈(じんえいえい)が道を歩いてたら、少林寺の人たちと出会うんですよ(令狐冲ってのが主人公で、盈盈はヒロインです。この時、令狐冲は不治の病におかされてる)

で、一悶着あったあとに、少林寺の偉いお坊さんが「うちに来れば、その病を治せるかもしれないよ?少林寺の最高奥義にどんな病気でも治せる技があるんだ」みたいなことを言い始めるんですよ。

ただし、その奥義を伝授するにはいろいろ条件があって、その条件の内の1つに「悪い奴とつき合ってはならん!」ってのがあるって言うわけです。

で、盈盈はムッチャ悪い教団の元教主の娘なんです。悪い奴の代表格!絶対つき合っちゃいけない人物なんです!

だから、その条件を聞いた盈盈は「あっそう。それはちょうどよかった。コイツとは出会ったばっかりだし、別に仲いいわけでもなんでもないから。じゃあ、ここでお別れね。バイバ~イ!令狐冲、しっかり病気を治しなさいよ~」なんて言って、その場を去っていっちゃうんです。

いや、そんなわけないんですよ!だって、盈盈は令狐冲にベタぼれなんだもん!ムッチャ好きなんですよ!でも、令狐冲の体のことを心配して自ら身を引くわけです。

それを聞いて、令狐冲はなんて答えたと思います?


「いや、オレはね。アイツに恩があるから。ご厚意はありがたいけれども、そういう条件なら奥義はいりません。どうせ盈盈に救ってもらった命だから」って言って去っていっちゃうんですよ!

カッコイイ!超カッコイイ!


で、盈盈のあとを追いかけていった令狐冲。道端で盈盈を見つけるんです。

そしたら、なんと盈盈、泣いてるんですよ。

「うえ~ん!令狐冲行っちゃったよ~!さびしいよ~!シクシク…」とか言って泣いてるんです。


それを見て令狐冲は後ろからそっと近づいていって「アレ?お嬢さんどうしたの?天下に名高い悪女様を泣かせたのは、どこのどいつなんだい?」って声をかけるわけです。

それを聞いて盈盈、超ビックリですよ!

「え!?令狐冲、なんでここにいるの!?あんた、病気を治すために奥義を学びに行ったんじゃないの?」って。

「いや、そんなことはできん。奥義を伝授されるよりも、お前と一緒にいることの方がしあわせだ。お前にもらったこの命。残り短い命だが、お前に捧げよう」みたいなことを令狐冲が言うわけです。

で、また嬉し泣きですよ。


こんな恋、してみたいわ!!


これ、書かれたの1969年ですよ!日本では、まだ「ツンデレ」っていう言葉どころかツンデレの概念もなかった時代!

ツンデレの鑑ですよ!


これだけ聞くと、「任盈盈かわいいな~」と思うかもしれません。でも、怒った時はヤバイんですよ。ツン期もヤバイんです!

「お前らのせいで令狐冲にフラれただろうが!どうしてくれるんじゃい!」とかいって、台風のごとく大暴れして酒場1軒破壊したりするんですw

さらに、愛する者のためなら人を殺すことすらいといません。


「殺人名医、平一指(へいいっし)」ってのがいるんですけど…

平一指は天下一の腕を持つ医者なんです。いうならば、ブラックジャックみたいなものですよ。ただし、人を治す時にひとつだけ条件があって。それが、お金とか金銀財宝じゃないんです。

「ひとり救ったら、ひとり殺す」ってのが条件なのです。そうやって、人口が増えすぎないように世界のバランスを取ってるわけなんですね~

で、それを聞いた任盈盈、あっさりこう答えます。

「あ、そう、わかったわ。誰か一人殺してくればいいのね。令狐冲の病気を治せるんだったらお安い御用よ!」って。

おっそろしい人ですね~!さすが魔教の教主の娘だけあります!

でも、令狐冲はそれを許さないんです。

「オレの命が助かっても、世界のどこかで関係ない誰かが死ぬんだったらオレは断るよ。このまま命が尽きた方がいい」って答えるんです。令狐冲、どこまでも義理堅いんです。正義に生きる男なんですよ。


ま、ちょっと話がズレちゃいましたけど。

金庸先生は「ツンデレ」ってのがよくわかってたんですよ。心を揺さぶるのが得意な作家なので。ツンデレという言葉自体はなかった時代でも、概念自体を理解してたんですよ。

みなさんのツンデレ体験、よかったらお聞かせください♪

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。