見出し画像

『レユレユとソフィア』

こうして完成した作品は『レユレユとソフィア』と名づけられました。

記憶をなくした少年レユレユが、新世界へと送られて、様々な職業を体験しながら成長してゆく物語です。

職業安定所を訪れたレユレユが最初に働き始めたのは、街の旅館。それから、「散髪屋さん」「お話聞き屋さん」「出版社の編集者見習い」などの職業を経て、最終的には「宗教団体の教祖」となって、人々に大きな影響を与えるというストーリー。ソフィアというのは女性の名前で、レユレユと結婚し、子供を産むことになります。


ベースとなったのは、『僕の改革 世界の改革』でした。今回の舞台となる世界も「伝説の悪魔」が創造したもので、この世界をレユレユが旅します。

ただし、テーマは全く別のモノに変えました。『僕の改革 世界の改革』の時は「無気力・気力」「革命」「労働」「無職」といったテーマを前面に押し出した作品でしたが、今回は思い切って「働く」というコト1本に絞りました。

もちろん、そこは飽きっぽいヘイヨーさんが書く小説なので、分身であるレユレユも、次から次へと仕事を変えながら、世界を旅して回ります。作品のあちこちにふんだんにユーモアも散りばめました。


当初、全90話で終わらせる予定だった『レユレユとソフィア』ですが、ハイテンションで書き続けるに従って、「このままでは終わらないな…」とわかってきました。

そこで、1ヶ月ほど予定を変更して「全120話」としました。続けようと思ったら、いくらでも続けられたのですが、際限なく書き続けても仕方がないので、一応のケリをつけた形です。


『レユレユとソフィア』は、ヘイヨーさんの人生の中でも、一大転機にあたる作品です。

第1に「120日続けて、コンスタントに小説を書き続けること」に成功しました。これにより「毎日コツコツ執筆する」という能力を身につけたのです。

第2に「長編小説の基本的な書き方」をマスターすることもできました。長編を書くにはコツのようなものがあって。テンポよく、歯切れもよく書き続けないといけないのですが、それでいて枚数もたくさん書かないといけないんです。

これが、ショートショートや短編とは全然違うところ。短い作品であれば、何か1つに集中して書けばいいのですが、長編となるとそうもいかないのです。キャラクターもたくさんいるし、お話も起伏に富んでないといけないし、読者を飽きさせない工夫が必要となります。

それらが理論ではなく感覚としてつかめた瞬間でした。歯車がガシッ!とかみ合うように。

第3に「トリックスター」的な書き方を身につけられました。これ、どういうコトかというと…

それまでのヘイヨーさんって、何もかも真剣に取り組み過ぎてたんです。ド真ん中に全力でストレートを投げ込むような。

ところが、この作品で「多彩な変化球」を投げることができるようになったんです。小説って、実はマジメに書くだけじゃダメで。遊び心を持って「トリック」とか「トラップ」みたいなモノも仕掛けられないと。

「邪法」や「外法」に近い技を駆使することにより、「正攻法」がより際立って見えるようになるんですね~


もちろん、反省点も山ほどありました。

特に、文章力はあまり高くなく、今読み返してみても「おかしい部分」がたくさんあります。

けれども、文章力って訓練でどうにかなるものなんです。つまり、数をこなせばいいだけ。いや、「ただ単に数をこなしただけ」だと、あまり上達しないかもしれませんが、その都度反省しながら修正を入れていけば、自然と上手くなっていくものなんです。

それに、おかしい部分は「魅力」にもなっていました。ストーリーは行き当たりばったりで、どこに行くかよくわかんないお話なんですけど。逆を言えば、それって「読者にとっては予想外のストーリーになっていて、おもしろい!」とも言えるんです。

文章の表現も同じです。「狂ってる表現」って、見方を変えれば「その人なりの個性的な文章」だとも言えます。なので、あまり細かいコトを気にせず、ガシガシ書き続けた方がよいと思います。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。