140字小説 白鳥の湖 【寄稿 バレエ文学】
xss No.001「白鳥の湖」
バレエ文学さんへの寄稿にかこつけて、
バレエ作品の140字パスティーシュをシリーズで書こうかな、と思っています。今回は「白鳥の湖」です。
画像間に合わなかったなあ……。
以前、バレエ関係の解説本で、「白鳥の湖は踊りも物語も揃ったフルコースみたいなバレエ作品」みたいな言及があったので見るのを楽しみにしていました。(動画ですが)
オデット役の方が本当に妖精のように綺麗ですね。体重がないみたい。
悪魔ロットバルトに白鳥にさせられたオデット姫とロットバルトの娘(いわゆる黒鳥)を同じダンサーが踊ります。本当に別人みたいに踊ります。表現力に驚かされます。
いったんバレエの素晴らしさをおいておいて……。
物語の方をざっくり(本当にざっくり)さらいますと、
①ジークフリート王子という王子様が恋を知らないまま明日の舞踏会で結婚相手を選べと言われる
②「なんかなあ!」と思った王子が気晴らしに白鳥を弓で打ちに出かける
③森の中でみつけた白鳥の群れは実は悪魔ロットバルトの呪いで囚われた少女たち
④白鳥の1匹、オデット姫にジークフリート王子が惚れる
⑤「真実の愛を誓う男性だけがオデットの呪いを解くことができる」とオデットが言う。それは俺だよ!ってジークフリートがなる。
⑥次の日の舞踏会にロットバルトがオデットそっくりに化けた娘のオディールを連れて現れる。
⑦ジークフリート王子、オディールをオデットだと思い込む。
うおい、ジークフリート!
って、突っ込みたくなるような内容ではありませんか……。お前の真実の愛って、結局、見た目か。見た目なのか……。
そもそもあれだ。気晴らしに白鳥を打つって、なんなんだ。野良猫いじめる高校生みたいじゃないか。最初からどうも好きになれなかったよお前のことは。
……でも、名作だからなあ。みんなこの王子様、許容できるんでしょう。
最終的にはオデットの呪いを解いてくれるわけですし、オデットさんがいいって言うなら、いいよ。なんかいいとこあるんでしょうよ。好みは個人のものだものね。でも、なんかマッチョで好きじゃないなあ。ジークフリート……。
なんかこう…
婚約をした相手が好みの見た目の日人に浮気して、「誘惑されちゃった。ははは」って戻ってきて「誘惑されたなら仕方ない」って許す奥さんみたいな……
一度そうやって見ちゃうと、妖精のような白鳥のオデットも、なんか苦労しそうに見えなくも、ない……。
自分としては、黒鳥のオディールの方が好きですね。踊りがうってかわって情熱的になります。「へえ、真実の愛なの? 私にちょうだい?」って初心な王子様を揶揄うのは年増(魔族なんだから何百歳とかじゃないかなあ)のおねーさんにはさぞ楽しかったことでしょう。
憧れるなあ。結構みんな、一生に一回くらいはそういう風になってみたいものじゃないでしょうか。愛にも恋に囚われない絶世の美女。
まず「絶世の美女」にならねばならぬのかあ……。
見応えのある、素敵な作品でした。次は何を見ましょうね。
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