エッセイ 盛岡文学さんぽ(盛岡旅行記その3)
去年の冬の盛岡旅行記、「その3」で最後です。
一応、小説アカウントなので、「らしい」ものも見てきました。
これは、TEA HOUSE リーベさんのスパイスティーです。木曜日にスキを押した際、写真で出るお菓子を毎週アイスクリームにしようとしてお腹をすっかり冷やしてしまった夕方に駆け込みました。壁材や階段の飴色の木が歴史を感じさせる純喫茶です。ニ階の一部が吹き抜けになっていて、劇場の二階席のような非日常感があります。
雑誌Hanakoのweb版記事にこういうのがありまして
盛岡にゆかりの作家、くどうれいんさんがこのお店を紹介しています。今回、盛岡に行く前に偶然エッセイを読んでいました。本当にたまたまです。
リーベさんの階段の壁には、このくどうれいんさんのサイン色紙が飾ってありました。写真は載せませんが、ご興味ある方はぜひ探しにいってみてください。入り口すぐの本を置いてある場所にも、しっかり書籍が置いてありました。
サイン色紙といえば、岩手銀行赤レンガ館に行った折にお昼を食べた「東屋」さん。
わんこそばの老舗らしい。(私はわんこそばを食べませんでした。他人に話すたびに「わんこ蕎麦屋さんでわんこ食べなかったの?」と言われます。食べなかったです。すいません)東屋さんにも、たくさんの色紙があって、黒柳徹子さんが和田誠さんのイラスト付きでサインを書いている色紙を見つけて嬉しくなりました。黒柳さんが大好きな、パンダを抱いているイラストなんですよ。
東屋さんの近くには、「BOOKNERD」という素敵な本屋さんもあります。
ちゃっかり、盛岡関係の本や、盛岡に関係ない本も買いました。
ゆかりの作家といえば宮沢賢治が有名な盛岡市ですが、先ほどのくどうれいんさんのように、古今たくさんの文人が訪れて、また、大切にされた街なんだと思います。こうやって、本屋さんに「郷土の本」がちゃんとあるの、すごくいいなあと思う。
「盛岡ノート」は詩人、立原道造が盛岡に滞在した際に恋人に語る形で綴ったものです。当時の盛岡市の手書きの地図もついていて、旅行の間中地図と睨めっこをしていた旅行者には楽しみの多いおまけです。
立原道造は盛岡旅の終わりの方で、旅の間世話になったKの家族のことを思い起こし、こんなことを綴っています。
旅行の間、いろんな方のお世話になりました。ホテルの方が朝食のパンの美味しい食べ方を教えてくれたり、小雨の中で開店を待つ自分をお店の方が屋根の下に入れてくれたり、私はうっかり者なので、多分人よりそういうことが多いと思います。そういうあれやこれやを、一個も地面に落としてしまわなかったか、と自分に問うと、きっとたくさん落としてしまっていると思う。遠慮したり、気を使ったり、くたびれきっていて気が付く余裕もなかったり、理由は色々だけれど、たくさん、たくさん、許しを乞わなければいけないはずです。
旅行の終わりに、駅前の「ぴょんぴょん舎」さんで盛岡冷麺を食べました。友達に、近くにあるよって、教えてもらいました。
私は疲れが胃腸に出るたちで、旅行中、名物らしい名物を食べていませんでした(アイスクリームばかり食べていたせいもあります。新幹線で持って帰れませんからね。おせんべいその他は帰宅後に食べました)。旅行が下手なんだと思う。今回に限らず、いつもそうです。ごちそうを食べることはそんなにできないし、悪いと旅程の半分以上は熱を出してホテルで寝ています。それが申し訳なくて、もうずっと、思い出せないくらい昔に、誰かと旅行に行くなんて楽しみは諦めました。多分その頃ぐらいから、私は他人の親切を受けるのが下手で、いまだに上手になってはいないと思う。
ぴょんぴょん舎さんでは少し贅沢をして、焼き肉のセットを頼みました。慣れない土地になりを潜めていたお腹がぐうと空腹を主張して、熱々の焼き肉も、初めての盛岡冷麺も、とてもおいしかった。教えてもらって、足を運んでよかったと思う。どうもありがとう。
また来るときは、もう少し旅行上手になっているといいと思います。
またね、盛岡。
おまけ
「SAND BOX1099」で朗読をご提供いただいている水上洋甫さんが3月に盛岡市内で個展を開くそうです。ご自身で朗読もなさるんだとか。ご興味のある方は是非足を運んでみてください。