「猫ケ洞の王さま」第6話 【神頼み】
ようやくバスに乗って、地下鉄の駅に着いた頃には陽が傾きかけていた。迷って歩き回ったおかげで足がぱんぱんだった。それでも寄り道しようと思ったのは、疲れてハイになっていたせいかもしれないし、コサブローが帰ってこないかもしれない家に帰るのが怖かったせいかもしれない。
黄色い東山線を栄方面。栄から名城線を下って上前津駅。地下鉄のホームは学生たちで賑わいはじめていた。
おしゃべりに夢中な女子高生たちの間を縫って、階段を登る。昔より寂れたとはいえ、まだまだ元気な町だ。地上に出て、