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深夜JST-7、懐旧の情

思わず線を引いてしまいたくなるような一行を含む小説を買ったのに。迷わずハンドミキサーを買ってしまうほど大切な人に作ってあげたくなるスイーツのレシピを見つけたのに。まるでMVの主人公になったかのように信号を待ち、川沿いを歩ける曲に出逢ったのに。お金がなくて毎日バナナで凌いだ日々もとっくに越えて、水道を止められてトイレで冷や汗をかく生活もしていないのに。

きっともっと大切な部分が欠如、


いや、



我儘だから寂しい。

吉祥寺に向かう中央線の窓に反射する自分越しに通り過ぎる赤くて大きな“ソープランド”。やっぱりあれは緑色の方がいいんじゃないかな、ってまだ思ってる。電車のドアが空いた瞬間の角席争奪戦。必死なくせして平然とした顔で座る人、用もない携帯なんて触ってないでハンカチーフで額を拭きなよ。AM0時前、ベロベロの男女がディープキスしてる池袋東口宝くじ売り場横。年齢確認のないゆるゆるチェーン店居酒屋で出てくる薄い薄い、それは薄〜いレモンサワー。まだ親に洗濯してもらっているような若者がフィルムカメラ片手に撮影会してるコインランドリー。意味分からなくて好き。全部。

入りたい会社に就職をして、彼との同棲貯金を開始した友達。仕事がオンラインになって場所を選ばず、一ヶ月スイス旅行をする同居人。久しぶりに母から送られてきた写真は、縁もゆかりもない秩父の自然。

はあ〜〜〜、いいなあ。

20歳になって大体半年が過ぎた今でも、19歳に戻りたいと思っている。日本を出て大体一年半が過ぎた今でも、ふと日本が恋しくなっている。何故かいつもメランコリック。原因は分かっているのに分からないフリをしているから前に進めない。それじゃセンチメンタルか。何もかも置き去りにして、したいな弾丸ランデブー。

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