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福祉という病。

1.弱弱福祉

高齢者が高齢者を介護する状況を「老老介護」というらしい。うちの奥さんの実家もそういう状況だった。超高齢社会においてこれは避けられない。

かつて十分おじいちゃんだった65歳という年齢は、現代日本では普通の壮年だし、かつて長寿と言われた90歳は、普通にそこらを歩いてる。45歳が70歳を介護してたら普通だけど、それがそのまま20年つづいて今の世の中だ。

福祉というのは、社会が社会的弱者を救済し、普通の人が弱者にならないために整備されている仕組みだ。

現実には今、福祉は「受け手」よりも「なり手」に対しての機能が強い気がしている。保育士・教員・看護師…放課後等デイサービスや児童発達支援の領域で重宝される資格。だがそのどれもが、放デイや児発を目的としたものではない。

放デイに来るのは、保育園に適合できなかった保育士、学校で働けなかった教員、病院に耐えられなかった看護師などなど、様々な理由で本来望んでいた場所からこぼれてきた人たちだ。

資格を持っていても、専門家と言えるレベルではないことがほとんど。専門家どころか普通の社会人としてどうなんだ?という話もゴロゴロ転がっている。

弱者が福祉の現場で働くということは、弱者が弱者の支援をするということ。Twitterで書いたら炎上しそうな話だが、弱弱福祉がこの国の現実だ。

2.市場経済から切り離された世界

保育園・学校・病院…本来望んでいたところで適合できなかった人たち。大抵の場合、それを夢見て中高生の頃からそこを目指して生きてきたから、ほかの世界を何もしらない。

当然、適応できずに離職した直後には途方にくれる。

受け皿となった福祉の職場は彼らにとって救いの神だ。(もちろん法務教官を辞めた直後の僕にとってもそれは同じだ。とても感謝している。)

ここでがんばるしかない。

それが大抵の福祉従事者の心境で、だからこそ待遇にはあまり文句を言わない。言わないし言えないし、言える状況(実力)でもない。

必然的に低賃金になる。

そういう構図がわかってて、福祉で儲けるのはいつも経営者だ。

福祉は担い手を増やすために国や自治体が金を出している。放デイは家庭の負担が1割。残りの9割は自治体が出している。

開業直後から黒字になるから経営はザル。資格を持ってる弱者を低賃金で雇い、福祉従事者の待遇改善のため国が手当分の金を出せばその分だけ給料を上げる。

つまり経営者自身は従業員の賃金を上げる努力をしなくていい。売上も人件費も、市場経済から切り離されたところにある。

働いてる人もそのサービスを受ける人も、本当は一番、国の施策の恩恵を受けなきゃいけない人なのに、実際には全国旅行支援みたいな施策は1mmも役に立たない。(当然、理解不足で反発する人も多い)

3.無駄な専門家意識が招く崩壊

そんな弱弱福祉の現場で、一番アホだなと思う存在に最近気がついた。

それは「中途半端に自分の専門性を主張する視野狭窄の馬鹿」だ。

いっちょまえに「専門性をいかした仕事がしたい。」とか言って、自分の守備範囲からは一歩も外に出ようとしないやつ。

こういう人が複数いると「誰でもできる雑務」が確実に滞る。要するに事務仕事や送迎のような、地味だけど楽じゃない必須業務だ。

冷静に考えれば頭のおかしな話で、どんな仕事でも事務は必要。掃除スタッフを雇えるような大企業でなければ掃除も自分たちでやる。でも…そういうことがわからない。

そりゃ看護学校や保育の専門学校では、看護・保育を教わってばかりで掃除や事務は放置だろうからね。知らないことが一概に彼らの責任とは言えないのかもしれないけれど…

でも普通に考えれば火を見るより明らかなんだ。

週6営業の現場に週5勤務のスタッフが交代で入る…。ということは、どの専門職もかならずどこかで「いない日」が来るということ。事務責任者も含め。

そういう現場で働くなら、「いない担当者」の代わりにその日いるスタッフの誰かが処理しなければいけない。

そんなあたり前がわかっていないから、自分の守備範囲以外のことを一切やろうとしない勘違い馬鹿に限って「人が足りない」「このままでは回らない」「自分の担当の仕事に週宇宙できない」とかずれたことを言い始める。

いや、その状況招いてるの貴方たちですよ…って話。

4.福祉には専門性にこだわる愚図より柔軟な素人が必要

ということで、実力より自負の方がでかい雑務力の低い人たちのせいで、現場は常に不協和音が鳴り響く。

僕が一人でやれば1時間でできる仕事を、あんぽんたんが3人で分担し、2時間かけて低品質な仕事をする。

この国は福祉に専門性を求めるが、ぶっちゃけた話僕は逆の方がいいと思ってる。

専門性にこだわらず、現場の状況を素直に見て、真摯に対応する素人の方が、中途半端に頭でっかちな専門職よりよっぽど現場の役に立つ。

自分たちをタレントかなにかのように勘違いして、資格だけで実力がある気になってるアンポンタンは、余計な摩擦ばかり生んで実力者に負担をかけるから、ぶっちゃけ辞めてもらった方がいい。

そんなに専門性が高いなら、本来の戦場でやったらええがな。

専門外の仕事もせっせとこなす実力者の方が、社会性も雑務力も、そして専門領域の実力も、はるかに上であることが多い。

専門性なんて言葉で自分の実力を飾る人間は、実際には大したことがないんだろうと思う。

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こんにちは!へいなかです! 非行少年の地域定着支援を仕事にするべく、経済的な基盤をつくるためにアレ…

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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。