叩く文化は善人文化の裏返し。

社会課題として論じ、尊重すべきものとして「　」でくくった名前をつけると、否定できない雰囲気ができあがる。

それがこの国の現状だ。

個性
権利
同意

それらを否定するような言動を取れば即座に炎上し、非国民か反社のように扱われる。結果、否定的なことはほとんど公言できなくなった。

公言できないから「常に尊重してます」という体裁になるし、自分の中にあるそれに反する部分を自覚できなくなってる。多くの人はそうやって思考停止し、ある者は無思考に尊重を叫び、またある人は匿名で否定的発言を人格ごと叩く。

実名顔出しの人間が否定なことを言うと、匿名のカオナシが群がって叩き、同じことを匿名の闇垢が言えば共感者が集まる。

変な世の中だ。

冷静に考えろ。

貴方は本当に差別してませんか？
常に100％同意を取っていますか？

僕は最初から自分を善人だと思ってない。そもそも善と悪なんて一面の切り取りでしかない。

発言を切り取って善悪のレッテルを貼り付けるなんて…ハンバーガーをソースだけで評価して、その個人的な意見を「社会の意見」にするようなバカな行為だ。

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例えば僕の妻や娘が心臓移植が必要になったとする…。適合するドナーが見つからず右往左往してるところにある病院が名乗りをあげて移植を成功させた。

僕にとっては計り知れないほど大きな善。でも、もしその病院が裏で人身売買を行っていたら…？

僕はそれでも病院への感謝をほとんど減らさないかもしれない。

大切なパートナーの命を犠牲にすれば全世界が救われるとしても…それでも自分のパートナーを犠牲にはできないのが人間だ。だから難しく、その分だけ美しい。

その複雑さと矛盾こそが人間らしさのはずなのに、人はどんどん社会と他人をシンプルに評価していく。切り取り文化は動画よりはるかに早く、そもそも人間の頭の中で生まれているんだ。