最近のHiphopに思うこと…(7)
ご存知ない方も多いかもしれませんが…僕、大学時代にダンスやってました。いや、過去形も実はしっくり来なくて、今もやめたつもりはまったくない。
30歳くらいまでは仲間と都内のクラブでイベントやったりもしてたんです。法務教官の仕事終えてから渋谷のスタジオまで車で行って練習したりとか…もうあんな無茶はできないけれど、本当に充実した時間でした。
へたくそだけど、ダンスは僕の人生の一部。
少年院のカリキュラムにダンスを組み込んだのも僕にとっては大事な仕事だった。刺青に坊主頭の非行少年たちが一糸乱れぬダンスを披露して、塀の中で保護者来賓から万雷の拍手を受ける…そんな光景を作り出せたことも僕の誇りになっている。
ということで、ダンスを入口にしてHiphopという文化に触れた僕…。別にラッパーでもダンサーでもHiphopperでもないけれど…昨今の日本のHiphopシーンには少し、言いたいことがある。
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最近、何人かの有名ラッパーが「襲撃を受けた」だの「国外逃亡した」だのと騒がしい。
詳しいことは知らん。
でも…
襲撃されただの、逮捕されただの、チンピラごっこでごちゃごちゃHiphopperヅラすんじゃねぇよ…と思う。クソだせぇ。
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Hiphopが起こったアメリカでは、たしかにそういうのも起きている。ブルックリンなんて未だに銃撃だのなんだのともしかしたらにぎやかなのかもしれない。アンダーグラウンドでは。
でも…
Hiphopってのは、そういう治安の悪い街から生まれた非暴力の表現方法であって、治安の悪さ自体はHiphopではないと俺は思ってる。
もちろん、アメリカのHiphopがそうした治安の悪さの影響を受けていることは事実だし、未だに有名ラッパーが銃殺されたりもしてるけど…それは治安の悪さが先にあっての話。
ここ数年、疑問符をつけられることも多いけれど、日本はブルックリンとは全然ちがう。世界一治安のいい国だ。もちろん川崎はじめ、ギャングみたいなのがはびこってる地域があることは知ってるけど…治安の悪さが先に立つ国ではない。
そんな国で文化として触れたHiphopを、「悪さ」と読み替えてギャングごっこしてる奴らは全然スマートじゃねぇな…と思ってる。
クソださいからもうラッパーとかHiphopperとか言うのやめてほしい。邪魔。
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僕の理解では、ダンスバトルは殺し合わないために生まれたものだ。
勢力争いでドンパチやってたギャングたちが、「このままじゃ全員死ぬだけだ」って気づいたから。銃や暴力の代わりにダンスで勝負つけようぜ…って始まったのがダンスバトル。
要するに最初から、Hiphopは非暴力な自己主張のために生まれた文化なんだよ。乱暴な奴らがはじめたもんだからそりゃトラブルもあったんだろうけど、トラブル自体がHiphopなんじゃない。
それは「寿司」の文化を「レールで品物を回すもの」と勘違いするのに等しい。そっちは本質じゃないよって。
何がくそダセェかって、悪さや乱暴さとトラブルでごちゃごちゃ言ってるラッパーに限って、MCバトルで「お前はHiphopじゃねぇ」とか言ってること。
うるせぇよ。
Hiphopの枠を勝手に歪めんな。
そういう乱暴な奴でもHiphopは拒まない。だけど、悪くない奴や健全に生きてる奴を否定しようとするなら、それこそHiphopじゃねぇ。何を求めて生まれた文化か…。そこを間違えちゃいかんのだと思う。
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といことで珍しく文化的なことを語ってみました。これもまた、僕の一部。
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。