【対話】 高校生との哲学対話〜シコウノマ〜 | R6.3.16
すでにFacebookにも書いたのですが、先日訪れた四万十町でのとっても素敵なおしごとの話です。(FBよりこっちの方が読みやすいし詳しいです)
1.はじめに
高知県四万十町に行ってきました。
株式会社Founding Baseが町と協働で行う事業・公営塾「じゆうく。」の企画に参加するためです。
企画タイトルは「シコウノマ」
答えのない問いを、調べるのではなく自分たちで考える…そんなコンセプトの対話企画。じゆうくスタッフがファシリテーションしながら対話を通して思索を深めていく試み。
その思索を深める外部因子としてご招待いただき、ほかのゲスト4名とともに半日じっくり高校生と語らってきました。
テーマは「不安」
多角的に問いを立て、それぞれが回答をくり返しながら「不安とは?」を深めていく。実に濃密な時間でした。
2.高校生たちの不安
多くの子が進路についての不安を口にしていました。
小さな町です。
それは当然のこと。
高校進学の選択肢だって最初から限定的。人間関係はまず絶対数が少ない。中学は20人未満の1クラスだった子も。
そんな中で、高校は地元に残るのが普通。でも大学や専門学校になると、地元を離れる選択肢もあたりまえになってくる。と同時に就職を意識した選択を求められる。
ネットで情報を取れる時代とはいえ、「ネットで情報を取りに行く」という文化自体が希薄だったり、上質な情報を選ぶ手本を示す人もいなければ…結局半径500mくらいの中で日常が完結してしまう。
突然町の外を意識させられて、途方に暮れるのも不安になるのも当然の話だ。
その是非や善悪を論じるつもりはない。ただ…せっかく語らうなら、その不安にも少し…風穴をあけられたらと思い、精一杯語らせていただいた。
語った内容をここに書くのは無粋なので書きませんが…まぁいつもいろんな場所で語っていることです。
って話。
青春時代は貴重だが、別に10代でなんでもかんでも決まるわけじゃない。まして学歴や偏差値なんてたいした意味がない。そんなことより、自分の人生や生活ときちんと向き合って、自分で言語化することが大事だと。
そして…
四万十でもできることはたくさんあると。
3.ゲストたちも本当に素敵だった
簡単に言えばそういうこと。
招かれたゲストたちは本当にすてき。勝手に書くのは失礼だと思うので個人情報は伏せるけど…
と僕。
それぞれの生き方もスキルも、その背景も…実に刺激的だった。彼らとのご縁こそが最大の報酬とも言える。きっと、今後なんらかの形でつながり続けるだろう。
そんな中、踊る阿呆が紹介してくれたこちらの楽曲⇩、その方のご家族が参加してると教えてくださった。いろんな意味ですてきだ。
4.運営スタッフがまたホントにすてきだった
Founding Baseのスタッフはこちらに紹介されている。
これまた一々書くのは野暮なので個人名などは伏せるが、みんなほんとに素敵な人達だった。それぞれの経緯、それぞれの想いの中で、公営塾事業と町に向き合ってる。
まだ若く、彼ら自身も刺激を受けながらの運営。
自分たちが楽しむこと、高校生たちそれぞれの今を尊重すること、答えのない問いに自分たちも向き合うこと…そんな数値化できない文化が血液のように浸透し、循環してるチームだった。
こういう人たちと働くのは楽しいだろう。出会えてよかった。懇親会での彼らとの語らいもまた、大きな報酬だった。
5.ついでに町のことも少し…
今回は、実質的にトンボ帰りで、スタッフ&ゲストのみなさまとの懇親会以外、町自体をたのしむ時間を取れなかったけど…
宿泊は先方が用意してくださり、地元のお寺に泊めていただいた。お遍路さんたちが札所をめぐる際に逗留するため、お寺は立派な宿泊施設になっていて、個室でエアコンもあり実に快適。
せっかくなので…と朝のお勤めも見学させていただいた。1200年続いているという寺と信仰の文化。個人的な信仰はともかく、その歴史には敬意を表したい。
寺はかつて、学校であり交流の場でもあった。信仰の根幹がどうあれ、町にとってそこは文化の中心だったんだ。
その意味で、「しきいの低い寺」をめざし、地域のポップアーティストとも手を組みながらマルシェなどを行うその寺のあり方は、本質を突いているように思う。
とはいえいろんなグッズを売ってるのにはちょっと笑ってしまったが。
6.いったんまとめ
それは僕が、かれこれもう20年くらい大切にしていること。答えのない問いをめぐって語り合う時間は、中途半端な読書よりはるかに自分の幹を太くしてくれる。
昨今は「それってなんの意味があるんですか?」としたり顔で聞いてくる賢さを履き違えた奴も多いけど…
直接的に使える技術や知識は、テクノロジーの進展で一気に不要になる。その一方で、今回のような人の根幹に触れる思索は、おそらくこの先も永遠に生きる力になるだろう。
僕自身は、心理や発達支援や教育を、きっと人よりはすこし学んでいるけれど…アカデミックに学んだものなんてたかが知れていて、それよりも18くらいからずっと続けてきた今回のような語らいの方がはるかに大きい。
時代にあわせて次々伸びる枝。その先を飛び回って疲弊するのではなく、根を深く、幹を太くすることで、太く多様な枝を伸ばせる自分をつくることの方が大切だ。
四万十の高校生たちと、そんな思索の一端を共有できたことが最高にうれしかった。彼らとはまた…別の形で語らいたい。
7.ちょっとした裏話など…
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。