更生を感じた元非行少年のさりげない一言。
1.法律的には償ったことになるけど…
先日会った教え子が、移動中の車内でこんなことを言っていた。
僕は元法務教官だが、今の彼に対してなんの権力も有していない。彼は立派な社会人で、自分の足で会いに来た。つまり、今の僕に対して体裁を整える必要は一切ない。
それでもこういうことをサラっと言い流す彼に、「あぁ…そこまで来たんだな」と感慨深くなった。
反省は、更生の手段ではなく、結果なんだと思う。
2.俺は手がこんな汚いから…
教え子3人と食事しながら話していたら、ある子がこんなことを言った。
彼の手の甲には、自分たちで遊び半分で入れたものを含めいくつもの刺青が入っている。腕ならともかく、手の甲だから隠しようがない。
それ自体は仕方のないもので、僕自身はそれを執拗に責めたりなんかしなかったが、彼に限らず非行少年はそれなりに刺青にアイデンティティを宿す。
目に見えないものを信じられないから、目に見えるものにかりそめのプライドを持ち、誇らないまでも心のどこかではそれをかっこいいと思っている。それなりに更生した子でも。
それ自体は一概に悪いとは言えないことだが、彼のあの言葉にはそういう非行少年らしい刺青への想い入れがほとんど感じられなかった。
家族との関わりを話す中でサラッと口にしたその「汚い」という表現には、この10年の重みがあった。
3.会えてよかった
別のある子はこんなことを言っていた。
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。