本質
私は壊れた景色
いつもどこかが歪んでいる
言葉では説明できないけれど
ただそこにあるだけで
何かが少しずつ崩れてゆく
私は景色であるがゆえに
確かな身体を持たず
自分を見ることもできない
ただ私を映すその瞳の中に
いつも困惑の徴を見る
欠けているわけではない
ただ私の存在ぶん余計に
調和は平衡を失う
動物が生まれながらに
立つことを覚え
食べることを覚え
鳴くことを覚えているのなら
そしてそれが彼等の本質を
形作っているのなら
私の本質はたぶん
いつもあるその場の
取るに足らない小さな
過剰なのだと思う
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