最近見た映画「ミッドナイトスワン」のお話

実に久しぶりに映画館で号泣しました。映画を見ている最中も、なんだか常に涙をこらえていたような気がします。

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女性として生きる凪沙と、親から虐待されてきた少女・一果。孤独な二人が寄り添う、世界で一番美しいラブストーリー。

心身の葛藤を抱え生きてきたある日、凪沙の元に、故郷の広島から親戚の娘・一果が預けられる。「好きであんた預かるんじゃないから。言っとくけど、わたし子供嫌いなの」叔父だと思い訪ねてきた一果は凪沙の姿を見て戸惑うが、二人の奇妙な生活が始まる。やがて、バレリーナとしての一果の才能を知らされた凪沙は一果の為に生きようとする。そこには「母になりたい」という思いが芽生えていたー。

映画のあらすじはこんなところです(公式サイトからの引用)。

主演は、草彅剛さん。魅力的な俳優さんで、最近ではYouTubeで姿を見ることも多い草彅さんが、本作ではトランスジェンダーの主人公・凪沙(なぎさ)役。ヒロイン・一果(いちか)役にはオーディションの末選ばれた服部樹咲さん。本作が女優デビューとなり、演技初挑戦。クレジットにも(新人)と記載されています。映画の中では、草彅さん・水川あさみさんをはじめとする俳優陣の中でも、抜群の存在感をはなつ服部樹咲さんからは目が離せませんでした。

服部樹咲                     2006年7月4日生まれ、愛知県出身。4歳からバレエを始め、第76回NAMUEバレエコンクール名古屋 第1位、平成29年・30年ユースアメリカグランプリ日本ファイナル進出、NBAジュニアバレエコンクール東京2018 第1位など輝かしい成績をおさめる。演技未経験ながら、本作のオーディションで数百人の中からヒロインの座を射止めた。


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ミッドナイトスワンの世界にのみこまれていた

映画を観ていて、ひたすら名前をつけられない感情に襲われていました。いや名前をつけることは出来るのかもしれないけれど、私の語彙力不足なのか、それともこの感情には名前を付けずに自分の中で留めておきたいと感じたからなのか、正直よくわからないです。感動もしたし、苦しいとも感じました。観た後は満足感、虚無感、疲労感に包まれていました。ただ、言えるのはこの映画は「ラブストーリー」ということです。多少引っかかるシーンなどはあったものの、愛の話でした。

あまり、映画の内容に触れてしまうとネタバレになるので控えようとは思いますが、私の考えと反して、もしかしてネタバレになってしまっていたら、ごめんなさい。

映画を観ていて、私は何故だか、ずっと涙がこぼれそうになっていました。おそらく、映画を観た人の多くが涙を流すだろうというシーンや映画終盤、以外の何気ないシーンや冒頭からずっとです。

草彅さんの瞳を通して、凪沙の孤独や苦しさがひしひしと伝わってくるんですよ。草彅さんの瞳の演技が圧倒的過ぎて、そして凪沙が美しくて、涙がこぼれそうになりました。そんな圧倒的な草彅さんに負けることなく、服部さんが紛れもなく一果でした。

映画の序盤まで、私には、一果は愛を知らない少女に見えていました。水川さん演じる母親からの虐待、腕を噛むという自傷行為、一果の周りに愛はなかったし、一果自身が彼女自身を愛してあげられていませんでした。でも、凪沙と生きているうち、バレエをするうち、りんという少女と関わるうちに、彼女が彼女の人生をいきいきと生きるようになるのです。一果が愛に囲まれていく光景は、非常に心が温かくなりました。そして一果が愛を知っていくなかで、凪沙も同時に愛に溢れた表情で笑うのでした。愛に包まれた二人はとても美しかったです。

映画中盤、凪沙と一果の夕食シーンが登場します。あの夕食のシーンはわたし的に邦画で好きなシーンランキングの上位です。正直いって、1位かもしれません。観た方なら、わかってくれると信じています。(笑)

やっぱりネタバレになりそうです(笑)。すみません。

抜群の存在感を放つ、一果と共に、私の目にとても印象強く映ったのは、上野鈴華さん演じる・りんです。彼女の存在はいい意味でも悪い意味でも、抜群でした。ステージ上の一果に微笑む彼女の笑顔は忘れられないです。

ラストシーンは、とってもとっても美しいです。でも涙を止めることは出来ませんでした。一果が踊っているだけなのに、泣けるんです。踊っているだけなのに、あそこまで美しいのか、と驚異の新人・服部樹咲に圧倒されます。そして一果の踊りをみて、綺麗…とつぶやく凪沙もとっても美しかった。

映画の登場人物たちは、不器用ながらも、暗闇の中で、踊り、優しく光るような愛を育み、白鳥の様に飛び立っていきました。生きているうちに背負う、傷も痛みも、愛の素晴らしさもすべてを抱えて必死に生きる人間は強いです。そして最強に美しい。私もそうなりたいと思いました。

美しくて、切なくて、あたたかくて、苦しくて、辛くて、痛くて、脆くて、強い「愛」の物語でした。


個人的に、服部さんの次回作が今からとても楽しみです!次はどんな世界を見せてくれるのか心待ちにしています。


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