マガジンのカバー画像

物語

242
物語っぽいうたをまとめていきます。
運営しているクリエイター

#毎日更新

仰げば尊し

チェリーブロッサム 馬鹿みたく咲き誇る 春だからって 許してあげない 写真を撮るなら なんか言ってくれよ 黙ってちゃそれもう 盗撮だから 決まって君はもう気まぐれで スケべな話はNGで ぼくは ダサい髪型をけなされて アハハハって笑う 初めましてって言った日から すべてが始まって 触れたりはできないままで 仰げば尊し 壊れちゃうのが怖いだけな 弱虫意気地なし せめて名前呼んでくれよ 仰げば尊し 初めましてって言った日には 実は何も始まってなくて 今がチャンスと息を飲んだ

正方形

彼らと繋いだ正方形は 形を変えながら星座のように 宇宙のような内部をグルグル旋回 曇り日の時も輝いている

youthful youth

You were boy 崇高だったの僕らなど ぬかす暇なくway to die ある日の記憶はめくれて 背中になってもう見えない 瞬発力で戦っていた 瞬発力だけが輝いていて それを屈っしてくださいと 合図を送ったものだった 今はどうだ You were boy シュークリームを食べても お酒を飲んでいる

現行犯

輪切りのイカは痛そうよ、と 枝毛を気にする髪で庇う 左の細手首巻いた夢 のような銀のジュエリー 放物線を描きながら 大きな闇を被せられて 埋没する頭の中の違和感 置き忘れた寝耳の水 うる覚え過ぎて話せないこと まだいくつもあるよ気にしないで 地下室に眠る悪魔のように 微震だけが心にする いつかちゃんと捕まえて

大勢

寒気を通り越してもう春ねと 鯖の味噌煮をつくりながら 晴れすぎてるとなにやらサイケ カラオケよりもうるさい季節 季節をなだらかに上書き からだのあちこちが別人のよう

近眼の娘

王子さまに会いたくて 真夜中を飛び出して早や20年 世界の端までは見れてないけど ようやく気づけばアイツは幻想? 湖の見える山の麓の 小さなコテージで清掃業務 世界はとっても現実的で 見れば見るほど普通が溢れる 愛した数名 粉のように消え 忘れてしまうと とても楽だった 得てして生まれた傷跡たちも ようやくグッスリ眠れるようで 夢を数えて記録しながら 私は今を確かめていた ずるずる足を引っ張っていた アイツは私を引き止めてたの? 夜明けの美しさを知っている 消える霧の中 目覚

ずるい

しかめっ面だだこね やけに舌っ足らず ぶつくさグチとごうまん ぶちぎれゴジラキングコング 最強の俺みたいに 最悪な君はうたう ごねたりない口を 馬鹿でかくかっぴらいて 明日とか明後日を無視している 過去とか未来などをないがしろに 風が吹いて口笛吹いて 雨が降ったら家でゴロゴロ していてずるい

中央線新宿駅

うるさいコーラを喉に浸して 世界の脅威に立ち向かう女 間違ってなんかない、いつだって 最高の想像だけが敵を討つのだ

水、首、窓

シャワータイプの洗面台から 覗き込んだ排水口の向こう 呻き声が聞こえた日から 私の首の後ろ側 淀みと深い重みが沈む なんでもこの部屋の築年数は そのままソレの没年数で ここで起こるソレらはすべて 何かの吉兆とか福音のような ソレ的なものとされているらしい 窓の向こうに映る景色と 窓が映したこちらの景色が 一瞬わからなくなった瞬間に 私の首は私を無視して 360度回転を始める

レモンチューニング

スタックしたワークを消去する 中指1本で終わる今日 正確な日時をわざと曖昧にして さらに曖昧にするレモンサワー びっくりするほど消せるはず びっくりするほど消せるはずと びっくりするほど消えない夜とは 話しにならないね、カーテンの裾から 忍び込む夜に投げる、缶 踊り疲れて眠るように 眠る私、整った整った

回顧録

シャツの襟に染み付いた皮脂の 湾曲の一本線がいつか あなたとつなぐラインをいずれ 拒んでしまうのだ

end of the doll

真っ暗な闇の中に あと何年 捨てられるタイミング 失ってあと何年 あと何年と ほつれた瞳に沈む未来 それでもいいわと 黄金に輝く日々から もう何年 何も怖くない暖かさに 包まれていたもう何年 もう何年 黴びた夢に染みるナフタリン かけがえのないもの 迷子のあなたを慰めて 凌いだ時間に移る涙 移る匂い 眠ることなく想うばかり 私はあなたと言えた時が 確かにあったことバカみたいに 光の中からあなた あれから何年 あなたによく似た子供たち いぶかしげな目 これなーにこれなーに

レモンティー

アガルタパンゲア全部聴いて 聴いて聴いて聴いて 呪詛みたいなものを見出しキミは 海に還る日に取り憑かれた そんな話を対面でできる日が また来る日をずっと待ってる

へそのお

永遠をほどいた バナナの皮を剥くように 真っ白な顔の部分に ひまわりのような種の密集 枕元から起き上がる首が ゆっくりと朝に沈み込むような そのスピードが潜り込んだ 私たちの後悔たちに 飛び乗ったり降りたり 箱乗りのヤンキーみたいと あなたは子供のように 溶けないアイスキャンディーを 舐め続けていた