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物語

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2022年3月の記事一覧

熱砂

連立方程式を教わった日の記憶 あなたの右手が指を立てながら さまざまな数字と記号を宙に描いて 私がそれを箸で摘んで食べていく 片っ端から順々順々にやがて お腹が膨れないことに気がつくと 栄養素の表示が気になり出したので 裏側グルッと回って確かめる 未来への近道みたいな光のロードに 吸い込まれていき亜空間 夜なべしてできたノートたちから 私のレシピを事細かに教わるけど 暗くなるとオートスリープ機能な私は 半目でそれらを聞いていた 目覚めると手術台に寝かされてて 大人たちが凄くビ

大凶

割と美味しいお昼を食べれて 油断してるとおっかない 爆降りしていた雨が上がって 晴れやか気分もみくびるな 彼氏の足首タトゥーも消せて 結婚間近、は戯言ね 今日は大凶、大凶は間違いない いずれ海峡の狭間に落っこちよう 騒ぐなよ、毎度お馴染みな感じ で対応、最後はお茶らけていよう

inner patrol

チキンパウダーかけて酢橘絞る 疎かにしていた家事たち 一斉に催眠術から解けていき 最後っ屁みたいな色の透明に 踊れない狭さと崩落しそうでしない 壁の絵

理不尽

開封せずに保管した箱に 付属された永遠に付き合って 窓からの侵入に気を揉んでいると その隙になぜか通り抜けれる 新しい靴底の中のワームホール 揺さぶられて落とされた林檎 見よう見まねで歌われるpopsong 週に一度はうつ伏せで寝てるから それらを縫合して今日を過ごせる 点と点を結んでも線にならない 過酷な戦場に生まれなかったこと

スリーパー

起きると痛い全身 夢遊病疑う間もなく 溶け込む二度寝の時間軸 ソファを垣根にこちら向こう わざとらしい合図でちらつく こちらが現実、向こうが夢 ブランコのようにその境目を 天と地、天と地、空地面、空 風呂が沸くまで冷たい部屋で 怒られないまま足を踏み外す 夕暮れと夜の境目

DEJON

ノリの悪い悪魔 命を軽んじている 不測の事態を恐れて 二の足踏んで 未熟な技術を取り繕う 鋭利な槍や さっきからずっとブツブツ 落ち着け 汚れたおでんのスープを 夜ごと全部ぶちまけて あたかも強者なふるまいで マウント取って笑い出す 触れている、狂気に 今はまだと 震えて話していたけれど そびえる山々 無数のヘリ 音が聞こえるこの先ずっと

繰り返しの無意味

ミスをつくる片手間から 開放されて作業不足 不測の事態に睨まれながら 歩きにくい雪の砂利道 さぞかし今朝は不満げに スクランブルエッグ平らげて 手招く悪魔ごきげんようと きっと奇跡は彼の予言 扱いにくい季節が来て コートを洗濯ださなくちゃ 闇夜飛行するってどんな気分 古代の本を開くような奇妙 幸せを語るとき動く目や唇 知らない場所にある墓地 レンズを通して真実など 果たして映せるものかしら

恐怖の伝達

砂漠にあって街にないもの おねだり続けて手に入れたもの 嘘の末端の腐った心 ひねくれながら歩く道順 このままではいけない そんなのとっくに過去のもの あのままでもよかったと 日暮れの後悔おそろしくて