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物語

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2021年4月の記事一覧

名前

産まれた瞬間には名前が無かった オレのことなんて呼んでたの? 胎児のぼくには名前がなかった 私はそんなに大切じゃないの? 受精する前には存在がなかった 望まれたのはいつからなの? 最初に呼んだ名前は誰だ 好きなひとだったらステキね! 名前には色がない匂いもない たぶん実は意味もない 漢字を並べただけですもん でも私には意味があると 勝手なロマンチスト わがまま だから名前を確かめて 他人のように 自分を呼んで 私の名前を あなたにつけたい 私の名前で あなたを呼びたい

サクラクラクラ

窓越しに見てた体育館 あそこで僕らはここを捨てる ボロ過ぎる校舎 穴だらけ ってああこれは俺らが開けた穴か 先立つ我らにお許しを 後輩いなしてバイバイ 中くらいになった夢たちが それぞれに巣立つのです 黒板埋める作業に必死になっていたら 女子たち急になんか泣き出して うんこしてくるわって逃げ出した 薄情で嘘つきで 中途半端ハンパない僕だけど 朝も昼も夜も生きれたよ ありがとう!なんて言わないけど 幻の幻の幻みたいな日々はもう 嘘くさすぎて逆にホンモノだったな ありがとう!

梅干し

理由のことは聞かないで 彼女の口には口紅とかもついてなくて 代わりに大きくて酸っぱい梅干しを 砂糖にヒタヒタにしたみたいなものが かすかに香る感じがしたんです それを嗅ぐとぼくも酸っぱい気持ちになって 甘い気持ちにはまったくならないから その料理は間違いなく間違いで ぼくは失敗したことに気づくのです

ロードムービー

緩いカーブをバスが曲がる時 中にいる僕はちょっと泣いていた 月9の第4話みたいだなって なぜだか思いました

Green Back

オマケのような日々を 食い歩くような気分 咲き誇らないぼくの 青くて弱い花 日雇いばりの単価で 錆びゆけぼくの未来 背ぐらい伸びてくれよ せこいこと言わずにさあ

月寄りの衛星

故郷が懐かしい ワルツとかを 子供のころ母に無理やり聞かされ 私はピアノにおしっこを漏らした かけっこが早い人しか好きにならなくて 病気みたいな恋愛かもって思いつつ でもそれってとっても原始的だし 彼は実際に古墳とかを研究する人になって 京都の大学でそれを教えてるらしいの

餡蜜

あんみつ姫は夜の彼方 消えてしまった 良くないことを予測しながら 当たり前を終わらせるの 缶チューハイ全部 潰したらもう朝 もう朝だよ つまらなそうなテレビニュース つまらなそうな顔しながら ずーっとずーっと見ていた おもしろい子 季節が変わればまた会えるかな 見たことない顔で笑ってよ

再生

溺れそうになりながら 必死にしがみつく手は もう握り返すほどの力も 無くなりそうだけど それでも あなたと 幸せな日々が また明日からも 続きますように 両手を握り締めて 空へ この願いを 放つんだ 神様の耳元に 近づけるように どこまでも続く 闇の向こうに 新たな光が 僕らを待っている 受け入れよう たとえどんな困難が そこに待ち受けていようとも 明日さえ見えない 日々のその中で 幸せな花を咲かせる力を 誰もが持っている 植え続けよう 希望の欠片を その手で育てていこう 夜

アンノウン

いつか言葉を忘れても あなたの身体に残るもの あといくつだけ創れるか わからないまま日は延びる いつか呼吸を失くしても あなたの心に映るもの あといくらだけ想えるか さぐらないまま日は荒む オレンジ色の赤い あたたかくて温い 見えないものは光でいっぱい そんなことまで教えてくれる いつか言葉を忘れても あなたの身体に残るもの あといくつだけ創れるか わからないまま日は延びる