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なんか変

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2021年12月の記事一覧

奇数月

糸からほどけた布マスク 鏡の向こうに在るらしい世界 裏返る幸せの境界線から 遠く私らの夜までめくって ぐるーりと1回転していく 目の奥にあった光たち いつのまにか廊下のすみ 少しだけ待ってた望みの鉱石 こつーんと蹴飛ばして散る 知らぬ設定、目覚まし時計 内側から鳴っているから きっと気づけないままで 紡ぐ惑星、性懲りもなくまた 姿形を私に似せながら

スパゲッティフィケーション

遠い光を見てる あっけなく夜を超えていく さらりとした日々が 真っ黄色の空を引き裂いて 忘れ続けて進化する損な生き物 思い出すたび退化する雑な割れ物 生け垣の中に庭を作って 覗かれるのを待ち侘びたり なんたる不恰好 Hey

忘れる修練

君につながるワンフレーズを 忘れてしまう怪現象 この地を離れ太平洋沖に沈む アトランティスかくの如し 乱れてしまう黄金の枕元で怯む 気がつくよりも忘れるほうが先か

怪物

一気飲みみたいに流し込むフレーズを 耳や鼻ではない場所、それは皮膚で コートに焦げついたあの人たちから出てきた アルコール、わさび漬け、汗たち ひとりではないことを誇りたいのか 大きな船に乗っているようなものだ 俯瞰して見たり、海の底から 海面を眺めたりしながら ピースオブワンではないこともとっくに 特別な意味をなしていないのだから

Safety Line

賑やかなものの正体を知りたくて 賑やかなものを殺すことがある その後に訪れる静寂は 逆に自分を際立たせるだけで 集中線のような視線で私は 鼓膜以外にもうるさいを感じる そういう機関があることを知る みたいなことをしている作家とか音楽が この世にヨリドリミドリであることに 何かのコトワリ的なものを感じては 腹筋にある緩み切った脂肪分を グニっと掴んでため息をついたりする

離れた2点を結ぶ世界から 千切れた紙辺で切り貼りする平地へ 飛び石のように春夏秋 あるいはその3つの派生系として 季節の小さい穴から吹きこぼれる 空気というよりは液体のような どこか懐かしい気持ちになれる部屋で 新しい家具や植物がいくつかあって 人の気配だけは注意深く排除されていて それが逆に違和感を覚えるけど 窓の外が鏡みたいにこちらを映していて 自分の存在だけをまざまざと見せつける アフターなんとかという言葉が浮かぶと 時間軸がだいぶ向こう側にあって 数字とか日の明るさと

masterpiece

ずっと一人で生きてたら 他人がなくなる ずっと二人で生きてたら 私がなくなる ずっと三人以上で生きてたら 自分がなくなる ずっと悩み続けた果てで それは結果だ ずっとそばで見ていたのに 気づけなかった ずっと ずっと わからないままで ずっと ずっと かわらないままで ずっと ずっと ずっと

私たちの裸は

私たちの裸は私たちの裸は 荒れまくった肌で乱立した山 私たちの裸は私たちの裸は 夕日を浴びて恥ずかしそうなビル群 素直になれれば彫刻のように 何も感じず世俗にさらせる 言葉がこぼれた老年のように 嘘の中にも愛情を探せる 私たちの裸は私たちの裸は 瓦礫の隙間へと散り積もった灰 私たちの裸は私たちの裸は 喉が裂けるほどに力強い産声

Star Page

近づく未来 足踏みで待つ君 余計なことは言わない要らない 嘘を本音に変えて話すね 根伝いに伝えたい身体の秘密 釈明の余地より殴られたい今 騒がしい街がなくなる深夜 明滅電球、床下浸水 当たり前になれ美しい言葉たち