マガジンのカバー画像

なんか変

333
なんか変っぽいうたをまとめていきます。
運営しているクリエイター

2020年7月の記事一覧

いなくなる部屋

哀れでも 吊るし首でも 最低で終われるなら いい 神様も 心のない魔物 ならば許して くれる 素晴らしさを 問えばきっと 答えなど出て来ない イッツオーライ ハイサンキューとか 言って繰り返してばかり 逃げ道など もともとなかったのさ 僕たちはいつでも いなくなれる 期待とか 恐ろしさとか 割れるほど叫んで きた 我々が 人であれば 世界なんて容易い そう

同一人物

同じ場所にいる 確実に知らない自分 見た目だけでは 判別ができない 歌を歌う 声のビブラートが どうやら自分より なんだか他人 さよならするとき 手を振りたくない 挨拶するときに 会釈したくない あらゆる街にいる 自分と同じ他人 狂おしく愛しい人を 奪われぬように 奪い返せるように 花の色づきや 風の臭いにおい まだら模様だった あの子の傘の色 見た目だけでは 嘘のようにも思える それらはきっと真実 淀みない未来 かわいそうなもの とても笑けてきたり 近づく恐怖や不穏 後

結婚してください

驚かないでほしい これは本当の話さ 昔話じゃない 事実さ あなたが今見ている 私の身体の中には ちょうどすっぽりおさまる悪魔が いる 鼻の穴からは目を 覗かせてあなたを見ている 尻の穴から出ては部屋を うろつく 文字や言葉などがなくても 意思の疎通が成立する 姿形を見たものは 闇の帳に葬られる 嫌だろ 不気味で こわいだろ 俺はそういう男だよ 一生キミを守るから 僕と結婚してください

正常

100年後 あなたが生きていたら 嬉しいけれど なんか奇妙 1億年 月日は流れたけれど あなたが居たら なんか不気味 さよならは必要なんだね あなたを大切にします さよならがやがて来たのなら あなたにはちゃんと死んでほしい

脳をやられて 蕩ける朝に 私はまるで 私じゃないよと 言い聞かせれば きりがない 疲れ果ててる 眠りたい 生まれ変われと 願う夜には 死にたいうたなど 暗すぎる夜の足下 手前にあるコンビニより その向こうに あるはずのない星空が 聴こえないように 薄く鳴く犬の笑顔

髪は紫

好きよ いつまでも 髪は紫 人混みに 紛れても 見つけやすいでしょ 好きよ いつまでも 髪は紫 隠れても ううん無駄よ いつまでも一緒 ねえ 願い事は 夜空の星ほど ホクロの数だけ 叶えてね ねえ 奥歯抜いた 後みたいな 膨れたほっぺに キスしてね 好きよ いつまでも 髪は紫 色落ちを したつむじが 瞳みたいでしょ 好きよ いつまでも 髪は紫 ほろ苦い この痛みが 愛の証でしょ ねえ ネオンの赤 と煙の中だと あっちの世界が 見えるのね ねえ 焦げ茶色の カサブタ剥が

お前空気みたいだな

嘘をつく回数数える 数える方がたくさん嘘を つくようになるのはなぜだろう 脳に半実体化するからじゃないの 適当にテレビは見ないよ 録画したゲーム番組を見てる だいぶ笑ってる再放送なのに 忘れたふりをちょっとしてる 解像度が高いエロスより 生々しいのがいいんです でも素人がいいとは違くて 作られたリアルでもいい 要は趣味嗜好のマッチング そこに技術とかはない お前空気みたいだなって 言われたいけど言われたことない お前空気みたいだなって 思われたいときだけ超人間 猫よ

潮騒

海の匂いがする彼女の 耳の穴、潮騒。 葬式帰りの路上で、 クシャミをしていた。 素っ気ないんだかどうだか、 お経がまだ残ってる、でも なんとなくだけどあの現場、 笑っていた?まさかね。 だけど吃驚したのよ、 校舎裏の草叢、 あんな姿であなたが、 発見されるなんて。 あなたの掌、海の砂 手をつないだ、一度だけ 吃驚したのよ。 私のせいじゃないよね。 海の匂いがした彼女 耳の穴、潮騒。 葬式帰りの路上で、 クシャミをしました、私。