見出し画像

SFに出てくる世界政府と僕らの世界

考え始める切っ掛けは、こういうことだった。有名な日本のアニメの中の世界政府はどれも成立後の物語ばかりだけど、そもそも統一政体が生まれるまでを空想するSFって無いという事に気がついたからだ。

1. 宇宙戦艦ヤマトの地球連邦
2. ガンダムの地球連邦
3. 銀河英雄伝説の地球統一政府

確かにゲームなどでは、米国とユーラシア大陸の大国の戦いを描くものは多いが、統一を夢想するSFは無い。出てくるラスボスは2つの陣営を戦争に駆り立てて私欲を満たそうとするようなテンプレート。統一に向かって行くようなストーリーは、現状批判の色が濃くなり、純粋なSF作品の趣旨からズレてしまうからか、描かれないのだろうか?

2020年をスタートとした場合、いつごろ、どうやって世界政府にたどり着くだろうか?

世界革命の先に

Wikipediaに溜まった情報の審議を確認する能力は無いが「世界統一政体」に関しては、紀元前数百年も前のギリシャ人に寄って既に議論されていた。

コスモポリタニズム」@ Wikipedia
コスモポリタニズム(英: cosmopolitanism)とは、人間は理性をもっている点で平等なので全ての人間は尊重されるべきであるという思想。コスモポリタニズムの発展的・急進的形態として世界国家構想が挙げられる。これは「人種・言語の差を乗り越えた世界平和には全ての国家を統合した世界国家を建設すべきである」という考え方に立って主張されたものである

そして、近世になって、当然の帰結として共産主義がコスモポリタニズムを指向する事になったようだ。共産主義が持つ理論的な背景に、ブルジョアジー(資本家)とプロレタリアート(労働者)の階級闘争があり、それは世界に普遍的に偏在するものであるところからである。

過去において最もコスモポリタニズムを指向した国家はソビエト連邦ともいわれる。ロシア革命を起こしたボリシェヴィキは、ロシア革命を世界革命の発端として考えていた。

この流れを考えると、世界政府への道のりは、一つには「世界革命」のその先に見えるものだった。

カタストロフ回避装置として

世界政府に至るはずの、もう一つの流れが過去にあった。ご存の通り80年前に起こった事は人類史に残る最も凄惨なものであった。

第二次世界大戦の犠牲者」@Wikipedia
第二次世界大戦における連合国・枢軸国および中立国の軍人・民間人の被害者数の総計は5000万〜8000万人とされる。 8500万人とする統計もある。 当時の世界の人口の2.5%以上が被害者となった。

人類知性は当然のことながらこれを回避する装置を志向する事になる。

世界連邦運動」@Wikipedia
世界の科学者・文化人たちが、より強力な世界連邦の形成をすすめることで世界から戦争を無くしていこうと決意し、1946年10月ルクセンブルクで「世界連邦政府のための世界運動」を起こした。この運動にはバートランド・ラッセル、アルベルト・アインシュタイン、アルベルト・シュヴァイツァー、ウィンストン・チャーチル、湯川秀樹などのノーベル賞受賞者が賛同した。

この流れを考えると、世界政府への道のりは、「カタストロフ回避装置」として構築されるべきものであった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?