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Ami Ⅲ 第15章-外見

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アミは、大きな円形の建物の上のテラスにある「駐車場」に宇宙船を停めました。
僕たちの船の隣には、大小さまざまな、しかし、どちらかというと全体的に小さめの宇宙船がたくさん見えたのです。
そして、乗り物に出入りしている何人かの人も見えました。
僕は、大きな赤い頭と、色とりどりの衣装を身にまとった巨大な存在に目を奪われてしまいました。
彼らは人間離れした顔をしていましたし、他にも色々なタイプのヒューマノイドがいたのです。
まるで仮装パーティーのようで、みんな幸せそうでした。
しかも、それは、突飛なヘアスタイルとカラーなのか、装飾品なのか、帽子なのかも、わかりませんでした。
顔や体の細部についても、同じように感じたのです。
「ビンカ、彼らを見てよ。」
と僕は、尻尾のある存在を見て言いました。
するとアミが笑いながら答えたのです。
「あの種族は昔、木に生息していたのです。
でも、あなたたちが、何事も批判したり馬鹿にしたりしないのは良い事です。
なぜなら、ここでは、あなたたちがとても不思議に思ったり、滑稽に思ったりするようなことを目にするでしょうが、ここの人たちにとっては、まったく普通のことなのですから。
さて、降りる前に、体を消毒しておきましょう。」
僕たちは従い、アミと一緒に船から降りました。
そして、僕たちは近くのエレベーターまで歩いて行ったのです。
すると、そこの扉が開き、2、3人の......が出てきたのです。
「巨大な羽のオウム??」と言いそうになりましたが、アミから「何でも批判しないように」「敬意を払うように」と忠告されていたので、ちょっと奇妙な、背の高い、カラフルな存在が出て来たのだと理解しました。
すると、彼らは進化した世界の言葉で、僕たちにとても親切に挨拶をして、通り過ぎて行ったのです。
僕とビンカは、どうしたら良いのかわからず、ちょっと緊張してしまいましたが。
エレベーターの中に入ると、アミは、僕たちの顔を見て楽しんでいるようでした。
「ここでは、誰もあなたたちを傷つけることはありません。」
丸くて透明なそのエレベーターの内部はとても広く、天井もとても高かったのです。
背の高い存在が乗ることがあるのだろうなと思いました。
そして、心地よい香りもしました。
「このエレベーターと建物全体には、香料が使われているのです。
ある種の自然の匂いが他の種の邪魔をしないようにね......。
さあ、部屋に入りましょう。
プレゼンテーションは既に始まっています。」
透明のエレベータから見下ろすと、そこには、たくさんの人が集っているのが見えました。
人...人…人… 信じられないほど多種多様なヒューマノイドの存在が、想像を絶する奇妙な服を着て歩いているのです。
中には、その奇妙な顔や体つきから、恐怖を感じてしまう人もいたのですが、みんなとても熱心で明るい表情をしていました。
エレベーターのドアが開き、外に出ると、部屋の中央に照明のついたステージがあり、その周りを満員の座席が取り囲んでいたのです。
すべての席が同じというわけではなく、小さな人が座る小さな席はステージに近い前方に、大きな席は後方にありました。
そして、僕たちは、小さい方の席へ向かいました。
人の少ない列を見つけ、アミが、親切な宇宙の小さな兄弟の間を通りながら、許可を求めましたが、誰も僕たちに特別な注意を払うこともありませんでした。
席に落ち着いたところで、僕はそこで何が行われているのかを観てみたのです。
とても明るい太った司会者が、灰色の顔に大きな口を開けて(失礼だけど、カバを連想させました)、これから発表する候補者の長所について話していました。
翻訳機のヘッドセットを通して、だいたい理解することができたのです。
大体というのは、僕には理解できない単語がいっぱい含まれていたからです。
例えば、「今から発表する人は、自分の惑星の Maj-ok2のホワイトアムサス・コープス に所属している事を光栄に思っています。
彼のウレワは分類されていないので、まだイントラルミニコ・エレメントに入っていません。
では、どうぞ。」
のような感じです。
すると、歩くレタスのようなものが現れました。
彼は、自己紹介をしてから、丁寧に挨拶をし、2分くらい集中して、何もしないで、去っていったのです。
また次に、別の人が来て同じようなことをするのです。
つまり何もしないという事です。
そして、銀河系で最も奇妙で、最も恐ろしいかもしれない存在たちがやってきました。
その中には、僕たちのように口を持ち、ただ楽しそうに微笑んでいる人たち、奇妙な衣装を着て、集中し、観客の前で少し動き、また何か不思議なジェスチャーをして、引っ込んでしまった人もいました。
僕は何も理解できませんでしたが、他の観客は理解しているようで、ステージ上の存在が集中すると、時々「おおー」というような声をあげていたのですから。
何かとても美しいものを感じましたが、結局のところ、僕とビンカは理解できないまま、互いに顔を見合わせました。
「アミ、これは何なの?」
「美人コンテストみたいなものです。
しかし、それとは大きな違いがあります。
まず、ここには競争はなく、誰も勝ったり負けたりしません。
みんな自分のベストを尽くして、観客を喜ばせようとするのです。
それが唯一の賞といえます。
第二に、彼らが見せるのは外見的な美しさではないのです。」
「違うの?」
「もちろん、違います。
外見の形は多種多様ですから、この人はこの人よりもきれいだ、醜いというのにはあまり意味がないのです
私たちは、人の外見をあまり気にしません。
一方では「美しい」ものが、他方では「醜い」ものであり、それは非常に儚く、非常に相対的なものなので、私たちは内面を見るのです。
真の美しさとは、内面からのものであり、それこそが、参加者が見せる内面的な美しさです。

「そうなのね。
解った気がするわ。
でも、観客はどうやって参加者の内なる美しさを見ているの?」
「いいえ、見ることはできません。
内なる美は、目の届く範囲にはないのです。
本質的なものは目には見えないと、地球の有名な絵本に書いてあります、ビンカ。」
「そうね。その言葉も良く解るわ。
ペドロは、私より少し背が低いから、私が彼を愛さないと思っていたんですものね。」
「僕は馬鹿だったよ、ビンカ。
ねえ、 アミ、本質的な内なる美しさって具体的にどういうことなの?」
魂の高次の感覚を使うのです、ペドロ。」
「ああ... やっぱりそういうことなんだね、ここの人たちはとても進化してるからね。
でも、僕なんかは、目で見るしかないし、魂の高次の感覚もないんだ。
例えば、ステージの上の、巨大な昆虫みたいな紳士の内なる美しさがわからないんだよ、むしろ怖いくらいだよ...。」
すると、ビンカも「私も、ペドロと私の愛する人たちの内なる美しさしか見えないのよ。
魂の高次の感覚なんか持ってないの。」
と言いました。
「そんなことはありません。
本当は、そういう感覚はあるのですが、あまりにも繊細だから、普段は気にとめていないだけなのです。
でも、ここの親切な人たちが、さりげなくあなたに送ろうとしているものを感じてみてください。
注意するのです。

すると、何かとても薄い存在が現れました。
非常に黒い肌と、強烈な黒さのために青い反射を放つ、まっすぐな髪をしていました。
その存在は、床を掃除するための毛のついた棒に似ていましたが、毛が上にあり、逆さまになっていたのですが...。
僕には、それが男なのか女なのかすら、わからなかったのです。
「男性でも女性でもありません。」
とアミは言い、僕たちが唖然とすると、彼はまた笑いました。
「宇宙の知的生命体がすべて、あなたや私のような2つの性別を前提に機能しているわけではありません。」
「そうなの?!」
「もちろんです。もちろん。
それは一つの形態に過ぎず、あなた方の世界にも他の動物や植物の種があるように、もっと多くの形態があるのです。
最終的に、そこに見える姉妹の魂は、自ら繁殖…、いや...あまりに多種多様で、宇宙に存在する繁殖方法のうち、ひとつを説明するのもはばかられるのですが…。」
と、アミは言葉を濁しましたが、僕とビンカは、せめてこの存在の繁殖方法だけでも知りたいと思いました。
「わかりました。
この生物の繁殖方法は...卵です。」
「えーーーーーーーー!!!
あの存在は卵を産むの!?」
「君たちは何でもかんでもスキャンダルのように扱い、敬意を払わず嘲笑するのですね。
この存在は、君たちの世界で赤ん坊が血まみれで痛々しく生まれてくるのを見たら、ショックを受けるのですよ。」
僕は少し考えて、アミの言う通りだと思いました。
「相対的なものなのです。
さあ、その魂の兄弟が何を送ろうとしているのか、注意してみてください。」
ガリガリ君...いや、細い...、 その痩せた存在は、ステージの真ん中で集中していました。
僕は、目を閉じて、感じようとしました...が、何も感じません。
それは、僕の心が、彼らが卵で繁殖する...ということに捉われていたからでしょう。
ビンカも僕と同じでしたが、他の聴衆たちは魅了されているようでした。
アミは、僕たちに何が起こっているのかを理解していました。
「この件に触れるべきじゃなかったのでしょう。
あなたのような世界では、セクシュアリティはしばしば『非常に恐ろしい』テーマとみなされるのですから。
そして、彼らはその恐怖を悪趣味なジョークでごまかすのです。
それが『売春宿の心理学』とすら呼ばれています。
さて、私たちはキアに戻らなければなりません。
さあ、みんな、もう時間がないのです。」
キア行きの船に乗ると、アミが言いました。
「今回のヘクシスの世界への旅の目的は、惑星の内側にある文明と、様々な種類の知的生命体を見せ、進化すればするほど、外見が重要ではなくなることを身をもって知ってもらうことでした。
「ああ... 、そのためだったんだね、アミ。」
「あなた方が苦しんでいる外見による差別を、少しでも減らすためなのです。
すると、人の見た目や言葉だけでなく、その人が放つものに注意を払えるようになります。
そして、自分の内面をもう少し見つめることです。
本当のこと、大切なことは、内面にあるのです。
だから、進化した人は内面をよく見て、外面をあまり気にしません。
しかし、進化が劣ると、あらゆる事柄において、外側や一過性のものに目が向くようになるのですが...。

「私たちには進化があまりにも足りないってことなのね。」
とビンカが言いました。
すると、アミは笑って、
「注意力が足りないのです。
それだけです。
少し練習をすれば出来るようになるのです。」
気づくと、目の前にキアがありました。
モニターには、おじさんたちが、山の中で晴れた日の午後を楽しんでいるのが見えました。
クロルカとゴローが自然の風景をうっとりと眺めながら散歩していて、トラスクが長い首を満足そうに振りながら続いていました。
そして、その周りを数匹のガラボロが楽しそうに飛び回っていたのです。
やがて僕たちが彼らのそばに到着すると、ビンカが彼らを抱きしめに走りました。
「よく眠れた?」
「とてもよく眠れたわ。
この美しい場所で、私たちはPPが背後にいること、すべてを失ったこと、行き場がないことすら、忘れそうになっているもの。」
アミは、楽観的と神秘的が入り混じったような口調で、「ここに留まりたいとは思いませんか?」と言ったのです。
彼らは身震いして、アミを貪り食うような目つきで見返しました。
「え...どういうことなの...そんなこと可能なの...?」
「もちろんです。 この小屋は空き家になったのです。
なぜなら、この小屋の住人であるクラトは、この子の星で永遠に生きることを決意し、二度とここに戻ってくることはないでしょう。」
「クラトは僕のおばあちゃんの彼氏になったんだよ。はっはっはっ!」
そんなロマンスが、僕にはまだ少し馬鹿げていると思えましたが...。
でも、ビンカの叔父たちは、目に見えて元気をとり戻していきました。
「実は、昨日の夜からずっと、この辺りで暮らすことについて考えていたんだ。
俺たちは二人とも孤独が好きで、友達もほとんどいないんだ。
農業をやろうかとか、クラトのような庭を作ろうかとか、小屋を建てようとか...。」
「一からやり直すには、ちょっと歳が行き過ぎていますよね。
この小屋も菜園ももはやクラトのものではありません。
ムフロス発酵酒の製造設備もすべて残っているので、庭で採れた野菜と一緒に、車で1時間もかからない近くの村で売ることもできるでしょう。
ここにはエンジンを搭載した古びたトラックもありますしね。
数回修理をすれば使えます。
ゴロー、一級整備士の友達を連れてきて手伝います。
トラスクもこれからあなた達の仲間ですよ。」
と、アミが二人に説明しました。
彼らは、夢中でアミの話を聞いていました。
そして、その後、クロルカがこう言ったのです。
「都会の喧騒から離れた田舎で暮らすのをずっと夢見て来たの。
夢のような話よね!」
「俺も子供の頃から自然の中で暮らすのが夢だったのさ。
農学を学んで森で暮らしたいとすら思ってたんだよ。
でも、権威主義的な父は、自分が一生を捧げた薬局で早く働けと言い、勉強資金を出してくれなかったのさ。
でも、本当は、あの薬局もあの街もずっと嫌いだったんだ。
もし可能なら、この美しい緑の山々や素晴らしい風景の中で過ごせたらこんなに嬉しい事はないんだけどな。」
「それなら良かったです。
ここがあなたの土地、あなたの家ですよ。」
と、アミはとても嬉しそうに言いました。
それを聞いて、ゴローは生まれて初めて微笑んだのです。
彼の目が輝いていたのです。
そして、この美しい景色が自分の日常になるなんて信じられないとばかりに、周囲を見渡しました。
それから、眼下に広がる美しい谷を見下ろし、また微笑み、感動の涙を流したのです。
すると......、突然、彼の顔色が悪くなってきました。
僕たちは、彼を小屋に入れ、簡易ベッドに寝かせました。
「どうしだんだろう?
興奮したからかな、急にめまいがして......。」
すると、アミが「ポジティブな感情に慣れていないから、病気になったんでしょう。はははははは。」と冗談を言いました。
なんと、その瞬間、ゴローの顔や頭の毛が抜けていく......という怖いことが起きたのです。
「ゴローおじさん、スワマになるのね!」
と、ビンカが大喜びで叫びました。
アミとクロルカも喜んでいましたが、僕はどんなに酷い状態になるのかと思うと不安になりました。
何かが起こった場合は…。
「そんなに酷い事は起こりません、ペドロ。
これはむしろ素晴らしいことなのです。
あと2~3日もすれば、友人のゴローは無害で素敵なスワマに変身するのです。
この短期間に受けた精神的打撃のおかげで、彼は急速に進化を遂げました。 そして、自分が信じていた偽りに幻滅し、より真実の価値観を受け入れる余裕が出来たのです。
また、最後の一撃はポジティブなものだったのです。
この美しい場所と新しい人生を自由に使えることを知ったとき、彼は愛と幸福が、苦しみよりもずっと早く彼を進化させることを証明したのです。
「これでやっと人間になれるのね。」
とビンカは笑いました。
しかし、彼は未だテリで、ビンカの攻勢に対して自分の種族を守ろうとし、何か反論しかけたのです。
しかし、大きな歯が口の中で踊っていたため、結局、何も言えず自嘲気味に笑い始めました。
アミはとても興奮していました。
「PPはテリ・スワマのカップルを探しているのです。
もう危険はないでしょう。
スワマカップルなんて誰も怪しまないですよね。
素晴らしいと思いませんか?
指紋でさえ変身で変えられるのです。
クロルカ、あなたの指紋も変えてあげましょう。
そして、この国の市民登録局の友人が、あなた方二人に新しい身分証明書を発行してくれます。
安心してください。
私が世話をしますから。」
「でも、私たちはここの言葉であるカイロソ語が上手くないのよ..。」
「それなら、合法的に居住する外国人の書類を作りましょう。
何も心配しないでください、私がやりますから。
あと、カイロソ語を学べる本も用意しておきます。
しかも、すぐこの近くに電線が引かれるらしいから、より楽になりますよ。」
すると「電気なんて必要ないわ。
もっと自然に暮らしたいの。」
とクロルカは答えたのです。
それを聞いたゴローは安心し、満足げに微笑みました。
少しずつ気のいいスワマに変身している彼は、何の抵抗もなく自分を受け入れ始めていたのです。
「今は安静にするのです、ゴロー。
この変身は無害で痛くないことは知っているでしょうが、2、3日は身体が弱るでしょうから、横になってゆっくりと休んでください。
未来の元テリは何か言おうとしましたが、歯が少なくなってしまった口から空気が抜けていて、何も言えず、また笑い出してしまいました。
「心配しないでください、ゴロー。
今夜か明日には新しい歯が生えますから。
もちろん小さい歯ですけどね...。」
「人間の歯よね。」
とビンカが言って、また叔父を困らせましたが、今度はゴローが歯のない笑いを漏らし、皆も同じように笑いました。
「私たちは、ここでとても幸せに暮らせるでしょう。」
クロルカは新しい感情に満ち溢れていました。
ここで、僕のソウルメイトが、僕たちの真の悩みに踏み込んだのです。
「おじさん達はここで幸せになれるわね。
でも、これから学業を終えなければならない若い女の子にとって、ここが適切な場所でないことはおわかりでしょう?」
ビンカは、ただそう伝えたのです。
僕の人生の中で最も重要な問題、ゴローがビンカの地球行きを許可するかどうかの議論がとうとう始まったのです。
僕は、長時間の緊張した駆け引きを覚悟していたのですが、なんとゴローはとても機嫌がよく、想像もしなかったようなことを言ったのです。
僕が夢でみたような楽観的なシナリオ以上のことでした。
「お前の未来と幸せはキアにはないんだよ。
お前の行く手を阻み、アミやソウルメイトであるあの良い子に不信感を抱いてたなんて、俺はなんて頭が固かったんだろう。」と。。。
僕は自分の聞いていることが信じられませんでした。
「じゃあ、おじさん?」
ビンカは魂を糸で繋ぐように言いました。
「だから、お前は地球に行ってもいいんだよ。」
「やったーーーーーーーー!!!」
と、クロルカも含めて全員が叫んだのです。
ビンカは喜びを爆発させて、目に涙を浮かべながら、僕のところにやってきました。
そして、僕たちは長い間抱き合ったのです。
もう、僕たちの愛の邪魔をするものは何もないのです。
光り輝く未来に、僕たちの幸せが待っていました。
すると、蝶や小さな虫たちが、小屋の中を楽しそうに羽ばたき始めました。
ゴローも嬉しそうに僕たちを見つめています。
すると、アミはゴローを祝福しました。
「素晴らしいです、ゴロー。
あなたは大切な姪っ子を失うのではありません。
なぜなら、私が可能な時にはいつでもビンカを連れてきて、数日間一緒に過ごすことも出来るのですから。」
「ああ、アミ、ありがとう。」
そういえば、アミが「宇宙の中で恋人たちを運ぶ仲人には、なってはいけない、プランに関係することを手伝うだけだ。」と言っていたことを思い出したのです。
当然、彼は僕の考えていること読みました。
「ビンカは、最新の冒険を綴った新しい本を書くことになります。
そして、それは、ここキアで編集され、クロルカが修正するのです。
ビンカは地球で書きますが、完成したら誰かがその文章をキアに持ってくる必要があります。
宇宙の権威は、それを私にさせてくれるでしょう。
それは惑星の仕事であり、私的な仕事ではないのですから。」
「そうだよね、アミ。」
「そして、ビンカとペドロは、無料で往復の旅を楽しめます。」
「やった~!!」
と、またまた嬉しそうに叫ぶ僕たちでした。
その後、クロルカは、この原稿がどうやって出版社に届くのか、と質問しました。
「クロルカ、私が何とかします。」とアミ。
「でも、PPが...。」
「大丈夫です。
彼らにとっては、あなたを捕まえることが重要なのです。
本のことは別問題です。
テキストはインタートコで送ります。」
「インター・トコ?」
と僕は尋ねました。
「この世界でインターネットに相当するものです。
そして、あなたが編集を承認するメッセージも一緒にね。
そこには、クロルカ、あなたが当分の間、不在である説明をつけるのです。 そして、PPは新しい本が出たことを知ると、出版社に行って確認するでしょう。
でも、出版社は、インタートコで原稿を受け取ったこと、それ以上何も知らないことを伝えるでしょう。
そして、その問題は終わるのです。
彼らは、あなたが反対側の世界であるウトナに住んでいることを知る由もありません。
そして、ビンカは使命を果たすことが出来るのです。
別の世界からこの世界に奉仕するのです。」
その後、何もかもとても速い速度で進みました。
アミは、数分間だけ船に行き、クロルカの指紋を変えました。
そこで彼女は、髪を少し染めて巻いて欲しいと頼んだのです。
しかし、彼は笑って、自分の船は美容院でもサロンでもないと言い、白髪を少し消しただけでした。
そして、ビンカの叔父と叔母に、新しい家に住むために必要なもののリストを用意するよう伝えました。
僕たちを地球に降ろした後、持っていくからと付け加えたのです。
できるだけシンプルに暮らしたいので、それほど多くはないだろうとのことでした。
アミは、それを祝福したのです。
それから僕たちは、愛と喜びをもって、その家の準備を手伝い始めました。掃除をし、チュミチュミという蛾のような虫を取り除き、古いガラクタをたくさん運び出しました。
そんな中、クロルカがクラトの有名な巻物を見つけたのです。
ビンカは、それをお土産にしようと思っていたのですが、遠くから聞いていたゴローが反対しました。
「その素晴らしい巻物を書かれた場所に残しておいてくれないかい?
俺が額縁を作って、この家の名誉ある場所に飾ろう。」
僕たちは皆、賛成しました。
そして、クロルカがゴミを燃やそうとすると、アミが大気中に煙を撒き散らす必要はないと言ったのです。
直ぐに、彼は船に乗り込み、そこからビームを発射して、ゴミの山を非物質化したのです。
足跡も残さず、ただ灰が残るだけでした。
そのとき僕は、アミが「致命的な武器は持っていない」と言ったとしても、持っているのだろうと思ったのです。
「でも、人に向けたりはしませんよ。」
と、僕の考えを読んだアミは言いました。
その後、アミは、翌日から別の任務で遠くへ行かなければならないので、出発の時が来たと言いました。
ビンカとおじさんたちは、とても感動的な、でも悲しくないお別れをしたのです。
おじさん達があまりにも幸せで、生活の変化に満足していたので、お別れのドラマがなくなってしまったのです。
でも、僕は感動していました。
もう以前のゴローではなく、気立てがよくて穏やかなスワマの存在が、時折僕に微笑んで頭を撫でてくれることさえあったのですから。
僕は彼に愛情を感じ始めていたのです。
そして、ビンカが集中して本を完成させたなら、また直ぐここに戻ってこられるでしょう。
「明日から書き始めるわね! とビンカが大きな声で言いました。

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