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AmiⅡ 第4章-宇宙のダンス①     

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宇宙船が揺れ始めました。
黄色い強い光がコントロールルームを満たし、色を変え、反射して照らされています。
「窓の外を見てください。」
僕たちは立ち上がって見に行きました。
すると、色とりどりの星の巨大な群れが大空を旋回しているのです。
発光粒子のひとつひとつが動き、踊り、ゆっくりと、そして調和しています。
目の前には、さまざまな色に輝く巨大な色煙が渦を巻いているのです。
宇宙の光、彗星、太陽、惑星が絡み合い、刻一刻と新しい形を創る光のダンス。
色とりどりの光の雲、伸びたり、曲がったり、そして、溶ける細い無数の線。
巨大な螺旋はどんどん大きくなり、まるで生命を持ったかのように広がっていきました。
スパンコールのように、目立つ、一瞬の光を放つポイントもありました。
「私たちは、この銀河系、天の川の動きを加速度的に見ています。
今度は、それぞれの粒子が動くことで発生する音を聞いてみましょう。」
アミが、コントロールボードの一点に触れると、船内には、何とも言えない音が響き始めたのです。
高い音、低い音の渦巻き、口笛、鋭い持続的な雷鳴。
儚い閃光は、竪琴を思わせる美しい音符を奏でていました。
その美しい音色や、一瞬の美しい閃光のひとつひとつが、実は......ということを後から知りました。
それは、星の最後の爆発だったのです!!!
言葉に出来ない感動的なコンサートでした。
「これが銀河の音です。スピードアップします。」
彼がボード上の何かにそっと触れると、群れ全体が華麗に加速していくのです。
伸びて、伸びて、ねじれて、広がって。
銀河系全体が、生きていて、意識があって、踊っている存在であり、きらめく宇宙のクラゲが、自らのメロディーのリズムに合わせて、光り輝くさまざまな色の付属物を広げているように、思えてきたのです。
動きが加速するにつれて、宇宙のコンサートとダンスには、メロディーの調和とリズム、脈動、和音、揺れ...があることがわかったからです。
「なんということでしょう、私の神よ。」
と、ビンカは感嘆の声を上げました。
涙で潤んだ美しい瞳は、こうして踊る銀河の様々な色合いを瞳孔に映し出し、星の輝きを浴びて、より美しく輝いています。
「彼女はすべての銀河が一度に踊っているのを楽しんでいるのです。
私たちのように外から眺めているのではありません。
さらに、銀河のような巨大なものから、私たちのような小さなもの、さらにより小さなものまで、それぞれの存在の内側を観ています。
愛ゆえに、彼女はその素晴らしい精神をすべての生き物と分かち合っているのです。

と、アミの声は、敬虔な気持ちを表していました。
その圧倒的な光景に、ビンカは感極まって涙を流しました。
感情のしこりを抱えた僕も、同じような状態でした。
僕は彼女を支えたくなり、抱きしめると、彼女は僕の肩に頭を乗せました。
僕は彼女の繊細な香りを感じ、泡よりも柔らかい彼女の髪を撫でたのです。
美しい黄色の布地に、あの素晴らしい赤い点のある蝶が飾られています。
「恋を見せつけられるのはもう十分です。
過剰なものはすべて悪い、たとえ美であっても。
さあ、進みましょう。」
とアミが笑いながらが遮りました。
彼は、僕たちを腕でサイドシートに導いてくれました。
でも、ビンカを手放すのは簡単ではなかったのです。
僕に何が起きていたのでしょうか?
座ってから、まだ明るい色とりどりの照明が部屋を照らす中、アミはこんな風に僕を感動させるものを見せ続けてくれるのだろうかと思いました。
この後、すべてが青ざめ、冷たくなっていくのかも知れないとも思いました。
「心に愛があれば、冷たいものはありません。
注意深く観察するのです。」

とアミは言いました。
とうとう、ビーチビレッジの上に戻ってきました。
岩も、テントも、明かりも、月も、何もかも変わっていません。
それには、がっかりしてしまいました。
「銀河系から遠く離れた場所に行って、同じ場所に戻ってくるなんて…。
もっと遠い世界にも行ってみたかったよ。」
それを聞いてアミは微笑みました。
「私たちは、どこにも行っていません。
私たちは、いつもここにるいるのです。」
「でも僕は銀河の外から銀河を見たんだよ!」
「あれは、何十億年分の動きを数分でコンピューターに映し出す、加速されたビジョンです。」
「でも、窓の向こうに星もあったよ!」
「私たちの船の窓は、映像を投影・誘導するスクリーンの役割も果たしています。
フィルムで撮影した映画に近い、超リアルな3次元のシステムなのです。
記録された映像と現実の映像を区別することは、あなたには不可能です。
見てください。」
アミがボードを動かすと、瞬時にガラスの向こうの景色が変わり、夜が昼になり、近くの海に太陽が沈み始めたのでした。


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