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『小工』は、無造作不作為のプリミティブでアールブリュットな表現を目指す建築職人。


❷〈小工〉ショーク

世界の構築に参加する諸々の主体からなる多様体のなかで、
意識を共有し特異的形象を発明する。


九度山アーキテクチャーズ・プロジェクトの主体は『小工』という、無造作不作為のプリミティブでアールブリュットな表現を目指す建築職人だ。
『小工』は特に芸術の教育や訓練を受けておらず、名声や賞歴を目指すでもなく、既成の芸術の流派や傾向・モードに一切とらわれることもない。制度的な倫理や主要なイデオロギーに頼らず、様々なところから集めたアッサンブラージュ断片を統合して、独自の生き方の道筋や美学を作り出していく。

『小工』はリ・コンシャスな〝アーツアンドクラフ運動を志す、アールブリュットな職人の集まりである。その中心は「芸術」が少数の富者によって、功利的に価値づけられる現代社会において、「芸術」から疎外された〝無名な人々〟である。リ・コンシャスとはグランミニマル「生活の簡素さ」という人間の生き方のテーゼであり、芸術享受や芸術表現の問題であると言える。 「芸術」に関する「表象」の問題を美術の内部からの単なる表現の問題として捉えず、「生活」という次元から根本的に問う態度を知らしめる必要を示している。

「芸術」とは広義には「人間の創造した何か」であり、「生活のあらゆる外的表現」によるとされる。そして、リ・コンシャスな手法は、現場主義の行き当たりばったりで設計図などはない。設計図というのは、複数の人間でやっていたり、工場で作ってもらうためにある。

ひとりでやっている分には必要なく、そもそも設計図を描こうと思ったら、つま先から頭のてっぺんまで、全部設計しないといけない。イメージスケッチしかないのに、そんなのできるわけない。それよりも身の回りの資源を徹底的に利用して行き当たりばったりで、限界ギリギリでやっていくほうが、結果的に無駄も無く面白いモノができる。材料を揃えようと思うよりも手元にあるものや残ったものをどう利用するか、どう再生するかを考える。「もったいない」という精神。

『小工』の芸術形象は、リ・コンシャスな発想で素材を生かし決して過度な技巧に走らず、多少不細工でもどことはなくプリミティブでアーティステック。そして、何よりもインパクトにあふれ存在感抜群だ。『小工』の家づくりは難解な設計図や高度なテクニック、複雑なコミュニケーションは一切必要としない。高齢者や女性、子供でも誰でもひとりでも表現できる。

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