九度山芸術教育アプローチ ー 「小さな仕事場」
九度山芸術教育アプローチ
ー 「小さな仕事場」
産業革命後の科学技術の急速な進歩は、際限のない生産と利益追求、抑制のない消費の結果としての廃棄物の山は「ゲイジュツ」では決してない。ITや科学技術の急速な進歩は、人間の衣食住や医療などの良好な生活や環境や安心を、ひとまずは生み出したかにみえている。しかし、デメリットとしてさまざまな環境汚染や資源の有限性への心配がある。経済活動における「大きな工場」でのモノの生産が人間に幸福をあたえる万能のものとは云えなくなった。また、省資源や環境汚染防止のための技術的研究が続けられている。このことは、確かに再び科学技術による解決を目指すという循環の中にある。しかしながら、さまざまな法律や規制により、現状からの方向転換を図ろうとしているが、科学技術や法による転換の方法は、更なるパラドックスを生み、個人の行動についてみるとき、人間本来のあるべき姿を再認識させていく力はここでもまた万能ではない。
「小さな仕事場」でのモノ作りは手工業であるため効率的ではなく、金銭的利益も少ないものである。しかし、現代文明社会への疑問を抱くときに、もうひとつの価値観、もうひとつの生活様式を認め合っていく社会、そのなかでなりたつ経済生活はどのようなものであるかについて、考えつつ実践していこうとする人びとへの「教育効果」は、人間の本性にたちかえって考えるものである。人間自身の五感の再開発を促し、体験を通して自然への畏敬や人間どうしの尊重や信頼を深めていこうとする態度が日常的に存在することが、たとえITやハイテクの時代にあって、分業の発達している時代においても、どうしても必要であろう。このようなことが次世代への贈り物であると思われる。 現代では、労働の至高状態として芸術というものが設定されている場合が多い。
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九度山アーキテクチャーズ・プロジェクトでは日本国内だけではなく、世界に向けて、リ・コンシャスの「小さなアート」によるアーツアンドクラフツ活動を展開して行きます。高齢者や子供、障害者のみなさんの感性をギャラリーという閉鎖された世界だけではなく、「小さな仕事場」での「小さな経済性」を念頭においたアートコモディティーは、「家」という「小さなギャラリー」において、実現可能性や持続可能性の高いポストミュージアム活動のアッセンブリーとして機能します。九度山アーキテクチャーズ・プロジェクトの目指すものは、環境問題をはじめ様々な課題に対して、立体的なアーツアンドクラフツにより、社会を取り巻くユニバーサルなサービスやコミュニティの在り方、さらに市場主義偏重の人と人の関係性や公益経済社会へのパラダイムシフトに向けての価値観や関係性への変革という点にあります。
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