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へぼ
2021年7月8日 02:09
私の鼻先を春の薫りがかすめる。風に揺れるカーテンは、眠る大きな森の妖精が深く静かに呼吸をするようにゆっくりと膨らんではしぼんでいる。 読もうと思って本棚から持ってきた本は、開かれることもなく私の手の届く範囲内の一番遠い所へ置かれている。 いや、私が意図して脇へ追いやった。こんな本を読んでいる所を見られたら、彼はなんて言うだろう。そしてそれを見られた私は、なんて反応をしたら良いのかわからない。