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メイクマンの回想

23年くらい前、メイクアップアーティストを目指してメイクスクールに通い始めました。当時、スクールは南青山の骨董通り沿いにありマンションの一室がスクールだった。

渋谷駅から宮益坂を抜けて、マックスマーラーの所を右に入って、骨董通りの一番奥くらいのマンションだ。
スクールと言っても東京ではオープンしたばかりだったので、師匠と生徒の俺の二人しかいなくて、何も分からない俺だったけど完全マンツーマンで学べると言う夢のような有り得ない環境で2年くらいメイクを学ぶことが出来た。

問題はメイクモデルがいない事。
そのため練習する顔、モデルを自分で用意していた。初めの頃は友達や先輩、後輩、知り合いに来てもらっていたが、流石に底をついてきたので、そこで思いついたのがネット掲示板での募集だ。

当時のネット環境というのは、プロバイダと月額で契約をして、モデムを買って線繋げて電話回線?みたいな感じの通信方法だったと思う。だからPC立ち上げたら、接続ボタンを押すと、モデムがピーピー、ヒャラヒャラガー、ビヨンビヨンって言って5分くらいかけてやっとネットに繋がる感じだ。
分かる人にしか分からないと思うけど。

ホームページも大きいものでBIGLOBEとかエキサイトとかそういうのしか無くて、今の阿部寛のホームページみたいな感じで、手作り感のあるやつしかなかった。面白くもない。
あなたは何人目の訪問者です、と言うのが必ずあって、管理人とかリンク先とかがあって、工事中のページも必ずあってなかなか更新されなくて、大した情報は載ってない。もちろんニュースとかもまだ無かったと思う。しかも1ページ開くのに10秒とかもっとかかっていたと思う。そんな時代。

そんな中でもエキサイト掲示板と言うのがあって、そこで、「僕はメイクを勉強していますので練習モデルのご協力をお願いします」。みたいな感じで掲示板に載せていた。その時のハンドルネームがメイクマンだ。
当時、Twitterも無ければmixiとかも無い時代。携帯は緑色の液晶画面で写真機能も無い。
掲示板内で日時とかを約束して、骨董通りの入り口、マックスマーラーの前で待ち合わせしてたように思う。

結構な人に来てもらっていた。一度もすっぽかされる事もなく。練習が終わると師匠がメイクをしてくれたりしてたので、皆喜んで帰っていった。もちろん連絡先も聞かないし、お茶の一杯も飲まなかった。こちらは真剣なのでただメイクを練習することだけが目的だった。メイクの練習が終わったら、マックスマーラーの前で解散だ。

今で言う「出会い系」というヤツなのかな。当時はもちろんそんな言葉もなければ掲示板をそんな風に活用していた人は俺しかいないんじゃないかと今でも思ってる。

たぶんデジカメとかもまだない時代(あったけど高くて性能も画質も悪い!)なので、なんのデータも残っていない。デジタル過渡期のいい時代だった。今思うといろいろ不便だったけど。

分かる人います??