見出し画像

温かい時間とヒトに溢れた場所

 (普段あまりジャズに馴染みがない)ヒトはジャズという音楽にどんなイメージを持たれているものでしょうか?
 例えば飲み会などでの自己紹介的な場で「どんな音楽がお好きですか?」って聞かれて、「ジャズなど」などと答えると、「おっしゃれですね」「大人ですね」みたいな反応が多かったです。おいおい!
 1970年代中盤くらいから聞き始めたのですが、当時の私のイメージは、「薄暗い」「タバコ、お酒」「破天荒」。。。随分変わったものですね。(1980年くらいから爆発した「フュージョンブーム」の功績!が大きいのでしょうね。随分明るくさせた)
 とにかく今では、ジャズも「多様性」の最たるもので、系統的な把握をしようとしたらかなり大変なので、断片的であっても「自分の好きな音楽」を探していくのが、一番楽しいように思います。

「私の好きな音楽」
 つまるところは、「私の好きなミュージシャン」なのだと思います。「人間性」をこんなにさらけ出していく音楽はそんなにはないです。
 例えば2024年3月25日、吉祥寺の「サムタイム」で開かれた「千北祐輔(b)トリオ+スペシャルゲスト、西村知恵(vo)。with 井上銘(g)+柵木雄斗(ds)。

 こんなに「温かさ」に包まれるライブは、そんなには出会えないですよ。西村さんはゲストという位置づけであり、かつ当日のライブの趣旨は「千北祐輔東京を離れる壮行ライブ」(千北さん、お疲れ様でした。大阪での更なるご活躍を祈念します)なのですが、その日の空気の半分は西村さんが作られていました。 一部、二部構成で、千北さんベースソロ1曲、トリオの2曲以降に西村さん登場。全体的にジャズのいわゆるスタンダードナンバーを、しっとりと歌い上げられていました(普段のご自分のユニットではとことん「熱唱」に走られるのですが、ここでの場を尊重されて)。ミュージシャンそれぞれ「プロ中のプロ」なので、安心できる極上の空間となっていました。 そして圧巻がアンコール前の〆の「IN MY LIFE」(Beatles)。    John Lennon という人には音楽に出会って以来の「心酔」のヒトなのですが、「もういいだろう」という気持ちもありました。そんなある意味での奢り?を砕くような貴重な時間でした。

 「人生で様々なひとに出会い浮き沈みも経験してきたが、その中でもあなたは『最上』のひとだ。I LOVE YOU MORE」 (断片です)
 曲自体に、噛めば噛むほど染み出てくる滋養に溢れているのですが、この、千北さんご自身の人生での重要な局面でこれをポン!と出してくる、そんな魅惑の瞬間に出会えるのが、ジャズという音楽(人間)の、最大の楽しみの一つだと思います。
 ありがたいことに、ジャズは日本ではいつだって健在で多少は形を変えながら、それでも芯は共通で、多くのライブハウス(JAZZ CLUB)で出会えます。吉祥寺のサムタイムはその中でも歴史にも裏付けされた極上の場所の一つ。おいしい料理にも定評があります。(残念ながらナシレマはありませんが・・(笑))


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?