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やかないシュー・クリーム


キリン「シュークリームを、作りましょう。」




私「はい!」








よっし!



「まづ、クリイムをさきにこしらへますが、最初に大鍋に水を入れ、火にかけて置きます。」


大鍋ですね?任せてください。


容量は5.5L




「これは、後に湯煎に使ひますから、沸くまでの間、小鍋にメリケン粉大匙五杯半、砂糖大匙二杯を入れてよく混ぜてください」


メリケン粉ね。薄力粉でも中力粉でも強力粉でもないのね。

どれよね。

取りましょう。間。


「さあ、そこに、牛乳一合を加へ、玉子一個をよくとき入れて、全體ぜんたいをよくかき混ぜます。」



はいよっと!

混ぜます


「そろそろ、大鍋のお湯が沸いてきましたね。さうしたら、小鍋ごと大鍋の中に差入れて、湯煎をしてから、木杓子でよくかき混ぜます」


木杓子!持ってないですね。残念ながら。


ゴム杓子で勘弁


「さあ、次第にどろどろのクリイムらしくなつてきましたね。ここで、レモン汁を少々加へて下さい」


しばらく混ぜるもあんまりならないなと思いきや.....?


ちゃんと固まりはじめた


そしたら!




レモン汁!用意!


「はい、これでレモン・カスタード・クリイムのでき上りです。」




できたみたい!レモン・カスタード・クリイム。

これがそれです


「このクリイムは、林檎や梨などの果物を煮たものの上にかけたり、パイの詰めものに使つたり、また、苺などとそのまま和へたりしても、大變たいへん風味も、滋養もよいものです。一つ、覺えておかれると、後々、重寶ちょうほうします」


たしかにこれは楽しいです。滋養もよいならいくら食べても大丈夫ってこったね。
もりもり食べてやりましょう。


「さて、今度は外側の皮をつくります。鍋に八勺ほどの水を入れて」



八勺。




さすがの文明


「鍋に八勺ほどの水を入れてメリケン粉大匙四杯をよく溶かし、火にかけます。これを杓子でかき混ぜながら、バター大匙一杯を溶かし込みます。」



よしきた。



「照りが出てきて、糊のやうになりましたね。ここで玉子二個をよくといて少しづつ加へ、かき混ぜます。」



糊のように......?糊って今まで見たこともないと思いますが、はたして





多分これですねえ!!糊って!すごいぜ。


生地らしくなってきた


「さあ、次にフライパンを熱して、サラド油を2合、入れて下さい」

揚げ物だ〜いすき。


ちゃんと測りましたからね


「油を熱したら、皮の材料を、一個當りあたり大匙二杯分ぐらゐづつ、垂らし込みます。膨れ上がつたら、焦げないうちに藁半紙の上にとり、油氣を切ります」

やっぱり
うきうき
しますね



「全部、揚げ終はつたら、横に包丁目を半分ほどいれて、口を開け、こしらへておいたクリイムを詰めます」



揚げ終わったものに。



実は切れ込みがあります。




詰める!


裏は見えないので大丈夫。




続いて詰め〜.......



ません。景気のいい見た目ですね。




そしたら完成よ!



そして実食よね!




どうだか........


どうかな!




おいしい!クリームがかなり甘さ控えめですね。カスタード餡くらいのやさしさ。


私のばあちゃんは元気です


皮のこんがり揚がったかんじも香ばしくて楽しい。ただ油気が思ったよりある。
素朴なおいしさにがっつりめの油分。おばあちゃんの洋風手作りお菓子を思い浮かべます。


今のシュークリームは何段階も進化した結果なんでしょうね。きっとシュークリームの原形はこうだったんじゃないでしょうか。




とにかく。



お〜いしかったです!





またね。


矢留





出典:梨木香歩さん(1996) 『エンジェル エンジェル エンジェル 』新潮社




カスタードはすぐ作れておいしい

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