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日記:タコスと「アルパカ」とFF14と私

この記事には「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー」序盤の軽微なネタバレ、様々な分野の雑な語りを含みます。


 始まりはアリゼーのこのセリフ。

FF14の最新パッチシナリオ「黄金のレガシー」のスクリーンショット。アリゼーの台詞が映っている。以下台詞「待ってる間にお腹が空いたから、シャバーブチェと、タコスのチーちゃんをはしごしてきたわ。私の好みは、よりスパイスが効いてるチーちゃんのタコスね。」

 い、いいなー!?私もタコス食べたかった!!というかはしごなんてずいぶんはらへりだったのねアリゼー!!?

 この前にヒカセンは食べ損ねてますからね、腕によりをかけて作ってもらったとっておきのタコスを。おのれバクージャジャ……自分は沢山ごはん食べそうな名前なのに……。
 まあ私だったら「袋に入ってるんだし端っこだけでもちょっと……ダメ?」となるし、自機ヒカセンはちょっと食べたかもしれませんが。だって勿体ないんだもん……。

 そんなタコスをアリゼーに先んじて、しかもはしごなんてされては「目指す背中」の名折れ。ということでね。

白い皿の上に四種類のタコスとソース、アボカドディップとデザートのミルクプリンが乗っている。
メキシコ料理レストラン「エルトリート」 ランチのタコスセット

 食べてきました。ハードシェルとソフトシェル、具材も四種類でデザートまでついています。そしてとても美味しい。これならきっとアリゼーも、

FF14のパッチシナリオ「漆黒のヴィランズ」のスクリーンショット。アリゼーの台詞が映っている。以下台詞「悔しいけど……うん、それほど遠くないわ。もっと観察眼を磨いて、次は追いつくから、覚悟してよね!」
アリゼーに対して手は抜けません。

こう言ってくれるでしょう。

 それでね、本当においしかったんですよ!ハードシェルのタコスも結構食べ応えがあるとか、本当におしり側から具材や汁がぽろぽろ出るとか、白身魚のフライがサクサク香ばしくて意外にもとっても合うとか、発見が沢山あって楽しかったです。それでこのタコスにチーズがね、またピッタリだったんですね~。

 そこで思いました。「チーズかぁ……(思考の飛躍)アルパカって乳をチーズにしたりするのかな?」調べてみましょう!

 興味深い論文を見つけました。他の研究や論文でも言われているらしいのですが、アンデス地域ではアルパカを含むラクダ科の動物を家畜として飼ってはいても、その乳を人間が利用することはないのだそうです。それもどうやら「昔はやっていたけど廃れた」というものでも「昔はやってなかったけど今ならできる」というものでもないそう。へえ~……。(p. 3)
 理由としては動物側(乳が少ない、搾乳が難しい等)と人間側(栄養を他のもので補えるので必要性がない、乳糖への耐性が低い等)の双方にあると考えられ、また実際にアンデス地域で牧畜を行っている人々も「量も少ないし、そんなもん採らせてくれない」という認識をしているので、今に至るまでアルパカチーズはおろか、アルパカ乳自体、利用されることがないのだとか。(pp. 3-5)

 なるほどなあ~と読みつつ、他の論文もちょっと読んで(スマホで気楽に巨人の肩に乗れるなんて、いい時代に生まれたものです)いると、ふと「あれ?」となります。

 FF14の「アルパカ」の顔って、むしろリャマに似てない?

 私はこういう「印象」の話を確認したいときはTwitterへ向かいます。やっぱり!言及しておられる方が複数いました。しかもそれは形態に限らず、人が「アルパカ」をどう利用しているかにも及んでいます!な、なんだってー!さらに調べてみましょう!!

リャマとアルパカとFF14の「アルパカ」を比較する画像。アルパカは主に獣毛を目的に、リャマは主に食肉と荷役を目的に育てられる。どちらも野生にはいない。FF14の「アルパカ」は野生にもおり、先述の用途に加え騎乗・牽引にも用いられる。
内容も見た目も雑で申し訳ない

 まとめてみました(あんまりまとまりませんでしたが)!正直見た目は沢山見ているうちにこんがらがってきましたが、どうやら思った以上にFF14の「アルパカ」はリャマとアルパカが合体した存在のようです。野生にもいるという点では、他のラクダ科動物であるグアナコとビクーニャも混ざっているかもしれません。すごいぞ「アルパカ」!

FF14の最新パッチシナリオ「黄金のレガシー」のスクリーンショット。牧地にある井戸が映っている。井戸の上にはアルパカの柄が刻まれた黄色のバケツが吊るされている。
牧地にあった井戸。
FF14の「アルパカ」はアルパカと同じで水をよく飲む必要がありそうです。
アルパカ柄のバケツがかわいいですが、アルパカ乳は注がれることがなさそう。

 名前が「アルパカ」なのはトラル大陸という新しい冒険の舞台で「目新しさ」と「親しみやすさ」のバランスを取りたかった結果だったりするのでしょうか?などと邪推する中で問題なのが、利用方法の部分。
 なんと、リャマもアルパカも騎乗・牽引を目的には利用されないのです。これはどういうことでしょう……というところですが、これには言い訳がききます。

 まず騎乗ですが、「アルパカ」を飼育しているペルペル族は非常に小柄な種族です。「アルパカ」が現実のアルパカと全く同じ生き物ではないことも含めると、彼らくらいならどうにか乗せることが出来るのかもしれません。
 まあアルパカポーターなんてものがある上に、メインクエストでウクラマトさんとヒカセンも乗っているのですが。それはこう……80年間で色々と努力を重ねたんですよ、きっと!

 次に牽引。これははっきりとゲーム中に示されています。「アルパカ」の荷車は、シャーレアンに留学していたコーナさんがエオルゼアの「チョコボキャリッジ」の技術を持ち込んで生まれた、非常に新しいものなのです。青燐ガスの浮袋があるために、アルパカへの負担も少なく起伏の多い土地にもピッタリ。
 今更ですが「浮力源って風のクリスタルじゃなかったんだ……」と思っています。トラル大陸には青燐水が豊かに産出する土地があるそうなので、そこも踏まえたチョイスだったのかもしれません。かしこい。

FF14の最新パッチシナリオ「黄金のレガシー」のスクリーンショット。アルパカの荷車が映っている。アルパカの荷車はチョコボキャリッジの荷車と形がよく似ている。
確かにそっくりです。

 はあ~面白いなあ~こうやって新しい「面白い」をもらえるのって嬉しいな~、この論文の「前からそう言われてはいるけど詳細をハッキリさせてる研究ないじゃないですか、じゃあ私がやります」って実際難しくてもやってるのってすごいなあ、私もやりたかったけど到底できなかったなあ、でも研究に必要なのってそういう「これって本当にそうって言っていいの?」って視点だって教わったなあ~もっと深く考えるなら他にもいろいろ読んでみなきゃなあ~、と色々思いながら読んでいると、まとめの最終段落で「あっ」と思うところがありました。

それよりも重要なことは、「少ないから人間の分はもらえない」と牧民自身が考えていることであり、現実的な乳量よりも家畜と人間との関係において、乳を搾ることもそれを人間が横取りして利用することもなかったと考えるほうが自然ではないだろうか。(p. 9)

 こ、コーナ兄さん!!コーナ兄さんが引っ掛かっちゃってるとこ、ここ!!!だと思います私は!!!

 つまり、こういうことって「できるからやる」「できないからやらない」の単純な話だけではない、っていうことではないでしょうか。今までできなかったことをできるようになる技術がうまれたとして、じゃあ全ての人がそれを望むかといったら、そんなことはきっとないのです。

 コーナさんはハヌハヌ族の試練を越えてみせた時「祭なんてしなくてもいいんだ」と言いましたが、ハヌハヌ族の皆さんは……少なくとも、ヒカセン属するウクラマト陣営の接した方々は、お祭り自体を厭うている人はいませんでした。とっても手間がかかることですが、それを楽しみにする気持ちで、目の前の暗い気持ちを吹き飛ばす力にしたり、亡くなってしまった人への想いを昇華する機会にしていました。
 「不便だから、面倒だから必要が無くなればしなくていい」という話ではないのですが、「伝統と革新」という括りに囚われてそれが見えてない、んじゃないでしょうか。どうなんでしょうねえ。

 まあこれも、先ほどの荷車も含めた革新によって「豊かになった」ことも確かにあることや、祭りの伝統が形骸化してしまっていたことも描かれている事含めての「単純な話ではない」なんでしょうね、きっと。ああ~楽しみだなあ!!
 ちなみにこれを書いていたせいで、ゲームをやる時間がまるっと吹き飛んでいます。本末転倒!まだLv93なんですけど!!?


文中で紹介したもの(紹介順)

ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー(https://jp.finalfantasyxiv.com/dawntrail/
メキシコ料理レストラン「エルトリート」ホームページ(https://www.eltorito.jp/
鳥塚 あゆち(2017)「南米ラクダ科動物の泌乳量調査」、『専修自然科学紀要』、第48号、pp. 1-10.


他に参考にしたもの

少し目を通しただけのものも含みます。

二つ目がリャマを中心とした牧畜の話です。


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