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民事裁判に取り組むということ

諸事情があり、昨年まで民事裁判の渦中にあった。我が家は不動産賃貸業を自営としているのだけれど、そのうちのひとつで契約していた不動産会社と揉めたのだ。契約期間が終わっても立ち退かず、弁護士から文書を送ってもしつこく居座られてしまった。仕方がなく、民事訴訟を起こしたという感じ。

その会社はいわゆる田舎の地上げ屋という感じであまりクリーンな会社ではなさそうだったが、そこと賃貸借契約をした母親の落ち度もあると思っている。ただの賃貸借関係ならまだよかったが、ニュータウン開発のためにそこを相手に土地を売ったりしたことにまつわる因縁もあり、ただの不動産明け渡し訴訟とは少し様相が違ってしまった。

訴訟を起こすことにした時期は長女がまだ生まれて3ヶ月くらいだった。そもそもの原因を作ったようなもんである母親は(契約内容をなあなあにして契約したこと、そこの不動産会社を信用していないと言うくせに金銭授受関係を結んだことなど)、具体的な解決策を思いつくほど頭がクリアではなかった。そこの土地を活用したかったが、立ち退いてもらわなけれぱどうにもならない。ひとまず知人に紹介された弁護士に母親だけ会いに行かせたものの、事態は停滞した。紹介された弁護士も法的には賃貸借契約上は、次の土地活用をすすめてもいい、また名義人である祖母に会えない(そんなことはなかったのだが)という理由で不動産会社とのやりとりを積極的にしないまま交渉のテーブルから降りてしまった。

そのまま次の土地活用を進めてもよかったのだが、後々揉めても面倒なので、いくつか弁護士事務所を探して無料相談に行くことにした。長女が生後3ヶ月か4ヶ月くらいのときのことだ。結果として、やはりそのまま活用するのはリスクがあるとのこと、居座られた分の損害金は請求する権利があることなどを鑑みて民事訴訟に踏み切った。

詳細は割愛するが、民事訴訟は時間がかかる。それと弁護士にも得意分野があるので、弁護士選びをしくじると判決に影響が出ることはもちろん、余計なストレスがかかる。弁護料も言い値みたいなところがあるので、金銭的負担も変わってくるかもしれない。我が家の場合、とても優秀で相性の良い弁護士と出会えたことは幸運だった。個人的な間隔だが、個人弁護士事務所よりも何人かを抱えているようなところのほうがこういったリスクは回避できるのではないだろうか。

民事裁判、裁判官にいかにこちらの言い分が真っ当なのかをみせる、言い方はアレだが茶番なので、物的証拠をいくつ集められるか、またそれを伝えたいことにどう組み込んでいくか、というところに尽きる。証人尋問があるなら、ちょっとした演技力も求められる(もちろん虚偽の答弁はしないけれど)。ただし、情に訴えるよりは、物的証拠に基づいた訴えのほうが強い。ゲームのようだな、と思うことも多々あった。

コロナの影響で1年ほど裁判が滞ったので、丸々4年間かけて不動産会社との確執は法的にはクリーンになった。賃貸借契約以外の確執もあったので、単なる不動産賃貸借訴訟だったら半分くらいの期間で終わったのではないかと思う(実際弁護士にもそう言われた)。あと、判決文、めちゃくちゃ回りくどくて読むのが難解だった…。裁判関連の独特の言い回しだらけで、日本語って面白いなあとぼんやり思いながら読み解いたりした。

どんなことについてであれ、民事裁判は面倒だったので、この先の人生では関わりのないよう祈るが、人生経験としてはとても有意義だった。弁護士からは今後困ったことがあったらメールくれたら答えますよ、なんて弁護士とのパイプもできたので、時間もお金も無駄ではなかったかな。



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