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23秋季リーグ戦棚卸_さよならベストナイン

入学時の春はリーグ戦が中止。21年春は無観客開催なるも一節の5試合で打ち切り。最初の2年間はトーナメント戦も中止。3年生となった22年春からようやくこれまでどおりの開催に戻る。この間、特例的な「札七」シーズンがあったりと幾つもの「いつも通り」ではないシーズンを過ごした23年4年生世代。この4年生の中からのheatwave私撰ベストナインです。

□指名打者:藤原健裕(北海道大学)

バットヘッドを独特のリズムで揺らして投球を待ち構える様に「打たはりそうな」雰囲気をはんなりと漂わせていた京都産のスラッガー。ラストイヤーはやや低調に終わり、出番は減少したものの、時折響かせる鋭い打球には強打者の片鱗を窺わせていた。22年春一節大谷戦では本塁打。同じく、22年春、北翔との順位決定戦で放った麻生での本塁打が鮮烈な印象を残す。この一発は北翔二部降格の遠因にもなり、以降の札六の景色を変えたという意味でも忘れがたい一打。

□外野手:石垣圭翔(札幌学院大学)

23年秋二部優勝の行方を最終戦へもつれ込まれせた一打のインパクトから選出。二節国際との一戦、この試合勝てば優勝となる国際を土壇場でひっくり返すサヨナラスリーラン本塁打。現地観戦は叶わず、速報での確認ではあったが、充分過ぎる衝撃。OB近藤廉(現中日ドラゴンズ)から注目すべき選手として、置き土産的に名前を教えていただいてからの注目選手であったが、大きな足跡を残してくれた。

□外野手:太田光正(札幌大学)

紅白戦や練習試合で活躍した選手がスタメンを勝ち取り、リーグ戦に登場してくるのを見られることは観戦者の大きな楽しみのひとつ。その代表例でもあったのが太田。21年秋の練習試合で本塁打を放ち、楽しみの種を撒いてくれた太田は、翌22年春にスタメンで登場。なかなか思うような結果は出なかったが、22年秋二節学園戦では帯川から本塁打を記録している。小柄ではあるが、バットをきれいに振り抜いて放った鮮やかな2本の本塁打を記憶しておきたい。

□外野手:河野優希(北翔大学)

ランサーズ山脈の主峰。22年春入替戦栗沢での2本のアーチが強烈な印象だが、元々は守備・送球を評価されて出場機会を得ていたという逸話も。その評価を裏付ける好返球での生還阻止も幾つかあり。打撃に関しては、豪快さと繊細さ。巧さと脆さが同居しているあたりが憎めない持ち味であり魅力であった。最後の秋はやや迷いの見えるスイングが増えていたか。秋から主将を担ったことで思い切りの良さがやや薄まってしまったのかもしれない。しかしながら、球の芯を捉え遠く飛ばすフルスイングを忘れてしまうことはない。

□遊撃手:坂野勇太(北翔大学)

ランサーズ山脈の属峰。屈強な主峰群の前後を固める曲者として躍動。ラストイヤー、打率5割越えで首位打者獲得の活躍を見せる。キャリアハイで最後のシーズンを終える野手が稀有な札六の中、この坂野の活躍は特筆もの。秋から新主将に就いた河野を支える副将としても〜旭実ライン〜苦戦続くチームを引っ張っていた筈。主峰、属峰が塊になって相手チームを飲み込み、その結果に一部昇格が見えてくるのか、というストーリーを仮想していたものの、仮想は仮想のままに終わった。北翔一部昇格への挑戦は次世代ランサーズに託されることに。

□三塁手:小路楓世(札幌大谷大学)

大谷に連なる名脇役の系譜。表健志郎、小野寺純矢らが担った役割~左打ちの好打者~を預かっていた印象。23年秋の入替戦2戦目。負ければ二部降格となる一戦。延長10回に逆転適時打を放つ。この一打で土俵際で踏み留まった大谷は、続く3戦目も勝利して一部残留を決めることに。一部ネイティヴ世代として、後輩へ降格切符を渡すことなく4年間を締め括った。

□二塁手:鈴木康介(北海学園大学)

少し前のある時期、学園に「鈴木」姓が渋滞していたのだが、その渋滞の中にいたひとり。学園の中では珍しいクラーク記念国際出身選手としてブックマークしていた。三塁、遊撃が本職かと思われるが、本企画では「二塁手が足りない」状態につき、本職外の二塁手で選出をした。どうかご容赦を。試合終盤の守備固めで登場する機会が多かったが、22年春一節北翔戦ではスタメンに名を連ねて2安打。背番号なしから54→38→34→40と辿った後に最後の1年間は背番号3へ。学園の3番は成田智貴(現札幌ホーネッツ)もつけた重みのある番号。代表決定戦では一塁コーチを務めた。コーチスボックスへ向かう背中で揺れていた3を記憶しておきたい。

□一塁手:平手塁(北海学園大学)

わかりやすく目立つ活躍の場面は少ないながらも、チャンスメイク、効果的な打点など、実効性の高い動きでチームに貢献していた印象が強い。同学年で主砲の志村や下級生の巧打者陣の影になることは多かったが、堅実に働くシャドウエース的な存在であったと思う。左投左打。4年間生き延びて最後の秋までたどり着いた。

□捕手:加賀屋輝(星槎道都大学)

俊足巧打の捕手。3学年上に松田彪瑠、1学年上には三浦響。普通に考えると出番を勝ち取るのは中々難しい状況であったとは思うのだが、早い時期から試合で姿をしばしば見かけた印象が強い。ただ改めてリーグ戦の記録を確認すると、頻繁に登場していたようでもないので、練習試合などの記憶と混同しているのかもしれない。松田、三浦と同じく左打ちの巧打者。それぞれ持ち味の異なる巧打者三人を興味深く見ていたことを思い返す。その中で俊足ぶりを買われてか、代走での出場もあったのが加賀屋。気がつけばいつの間にか4年生、春を終えたところで、さよならを迎えた。

□投手:登坂真大(東海大学札幌キャンパス)

伊東佳希、滝田一希、帯川瑠生、阿曽伊吹、伊藤嶺ら。各大学に好投手が居並んだこの世代。縦縞東海のエースが登坂であった。3年時には全国の舞台も踏んだものの、どこか悲運の右腕と言ったイメージがついてまわるのは何故だろうか。まあ、それはともかく、最後の1年、特に最後の秋は登坂の投球をたっぷり、そして、しっかりと堪能できた。私が考える彼の魅力のひとつは配球、組み立ての巧みさ。球速や球のキレといった個々の要素が水準以上に素晴らしいことは言うまでもないが、それら個々の素材を正しい順序で計算尽くで投げ込み打者を追い込んで仕留める。その一連の流れが卓越していたと思う。少し野手投げっぽさが残るようにも感じるが、そこはさらなる伸びしろかと。先に書いた悲運のイメージは秋開幕戦、救援で登場、好投を続けた後のサヨナラ本塁打被弾によるものと思い出す。名勝負を繰り広げた道都伊東との投げ合いは恐らく通算五分五分くらいだったかと。機会を改めて棚卸をしておこう。

◇20年春~23年秋_一部リーグ順位一覧

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