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2024 北海道アマチュアベースボール チャンピオンシップ_星槎道都大学1-6北海道ガス

2024北海道アマチュアベースボールチャンピオンシップ大会。8/2から始まった一連の催しのトリに行われた一戦。社会人代表北海道ガスと大学代表星槎道都大学が対戦。

大会名称を忠実になぞるならば、大学代表決定戦を行った上で大学代表を送り込むべきではないかと思うのだが、そのような運びとならない経緯はわからない。

3日間の会期中のどこかで、東農大北海道オホーツクと星槎道都大学の一戦をあらかじめ行い「決勝戦」へ進出するという仕掛けを組み込むことで、大会の意味づけも強まりそうだが。たとえば、両校が秋のリーグ戦を終えた後に、明治神宮大会代表決定戦へ進んだ際には、秋のリーグ戦を挟んでの再戦になるといったことも含めて。もちろん、そうならないケースも当然あるが、そうであっても、道六・札六の明治神宮大会代表決定戦の予備戦、前哨戦といった意味付けを含ませることはできる(少なくとも、私はそういった視点で見ることのできる好機として捉えるが)。

では、両チームのスタメンを見ていこう。まずは都市対抗で1勝を挙げての「凱旋」となった北海道ガス。結論から書けば、都市対抗時のメンバーから落としての一戦であったことは明白。そうなることの経緯は不明だが、ここで再び問いかけたくなるのは「チャンピオンシップ」という呼称についてである。

まあ、そこまでの物言いが大層ならば、少し焦点を変え、また、絞ってみるならば、たとえば、NTT東日本との一戦で先制点を含む3安打、とりわけ、結果的に得点にはつながらなかったものの、泥臭くバント安打で出塁し、ダメ押し点を奪いにいく姿勢をみせた小栗研人が母校を相手にどういった背中を見せてくれるのかなど、そんな楽しみが削がれていた、ということ。

投手陣は、先発の畑賢郎から、村田澪斗、鈴木愛斗、海老原丞と繋いだ。村田、海老原以外は都市対抗では登板のなかった面々。個人的には、NTT東日本戦で好投した村上大芽の凱旋登板を期待していただけに、再びの興冷め。

しかしながら、北海道ガスが日本一を獲り、真に凱旋していたならば、7月30日の都市対抗の決勝戦から中4日で本大会を迎えることになっていた訳であり、そう考えると今回のメンバーを一概に「落とした」と決めつけるのも見当違いなのかもしれない。

加えて、こういった個々の点以上に、ひどく冷え込んで見える円山球場で両チャンピオンチームを迎えてしまうこちらにも大いなる問題があるのだろう(昨年を軽々と越えて、こっそり・ひっそり感が大いに増したように思うのは気のせいだろうか)

一方の道都、先発は佐藤爽。大会への姿勢を明確に示す。秋のリーグ戦を前にしての格上との一戦、メンバーを落とすなんてことはありえない。

つまり、社会人と大学でこの日取りでの「チャンピオンシップ」にそもそもの無理があるということなのだ、一区切りつけた社会人とこれから再始動する大学との時期の不一致から。今年は北海道ガスが勝ち進んでくれたおかげで、あらためてこの点が強く浮かび上がってしまったということなのだろう。

話を道都に戻す。ということで、道都は現在組める最強の布陣を並べたものと理解する。

菊地 大翔(右)
那波 賢人(中)
鈴木 惇士(一)
福島 一茶(三)
可児 陽康(指)
千葉 大輔(二)
成田 翔大(左)
上野 愛翔(捕)
堀越 颯太(遊)
佐藤 爽   (投)

おおむね春を踏襲しつつ、代わって入ってきたのが捕手の上野愛翔(苫小牧中央)。捕手は途中交代した木川幹太(鵡川)と松原康介(目白研心)の2年生3人がベンチに。伊藤優、奈良諒介、筧田奨の4年生捕手は春で引退した模様(野球部HP名簿に名前なし)。その他の不在はキャプテン田中銀河くらいか。ちなみに代役を務めた千葉大輔は2安打で優秀選手賞に選出された。

顔ぶれ変わらずで見落としかけていたが、外野守備位置が変更されており、左から、成田、那波、菊地の並びに。この3人がスタメンに名を連ねたのが春では5月15日の北大戦だが、そのときは成田、菊地、那波の並び。基本的に、中堅は菊地であったと思うのだが、そこへ手を加えている。全日本での守備をきっかけに守備位置変更の模索がされたのかもしれない。そして、この試合、まさに、その外野の守備力を試すような場面が繰り返されることになる。試合の展開を追いながら振り返ってみようと思う。

まず、1点リードして迎えた2回。北海道ガス4番渡邊浩伸の右中間への三塁打。完全に間を割られた一打ではあったが、打球を追った菊地がボールを追う途中で転倒、さらにその後、内野への返球も乱れて、三塁到達を許してしまう。転倒はともかく、丁寧に中継すれば三進は防げたように見えた。その後、死球を挟んで、6番長谷川寛の一打が再び菊地の上空へ。大飛球ではあったが、グラブに当てての三塁打。この2本の三塁打で逆転を許す。打球方向は違えど、長谷川の1本は仙台大戦で頭上を襲われた一打を捕球できなかった場面とどうしても重なってしまう。

6回、中堅、遊撃、二塁のトライアングルに打ち上げられたフライを取れずに出塁を許し、その後、失点。

さらに、試合が進んで8回。二死二塁、菊地から石川真(札幌日大)へ変わっていた右翼左前方への打球。石川飛び込むも捕球ならずで、二塁走者が生還。これが北ガスの6点目。序盤の2本で背後を襲われ、6回は内外野の間を、最後は外野の前を試される格好でそれぞれ失点。すべて防げたとは言わないが、最大2点は渡さなくても良い点と見えた。

初マスクの上野。二盗刺殺が二度あったが、送球がやや左方向へ流れるのが気になる。堀越が上手くカバーしていたが。

打撃では3番鈴木惇士が1回に先制本塁打、また、先述の通り千葉大輔(とわの森三愛)が2安打と気を吐く。8回代打登場の内谷暁鐘(稚内大谷)も安打を記録。都合6安打を放つも、3併殺、一塁走者の牽制死などで好機をことごとく潰し、結局鈴木の本塁打による1得点にとどまった。

攻撃がこういった感じにあっさりと終わり見せ場を作れず、というのは、道都のOP戦では割と頻発するので、特段の感想はないが、気掛かりは失点につながる守りの脆さ。球際の弱さ。リーグ戦では頭上を強襲される鋭い打球にそもそも出くわすことが少ないのかもしれないという(これはこれで別のお題)ことも思い当たらないではないが、内外野間、または、捕球範囲ギリギリへの飛球の処理(打球判断)などは当たり前に発生するプレーであろう。本来であれば、そういった一打に最も激しくチャージを掛けて守り切るのが道都の姿だと期待してしまうのだが、昨日の一戦は残念ながら、その姿から随分遠いところにあった。少し以前のメンバー、池田英人や伊丹哲平など。派手さはないが、実はグラウンド後方をしっかりと守り、試合を引き締めていたのかもしれないな、などとも思い返す。

秋開幕17日前の一戦。ただでさえ短いシーズン。年中行事の消化的な花試合をやっている暇がある筈もない。この試合から道都が秋へどう入ってくるのか、引き続き目を凝らしていきたい。


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