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6月10日の札六ラジオ

今回も先週に続き収録です。お題はふたつ。ひとつ目は全日本大学野球選手権大会、道都の1回戦の振り返り。ふたつ目は入替戦です。どちらも等しく重要な試合です。

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今回は東京への出張ができず、J SPORTSでの観戦。で、道都の試合は勿論、他の試合も丁寧に見たいのですが、いかんせ「見たら、何か書きたくなる、話したくなる」ので、思うに任せていたら、どちらもが中途半端、共倒れになりかねないのが明白。なので、今は道都の試合のみを見直しています。いずれはすべての試合をひと通り見ておこうとは思うのですが。見逃し配信という魔物との戦い、大袈裟だけど。現地観戦・一期一会の札六を日常にしていると、なかなか、慣れません。


投手戦から投守戦へ

まずは予想通りの投手戦・・・

星槎道都大学4年ぶりの全国大会。関西六大学野球連盟代表・大阪商業大学との初戦を振り返ります。

戦前の予想など、細かく報道を見てはいないのですが、侍ジャパン大学日本代表選手選考合宿に召集された道都滝田と大商大上田の投げ合いになるというのが、ひとつの見立てであったのではないでしょうか。なので、本稿もひとまずは、ここを入り口に振り返りへと入っていこうと思います。

結果は8-1(7回コールド)で大商大に軍配。道都は大会初日にして大会を去ることになります。

では、戦前の予想通りに、両投手の投げ合いは展開されたのでしょうか。この点については「実際にほぼその通りだった」のではないかと考えています。

滝田が3回に奪ったふたつの三振。そして上田が4回に堀越から奪った三振。互いに、直球で追い込み、最後は変化球を振らせて仕留めるというよく似た配球で三振を奪っています。恐らくは、共に試合前から準備していた配球で狙い通りに奪った三振であったように見えます。このあたりまでは、両投手そして、両チームの選手も、まずは想定通りに試合が進んでいるように感じていたのではないでしょうか(その中で想定通りではなく、修正が必要な部分がどこであるかの考察も同時に行いながら)。

ここで、この日の滝田の投球内容を見てみます。4回2/3を投げて被安打6、三振3、四死球3、自責点5。降板後に自責となった2点を除くと失点は3。犠飛1、適時内野安打1、四球押し出しが1というのが3点の内訳。実際、試合の行方を決めてしまう格好になる失点があったわけですが、その失点を除く、他の投球内容を見たとき、ある意味「いつもとそれほど変わらない滝田の投球」であったことに気付かされます。

例を挙げてみます。春のリーグ戦、二節の札大戦。

驚くほど、似通った数字が並んでいませんか?。そう、滝田の「投球」だけを取り出せば、ほぼいつも通りだったのです。どうしても焦点が当たることになる四球ですが、これも(現時点では)滝田の平常運転の「投球」なのです(なお、ここは今後、大きく成長が見込める伸びしろです、ということを申し添えておきます)。

では、試合の行方を決した要因はどこにあったか?

試合を見た方にはある意味、一目瞭然。5回表、バント攻めで揺さぶられて、一気に畳みかけられたというのが(表面的にわかる)要因です。

それでは、この表面的な要因はどこから生まれたのか。仕掛けたのは大商大側です。ここで視点を大商大側に転じます。

大商大は初回に2安打するも2回、3回は三者凡退。4回渡部がこの日2本目の安打で出塁するも後続を断たれて無得点。そして迎えた5回、大商大はゲームプランの修正に動き始めたのではないかとの仮説が浮かんできます。修正を仕向けたのが、滝田の2回から4回の投球。「このままでは・・・」との想いがあったのかもしれません。「投手戦をこのまま続けていると、ズルズルと道都のペースと流れに嵌ってしまうかもしれない」といったような。

投守戦の宣戦布告

そして、大商大のゲームプラン修正を後押しする流れを作ったのが、4回裏の牽制刺殺。喉から手が出る程欲しい追加点、滝田を助ける次の1点が欲しい道都。その攻撃の芽を摘んだ上田の牽制。互いにとってあまりにも重要なひとつのアウトになりました。そしてこれが、大商大から道都へ、投手戦から投守戦へのゲームチェンジの宣戦布告となります。そして、5回。試合は大きく動き始めます。

先制点が足枷となったか

初めての顔合わせになることの多い全国大会では、試合前の想定通りに事が進むケースはほとんどないのでは。ですから、試合途中で幾度かの方針転換も必要になることはむしろ普通のように思われます。その方針転換を実際のプレーに落とし込めるか?そして、その際のプレーの精度はどうか?といったところが、試合の行方を左右することになるのかもしれません。これらを引っくるめた全てが、地力というよう呼ばれ方をするチームの力量・技量、様々な引出しの多さなどを示す言葉になるのでしょうか。6月5日の一戦は、この地力で大商大が道都を上回った結果だったようにも思えます。

道都がやや後手に廻ったとするならば、先制したことで、どこかで守りに入る気持ちがあったことが影響していたかもしれません。初回、しかも1点でそのまま逃げ切れることは、ほぼないだろうとは思いながらも・・・。

余談になりますが、先に滝田投球内容でふれた春二節の札大戦。イニング毎の内容もどことなく似ていて興味深いです。4回に四死球3でピンチ招くも無失点でしのぐ。5回は2四球与えるも無失点。6回ヒット3本を集められて3失点。で、札大視点からは「四死球で走者を得た4回、5回で滝田を攻略できなかったのは何故か?」との問いが浮かんできます。同じような綻びをきっかけに捕らえ切ったのが大商大。そのまま当てはまる物差しではありませんが、全国との距離感であったり、質的な違いであったり、もちろん実際上の戦術含めて、大いに参考になる部分がありそうです。

剛柔自在な使い分け

1回表、大商大1番打者金原のセンターへの打球を見たとき「振りが強く、めちゃくちゃしっかりとコンタクトしてくるな」と感じました。また、概ねどの打者もタイミング的にはしっかりと滝田に合わせていると思われるように見えました。バックネット方向への鋭いファウルボールが幾度かあったことがそう感じた根拠です。

センターへ打球が多く飛んでいたのは、打者が滝田のタイミングにきっちりと合わせていたことの現れでしょうか。なお、多くの安打が逆方向への打球であったことは、大商大の打者が力任せの強振で滝田に対抗しようとしていた訳ではないことも示していそうです。

ですから、強打で滝田を捉える作戦を選択し続けることも(簡単ではないにせよ)手放す必要もないようにも思えましたが、そこは潔く方針を転換。勝利に近づく可能性の高い作戦を選び実行に移したということでしょうか。

「ドラフト候補対決」の投手戦の看板を投守戦に付け替えるように、滝田の速球に正面突破を図るのではなく、むしろグラウンドを狭く使いながら、守りの技量を試すような作戦に移行します。2本のバント安打、そして、打ち取ったかに見えた一塁ゴロを逆転適時打とした泥臭い攻撃に凝縮された剛柔の巧みな使い分け。文字通り、滝田と道都守備陣はグラウンド左右に揺さぶられ混乱に陥りました。このあたりの試合運びに、大商大に一日之長があったのかもしれません。

■春季入替戦1日目

・札教(三部)-医療(二部)

・国際(二部)-北大(一部)

明日、6/11(日)は所用で球場へ行けないので、速報を頼りに結果を記録を残そうとは考えています。3戦目があるならば、月曜日は体をあけているので、イレギュラーになりますが、放送しようかと考えています。

今日は一部、二部がそれぞれ最少点差で勝利しましたが、明日はどうなりますでしょうか。

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