驟雨

早くから梅雨入りした後の一週間は雨が降る日も多かったが先週は晴れ間も多く自転車散歩もできた。今日は久しぶりに雨降りの一日となった。
奥田元宗という日本画家の絵に「驟雨」という作品がある。雨が激しく降りつけ、靄(もや)がかかったように新緑と水面の境界が虚ろに描かれ、ただ画面から雨の音ばかりが聞こえてきそうな作品だったと記憶している。もう40年も前に見た作品なので細かいことまでははっきり記憶していないが、この記憶でさえ驟雨に打たれたような虚ろなものとなってしまった。
今日は一日、そんな雨の降り方だった。七股池に突然激しく降りだしたり小雨になったりを繰り返している。そんな雨音が聞こえる部屋の中でブルックナーの交響曲を聴いていたら、楽章ごとの音色の変化と雨音の変化がシンクロした瞬間にこれまでイメージしていたものと全く別のイメージが現れる。
曲に対する固定したイメージというのがあるが、聴いているときに自分が置かれた状況によってはその固定したイメージとは全く別のイメージに代わることがあるが、今日はまさにこういう状況の中に置かれているということなのだろうと思う。が、こういう状況の中のイメージはあくまでこういう状況の中だけのイメージであることであって、これが固定されたイメージに代わることはないかもしれない。

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