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梅雨から感じる清涼感

数日前から続いていた下腹部の違和感。
激しい痛みに耐えられず医者に診せる。
膨らんだ腹。どうにも耐えられない痛み。
「なんでもっと早く来なかったんだ。臨月やぞ」。
分娩台に乗せられ、いきんだところで目が覚めた。
どうしてだ
誰の子だったんだろう。

コーヒーカップを手に持つだけで何故か「どっこいしょ」と言ってしまう。
すっきりしない天気が続く。気持ちもすっきりしないからイライラしてあっちこっち蹴り飛ばしている。
雑草がボーボーに生い茂った庭の植木鉢を蹴り飛ばして、そのはずみで土が足にかかり汚れてしまった。しかも雨で濡れた土だから、ズボンの裾まで汚してしまった。おまけに蹴り上げた足の着地点がぬかるんでいたので、つま先が泥だらけだ。踏んだり蹴ったりだった。
泥にまみれた足で玄関に入り、雑巾を用意しておきゃぁよかったなと後悔しながら、つま先立ちで風呂場まで行き、足を洗う。汚れた床を雑巾で拭き、ついでに居間とお勝手の床も拭き掃除したら少しさっぱりした。
こんな天気なので家の中は暗い。アイスコーヒーで一服すると、だんだんと気持ちも落ち着いてきた。また雨が降り出した。
どれくらいの星霜か、日本人は梅雨を巧く利用し、やり過ごして生きてきた。四季に梅雨を加えて五季と言う人もいる。
ジメジメと鬱陶しい梅雨だが、梅雨と書いて何故「つゆ」と読むのか。
ウィキペディアとかYAHOO!知恵袋で調べればわかるだろうが、知らないままでいい。想像して楽しみたい。
「つゆ」という言葉の響きに湧き上がる清涼感。
ジメジメした空気に「つゆ」という言葉の清涼感が加わることで、人はほっと溜息をつき、イライラからほんの一瞬でも解放される。

枯山水を眺め、海山を想うのと似ているっちゃ似ている。そう思うと暗い部屋で一服しながらの雨の音も何かしら室内楽でも聴いているような気分になるものだ。

と、大雨警報が出る中、無理矢理感じようと思う。


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