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The Shariant:Rising (邦題「シャリアント 全米蜂起」)

「2級警報発令。直ちに近くのスーシャに避難せよ」

今週2回目の「警報」。私は慌てて携帯を見る。ロンドンに来て半年。警報音には慣れない。
西の空には雲、いや"あいつら"の群体が見えた。周囲を見渡すと、斜め前に「パブリック・スーシャ」の看板。助かった。

こっちの連中は本場より遅いんだろ?
隣のおじさんが声を掛けてきた。
その通り。本場は速度と質が違う。まぁこっちのも

どかっ。どっ。どん。どどど。

来た。スーシャの天井を叩くが、貫きはしない。日本産よりふた周り大きいが、粗い。

どっどどどどどん。どどっどん。

本降りだ。窓の外では、逃げ遅れた英国紳士が頭を潰された。向かいのスシ・レストランはもう5分でスクラップだろう。こっちの連中は「潰す」タイプらしい。

"シャリアント"。
今世紀における人類共通の脅威。かつて私達が愛した主食の成れの果て。群体意思を持ち人類に反旗を翻した、コメ異性体の通称だ。

【発端 に続く】

#逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞

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