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#試し撃ち
ダンジョン社屋24時
「班長、おはようございまーす」
ゴギッ……ギギゴ。
石の擦れるような音。床に土がちょっと零れる。班長の方を向くと、口と類推される部分がきれいな弧を描いている。
「いやぁ、昨日のラグビー凄かったっすね」
ゴゴッ、ギゴギギ……ズズッ。
班長はタックルの真似をした低い姿勢を取る。本人は真似のつもりだが、俺が仮にぶつかられたら確実に死ぬ。圧死請け合いだ。
身長132cn、推定質量
捧げよ神輿を、その命を
「矢面半壊!」
「右陣見ろ右陣!食い込まれて……がァっ!?」
何故だ。
元町地区「神輿将」のハルヤは、愕然としていた。担ぎ手はまだ元気がある。しかし、戦いは最早個の力で制する次元でもなくなっていた。
美邦名物決闘神輿、その第一試合。
若い衆が手厚い元町の相手は優勝候補の浜浦と山深い大岳であった。大岳は若い衆もろくに揃わぬ弱体者。海の男が居並ぶ浜浦との決戦に余力を残せ。ハルヤの立てた作戦は、前回の
日ノ本横断空駆競走顛末記
人生三十余年。
与助は西の空から真っ直ぐに此方を目掛けてくるそれを初めて見た。
甲虫とも蝙蝠とも異なる羽。骨ばった腕が二本。その手には八尺前後の槍。白焼きにお誂え向きの尻尾。そして甲高い鳴き声。その上には……齢二十にも見えぬ若武者が1人、跨っている。
「な、な、なんだありゃあ……」
蜥蜴か。蜥蜴が飛ぶものか。おれにもとうとうお迎えが来たのか。でなければあんな代物、見えるはずがない。
阿呆のように口