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金価格の見通し:2024年の展望

はじめに

2023年は金価格が全般的に上昇した一年となりました。世界の不安定な経済状況や地政学リスク、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の影響により、金は再び投資家にとって魅力的な資産として注目を集めました。今回は、2024年の金価格の見通しについて詳しく解説します。

2023年の金価格推移

2023年の金価格は年初の1トロイオンス1845ドルからスタートし、年末には2080ドルに達しました。特に、FRBの利上げサイクルの終了が見込まれる中で、金価格は大幅に上昇しました。

金の月次チャート

以下のチャートは2023年の金価格の月次推移を示したものです。

このチャートからもわかるように、金価格は年初から一貫して上昇基調にあり、特に年末にかけて急激な上昇を見せました。この上昇の背景には、FRBの金融政策の転換や地政学リスクの増加が影響しています。

2024年の金価格見通し

上昇要因

1. FRBの金融政策
• 多くの専門家は、FRBが2024年上半期に利下げに転じると予想しています。利下げはドルの価値を下げる一方で、金の魅力を高めます。JPモルガンは、2024年末には金価格が10%上昇する可能性があると見込んでいます 。

2. 地政学リスク
• ウクライナ紛争や中東の緊張など、地政学的な不安定要素は依然として存在します。これらのリスクが高まると、安全資産としての金の需要が増加することが予想されます 。

3. 新興国の中央銀行による金の購入
• 新興国の中央銀行が積極的に金を購入しており、これが金市場の需給バランスに影響を与えています。2022年下半期から続くこの傾向は、2024年も続く見込みです 。出展:(マネクリ | マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

リスク要因

1. 米国経済の好調
• 米国経済が予想以上に好調を維持し、景気後退を回避する場合、FRBの利下げが遅れる可能性があります。これにより、ドル高が進行し金価格に下押し圧力がかかるリスクがあります 。

2. 予期せぬ経済指標の変動
• インフレーションが予想以上に早く収束したり、雇用統計が予想を上回る場合、FRBの金融政策が変更される可能性があります。これも金価格にネガティブな影響を与える要因です 。

金価格上昇の恩恵を受ける銘柄

金価格の上昇により恩恵を受ける銘柄として、以下の企業が挙げられます。これらの企業は主に金の採掘・生産を行っており、金価格の上昇が収益に直結するため、投資の対象として考えられます。

1. ニューモント(Newmont Corporation, NYSE: NEM)
ニューモントは世界最大の金鉱企業の一つで、主要な金生産企業です。金価格の上昇はニューモントの収益を直接押し上げるため、金価格の上昇局面では有望な投資先とされます。

2. バリック・ゴールド(Barrick Gold Corporation, NYSE: GOLD)
バリック・ゴールドはカナダに本拠を置く金鉱企業で、ニューモントと並び、世界最大級の金生産企業です。バリックもまた、金価格の変動に敏感な企業であり、金価格の上昇はその収益にプラスの影響を与えます。

3. フランコ・ネバダ(Franco-Nevada Corporation, NYSE: FNV)
フランコ・ネバダは金を含む貴金属のロイヤルティおよびストリーミング会社であり、金価格の上昇は直接的に利益を押し上げます。採掘企業とは異なり、リスクが比較的低く、安定した収益が見込まれる点が特徴です。

4. キンロス・ゴールド(Kinross Gold Corporation, NYSE: KGC)
キンロス・ゴールドはカナダを拠点とする金鉱企業で、世界各地に鉱山を持っています。金価格の上昇はキンロスの収益性向上につながりやすいため、金市場が強気の場合に有望な銘柄です。

まとめ

2024年の金価格は、FRBの利下げサイクルや地政学リスク、新興国の中央銀行の動向により、上昇傾向が続くと予想されます。しかし、米国経済の動向や予期せぬ経済指標の変動には注意が必要です。金価格の動きを常に注視し、適切な投資判断を行うことが重要です。

記事の内容は、最新の市場動向や専門家の意見を基にしたものであり、投資判断の一助となることを目指しています。ご自身の投資方針に合わせて参考にしてください。

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